4「失敗」
バーを出た。
仕事内容はこの紙にすべて書かれている。
まさか、レフティア家がね。
そして私達の役割はメイド。
顔でバレないといいけど。
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当日。
私達はメイド服を着て、パーティーに参加。
参加というより仕事できているだけだけど。
早速レフティア家を見つけた。
ここにはフェルナリア家とクローデル家はいない。
そして紙を見る。
『レフティア家二人が、席を立ち、会場を去ったら、尾行を始めろ』と書いてあった。
それまでは普通に観察かな。
【1時間後】
レフティア家の二人、ジグムントとイグナート。
二人は、他の貴族らに、挨拶をし、部屋を出ようとしたとき、イグナートがこちらを向いた。
バレたか?少しニヤついていたかな。
そして、私達はメイド服を脱ぎ尾行を始める。
前世の技も使って。
ジグムントとイグナートはそれぞれ違う場所へと向かった。
私はイグナート、ミレーユはジグムントを。
そして別れた。
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イグナートは部屋に入った。
何やら、仮面を被っている。
そして窓から外に飛び降りた。
急いで後を追った。
ここは、一階だし大丈夫だね。
そして建物の屋根から私はイグナートを追った。
その時、私の足が滑った。
そのまんま路地に着地…したけど、眼の前にはイグナート…とジグムント。
ジグムントの手にはミレーユが手に抱えられていた。
「…え」
思わず、声に出た。
今わかった。
すべてバレていたのだろう。
でも私はすぐ追ったはず…てことは、私達を監視していた人物がいるのか!
誰だろう。
その時何かが飛んできた。
睡眠魔法の付与された、矢が私の体に刺さる―――と思った、だが刺さるのではなく、体内に入ったのだ。
完全に油断していた。
「こんなのアリな…の…」
意識が遠くなる。
眠い、立っているのも辛かった。
バッタッ…
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意識が戻った。
体が動かない。
手錠をかけられている。
隣にはミレーユがいる。
足音がする。
そうジグムントとイグナートだった。
「まさか、フェルナリア家の長女と、クローデル家の長女だったとは」
まず口を開いたのは、ジグムントだった。
そしてイグナートも。
「見ねぇ間に随分と可愛くなったものだなぁ」
私とミレーユを交互にいやらしい目で見てきた。
実に不快。
そして思い出した。
依頼者に言われたことを。
『性奴隷』と言う言葉が脳内によぎった。
目的がわかったが、手が動かせない。
武器も出せない。
イグナートがジグムントと話している。
ぎりぎり聞こえる。
「おい、親父。俺が抱きたいのはフェルナリアの方の娘だ。いいか?」
「仕方ねぇ。まぁそこまで言うなら、俺はクローデルの方で我慢する。まぁ、どちらも良い顔出し、良いだろう」
きしょい会話だ。
やはり目的は抱くことか。
イグナートねぇ。
口元を見た。
金歯だった。
私が昔ボコボコにしたとき抜けた歯だろう。
多分そのことを恨んでるのだろう。
そう考えていると、ミレーユが言った。
「なにをするの…」
まだ状況が掴めてないようだ。
私も少しわからない部分もあるが大体はわかる。
とにかくここから出ないと。
「まだわからねぇか。まぁ良いだろう。また後で来る。準備しとけ」
二人が去った後、考えた。
逃げる方法を。
その時思い出した。
昔に口から出したアレ。
アレを手でやってみれば手錠が壊れるはず。
一か八かだ。
まずは集中。
そして魔力を手に貯め、魔力密度を上昇。
―――頭が痛い。
情報に耐えれなくなってきた。
口のほうが簡単なのか…
結果は―――いけた
私達は逃げた。
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そして宿についた。
明日は入学式だ。