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第一話【はじまり】

梅雨が始まった。忌々しい梅雨。雨の日は海でちゃぷちゃぷ海水浴とはいかない。そういうときは、あのおばあさんの家で一日中暇を潰す。こういう日は本当におもしろくない。雨だし。ぼーっとしながらテレビのチャンネルをぴこぴこしてたら、普段無口なおばあさんが口を開いた。

「あんた、名前は?」

やっと聞いたかこのばあさん。普通一番に聞くだろうがよ。

「吉原、悠。」

ぶっきらぼうにそう答えた。だって名前を言うのにこれ以上も以下もあるか。

「そうか、吉原か。今日の昼、悠くんは何食べたい?」

げ。悠くんって…まぁでも、もうどうでもいいや。

「なんでもいいっす。あ、あの冷やし中華食べたいかも。」

そう言うと、おばあさんは満足そうに台所に向かった。2日連続だけど、よかったかな…


冷やし中華を食べ終わって、2時間くらいテレビを見た。いつもより早く帰って、母には、「五時間授業だった」と言った。夜ご飯を食べて、風呂に入って、テレビを見てたら父親が帰ってきた。

なぜか父親がいると、場の空気が少し引き締まる。

「悠、学校はどうだったか。」

会ったらいつも聞かれる問い。俺は間髪いれずに、

「別に。普通だよ。」

と、答えるのだ。だって、いつも通りだったし。すると父親は、

「そうか。」

とだけ言う。なんだよ。と思うけど、父親が帰ってくるまでに自室に戻らなかった自分が悪い。父が風呂に入り、これ以上余計なことを言われないためにもすぐに階段を駆け上って、布団に潜った。雨の音で目が覚めて、気づけば、土曜の朝10時だった。

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