3:韓流よりも世界に萌えろ
世間では熱狂的な韓流の波が来ている……とテレビで言われていた頃。
ネットでも日韓交流の場として双方の翻訳機能付きの巨大掲示板があった。向こうでは日本人が戦時中にいかに残虐だったかという主張が多く見られたものの、それらに対する反論をきちんと見てくれる人もちらほら見られたりして、割と建設的な議論ができる場だった。
歴史や政治だけでなく、韓国の漫画紹介の場にもなっていて、自国をよりよい国にするために日本を見習おうというコンセプトの漫画も掲載されていた。
冷静に両国を比較し分析した漫画でかなり面白かったが、自国を批判し日本を持ち上げる内容が危険視されたのか、作者は一度韓国側を褒め称える内容をアップした後で漫画を終了させ、後に日本に移住している。韓国で真実を訴えるのは命懸けなんだという事を察した最初の出来事だった。
そんな中、反日に染まった韓国をおちょくる漫画が話題になっていた。来日した韓国人の女の子が大嫌いな日本の悪口を言いつつも、日本製品は手放せないし友達も日本しかいない……『もえかん』というタイトルの漫画だった。作者は日丸屋和良――そう、あの国家擬人化漫画『Axis powersヘタリア』の作者である。※現在は『日丸屋秀和』名義。
ヘタリアは世界情勢を擬人化した『ニホンちゃん』の派生であると思われる(作者によるニホンちゃんのイラストも有)が、ニホンちゃんが右寄りなのに対してヘタリアはもっとソフトでBL要素が強かった。そのせいか……と言うかほぼそのおかげで世界中(の腐女子)にヘタリアファンが生まれるというとてつもない事が起こった。
後に商業化するヘタリアだが、どちらかと言えばそれ以前の方が内容が尖っていて自由度が高かった。日本のマスコミが中国や韓国に配慮して絶対に言えないようなネタがゴロゴロ転がっていたので……アニメ化で韓国から殺害予告が出るまでに発展してはいたものの、ひょっとしたら商業化は作者に好き勝手させないための手綱だったのではないかと今でも疑っている。(もちろん一ファンとしては喜ばしく思っているが)
ところでこの時点ではマスコミの偏向も韓国も豆知識程度にしか思っていなかったのだが、ある出来事をきっかけに私はこれらを心底嫌悪して一気に右に傾いてしまう事になる。