表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残念ながら、母の娘はそこの美少女ではなく私です!!!コミカライズ中!  作者: 家具付
外伝2 新婚珍道中!!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/68

7 たったそれだけの価値観

「エーダ!?」


おかみさんが、目を見開いて、私を見て、後ろの旦那を見て、何を言えばいいのか全く分からないって顔をしている。


「ごめんおかみさん、私達ちょっと目立ちたくないの。中に入れる?」


「いいよ、入っておいで」


おかみさんに聞いたのに、旦那さんが穏やかな声で促してくれたから、私は中に入ろうとして……そうだ、とおかみさんを見た。


「おかみさん、私の部屋、まだ空いてたりする?」


「あ、あんたの部屋は、あんたがずっとお金を払い続けているから空いているけれど……」


「よし。鍵は変わってない?」


「変わらないよ。あんたが帰ってきた時に、使えなかったら意味がないからね」


おかみさんは思考回路が停止しかけている状態で、話している。でも十分に通じるから、私は首から下げていた鍵を、旦那に渡した。


「そこの建物の、二階の突き当りが、私の暮らしていた部屋だから、入る気ないならそっちで待ってて」


「わかった。エーダ、手首を貸せ」


「ん、はい」


手首を貸せと言われた私は、素直に旦那に腕を差し出す。旦那は当たり前の仕草で、私の手首の皮膚の薄い所に吸い付いて、赤く鬱血痕を残した。

その鬱血痕が、一瞬白い稲妻を小さく走らせたから、またこの人何か、魔術的な事したな、とすぐに分かった。


「今度は何したの?」


「護身用の印だ。お前が助けを求めた瞬間に、こちらに作動し、お前がいる場所に転移できるようにした。お前自身が戦えないとなったら、水神の雷結界が作動する」


「またとんでもない物つけたね」


「古代文献から復元したばかりだ。雷結界の威力はまだ調べきっていない」


「そっか。じゃあそれが作動しない事を祈るよ」


そんなやり取りをして、旦那は積もる話もあるだろう、と私の部屋の方に去っていった。

そして、それをずっと見ていたおかみさんと旦那さんは、呆気にとられた様子だった。


「どうしました?」


「……彼は誰なんだい」


「私の旦那です」


「エーダ!? あんた、嫁に行ったのかい!? リリーに何も言わないで!?」


落ち着こうとする旦那さんとは違って、私の答えを聞いて、信じられないって声でおかみさんが言う。


「あんた、そんな子じゃなかったのに!?」


「先に裏切ったのは母さんの方よ」


「リリーが?」


「そ。私に何も言わないで、お見合いとか縁談とか進めてたの。……母さんくらい頭のいい人が、あの学校のその面を知らなかったなんて言わせない」


「その面ってのは何だい」


「お姫様を男から遠ざけて、大量の舞踏会で運命の出会い演出して、卒業と同時に結婚もしくは婚約」


「……リリーはあんたにそんな事をしないよ」


「母さんは生まれついての王族様だよ。母さんの考えは私にはわからない。……それに」


私は旦那との出会いを思い出す。あの時手を引いてくれた人がいなかったら、私はこの世にはもういないという事実がそこにある。


「あの人はね、私の命の恩人で、いくらでも言いたい事を素直に言っていい相手なの。代わりにあっちも、言いたい事私に言うけどね」


それに、と私はおかみさんを見ていった。


「私の感覚だと、やっぱり、結婚は誰かが決めるものじゃなくて、私が決めるものだから、何にも悪い事してる気分にならない」


それを聞いて、おかみさんが頭を抱えた。旦那さんは苦笑いをする。


「一般学校卒業の前に、同時進行でギルドの受付嬢にさせるんじゃなかった……」


「結婚や恋愛に関する感覚が、完全にギルドの荒くれものたちのそれだね、エーダ……」


「身近なのがギルドの人達だったから、それは仕方ないと思う。……おかみさん、私ロッテちゃんが寝込んでるって聞いたんだけど」


「あんたが黙ってどっかに行ったりするからだよ。何も言わないでいなくなったって悲しんでるのさ。ちょっと呼んでくるよ。あんたがいるならすぐに具合もよくなる」


おかみさんがそう言って、ロッテちゃんの部屋の方に向い、すぐに戻ってくる。


「完全に寝てたから、明日にしよう。明日、しっかりあんたの旦那にも、あんたと結婚する云々に対しての話をしようかね」


「なんで?」


「あんたがいくらべたぼれでも、あっちは打算があるかもしれないだろ」


「うーん……あっちの方がべたぼれだと思う」


「その根拠はどこにあるんだい……無駄に自信たっぷりな気がするんだけど」


「これまでのあれこれから」


私がさっくりと言うと、おかみさんはまた頭を抱えた。旦那さんはそんな私をしげしげと観察した様子で、こう言った。


「エーダがただのいい子じゃなくなったな、女の子らしい感情がいくつも見えるようになったよ、安心した。彼はエーダをちゃんと、人間の女の子にしてくれたんだね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ