3「勝利そして潜入任務」
イグナートは余裕の表情をしていた。
「こんなもんか、ガキめ」
まだ、前世の頃みたいに体がちゃんとしていない。
そのためか、前世の頃のスピードは出せない。
だが、こちらには前世で培った、技術がある。
スピードが遅くとも、シリウスよりは早いはず。
私は負けない。
最後まで油断なく。
私はイグナートを攻撃できる間合いに入った。
そして私はジャンプ、と見せかけ、腰を低くし、足元を狙い、木刀を振る。
「なに!?」
イグナートは私の予想外の行動に、焦っている。
イグナートは私の攻撃を受け、バランスを少し崩した。
そして私は、地面を思いっきり蹴った。
そして、イグナートが反応する前に、後ろに回る。
「!?」
私に気づいたがもう遅かった。
私が振った、木刀はイグナートの顔面に直撃、歯がいくつか抜け落ちたのがわかる。
お父さんは、呆気に取れていた。
内心はこうだろう『剣術を教えてないはずなのにここまでとは』とか思っていそうだ。
まぁ、勝ったんだ。
コレは良いことだと思う。
それはあくまでこちら側。
相手側の表情を見るとよくわかる。
イグナート本人は、痛みで泣いているが、私を睨んでいる。
そしてイグナートの父は怒りそして悔しさが表情に出ていた。
「次は勝つからな、クソガキめ」
イグナートの父が私にそう吐き捨て去っていく。
私達は呆然としていた。
こんなので帰るとは。
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そして家。
「アリシア…お前…どこでそんな技術を覚えた?」
やばい。
言い訳…
「シリウスのを見て覚えました」
シリウスはこんな技使わない。
大嘘だ。
「そ、そうか…よく覚えたな」
「ありがとうございます」
そして、その会話はすぐに途切れた。
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私は12歳になった。
最近困っている事は…胸だ。
デカい。
前世が男なのでこんな重いとはしらなかった。
母が巨乳なので、発育が良いということか。
今は…D?いやE?とにかくでかい。
まあ、それは良いとして、そろそろ学院に入る年らしく、B~Aランクが通う学院に行くことになった。
しかもこの国のじゃない。
場所は、『ルゼトリア王国』だという。
ここにはミレーユといっしょに通う。
学院があるのは『大都市ディルハイン』と言う場所。
学院名『アイゼルハイト学術院』である。
ここでは「剣術」「魔法」「精神鍛錬」「戦術理論」「生存術」など他にも色々学べる。
到着までは十五日ほど。
それまでにお金が無くならなければいいな。
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…しまった。
お金が…ない。
【二日前】
「ミレーユ!ここのお店有名なところじゃない?」
「そうだね!お金はあるしいっぱい食べよう!」
そして合計百皿食った。
会計金貨五枚。
残金金貨六枚。
【現在】
残金銀貨一枚。
ご飯を食うお金もほんの少し。
前世の頃はご飯を食わなくても一年は持ったのに…
働こう。
高額バイト探そ。
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とある小さな町に来た。
ここでバイトを探す。
早速あった。
内容は、貴族パーティーの潜入捜査。
報酬は金貨70枚。
やるねこれ。
まぁもともと貴族だし、簡単。
『フェルナリア』『クローデル』は上級貴族である。
詳しい内容を聞くには、とある場所に行くらしい。
住所は書いてある。
行ってみよう。
書いてある場所に来た。
そこはバーだった。
そしてマスターにこの注文をすれば、裏にいけると書いてあった。
つまり合言葉だね。
店に入った。
マスターはいい顔はしなかった。
それはそうだ、12歳の子供が二人とかね。
早速注文してみる。
「ウイスキー、ダブルで。氷は夢の数だけ」
なんとも古臭い合言葉だけど…
そして次マスターが『今日は月が、裏側を向いてるらしい』と言ったら10秒以内に裏へ行かないとだめらしい。
マスターを見る。
マスターは動揺しながら言う。
「今日は月が、裏側を向いてるらしい」
すぐさま私達は席を立ち奥へ行く。
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そしてバーの奥についた。
部屋は薄暗かった。
そしてその端に座ってる男が依頼主。
「来たか」
「こんにちは」
「あの依頼をやってくれるという、ガキか」
「はい。そうです」
「本当にお前らはルミナスの上級貴族なんだな?」
「ええ。私はフェルナリア。隣がクローデルです」
「そうか。なら頼もう」
そうして詳しい内容を聞かされた。
まず、この依頼はなんのためか。
それは、最近怪しい動きをしている貴族がいるため、観察をしてもらう。
依頼主はその貴族の目的を予想していた。
一つ、何かしらの上級貴族を潰す可能性。
二つ、横領、情報漏洩。
三つ、新しい子を見つけ、誘拐、そして性奴隷にさせる。
可能性が一番高いのは、二つ目か三つ目らしい。
次、パーティー開催日の日にちと役割。
パーティー開催日は二日後。
そして役割は、私とミレーユは貴族の食事の運搬から片付けまで。
つまりメイドみたいな感じ。
楽しみだね。
そして最後、その貴族の名前。
その名を聞いて私は目を見開いた。
いや私だけじゃない、ミレーユもだ。
その名は『ジグムント・レフティア』『イグナート・レフティア』の二人。
私はよく覚えている。
五年前、模擬戦をしてボコボコにしたイグナート、そしてジグムント。
心臓の鼓動が早くなる。
これは恐怖ではない。
興奮だ。