2 内緒の探検
「浜辺の遺跡に入りたい? でもあそこ、誰も入れないっていう話だったけど」
そんな事を言いながら、私たちは、城の裏口からこっそりと、にぎやかに騒ぐ街を歩いていた。
泥棒の人は、名前を名乗らないので、私も名乗らないで、会話だけ進んでいく。
「おれはあそこにどうしても用事がある、それでもって、あの入り口を開けるために、どうしても必要なものの解読に成功したんだが、それが一個じゃないんだ」
「ふうん……」
泥棒というか、お宝探しの夢追い人なのか。私はそんな事を思った。
しかし、お祭り騒ぎはバカ騒ぎ、とってもとってもにぎやかで、皆嬉しそうで、こんな遅い時間なのに子供たちがわらわらといるからこのあたりの、治安とてもいいのだな、と思う。
「それにしてもすごいね、ああいった遺跡の解読って並の努力と才能じゃできないんだよ」
「必要に迫られた結果だろ、でもおれは二流だからな」
あ、二流の泥棒って言われたの気にしてる。ちょっとそこで不貞腐れるなよ、と私は笑った。
「なんだよ」
「泥棒家業が二流でも、一流の事も出来るでしょ、人助けの一流とか」
「そんなのただのお人よしじゃねえかよ」
声が呆れている。私は周りを見回した。誰も彼もが、母さんのお祝いにかこつけて、それははもう騒いでいる。
それが楽しいのだと言わんばかりに。
「姉ちゃんも飲め―! 今日は祭りだ! あのケチ領主から、美女領主に変わったんだから!」
そんな物を見ながら、私が油断していたせいだろう。私はいきなりその辺の親父から、ジョッキを渡された。
のめーと騒がれている。仕方がない。匂いを嗅いでから、私はぐいっとそれを飲み干した。
そしてばんっとその辺の即席テーブルに叩きつけるように置いて。
「お代はそっちのオヤジな!」
と私にジョッキを渡したおっさんを指さして歩き始める。
「あんたなんでそんなに、慣れてんだよ……」
泥棒が呆れた声で言う。確かに、私みたいな見た目の女の子が、ジョッキの酒を一気飲みなんて、滅多に見ない光景だろう。
このばか騒ぎの中だから、私の衣装も仮装のように映るらしく、誰もいぶかしく思わないし、見とがめる人もいない。
それがとても気楽だ。でもお腹すきすぎているのに、お酒を胃袋に流し込んだから、ちょっと酔いが回りそうだ。
「都のギルドではね、酔っ払いに受付嬢は絡まれるものなの。で時々一緒に馬鹿になってお酒飲むのも、ありふれた事なの」
「都怖いな」
「そうでもないよ、都だっていい所はいっぱいあるし、にぎやかだし、私の幼馴染みたいに超美人もそれなりにいるし」
「幼馴染は美女なのか?」
「そうそう! めっちゃ美人で可愛くて、お裁縫が得意なの」
「そっか」
私が泥棒と暢気な会話をしながら歩くこと十五分、町の入り口についた。そこからすぐの浜辺に、誰も入れないと言われている、難攻不落とまで言われているらしい、浜辺の遺跡があるのだ。
さすがにその浜辺のあたりは人が一人もいなくて、ただ潮騒の音が響いている。
そして町の喧噪からも、かなり遠ざかったな、と思えるほど静かだ。
街の方を振り返ると、街の灯りが不夜城のように明るくあたりを照らしているのに、このあたりの暗さとか静けさは、まるで別世界みたいだった。
「静かだね」
「そうだろ、町で祭りしてるのに、ここに来るもの好きなんてそういるわけない」
「私もあんたも物好きだろ」
「違いない」
私は彼のもったいぶったような言い方に、ちょっと笑って、泥棒もそれにつられて笑った。
聞いた話だと、遺跡の入口の周辺から結界が貼られていて、隙間とかからも入れないようになっている、まさに特殊な力に守られている遺跡だ。
そこの入り口の扉は、どんな方法を使っても開かないと有名らしい。
この町に来た時に、町を案内してくれた顔役の人たちが、そう教えてくれた。
「ここで私はどうすればいいの?」
「単純で、扉に手を当ててほしいんだ」
「たったそれだけ?」
「おれが解読した方法によれば、お姫様が手を当ててから、言葉を唱えればここの入り口は開くって事らしいんだよ」
そんなものか。つまりここは、資格のないものを徹底的に排除する遺跡なのだろう。
入るためにも審判が必要とされる遺跡は、その中にとんでもない財宝を隠し持っている事も多いのだ。
泥棒が目の色を変えるほどの物も、あるかもしれない。
どんなものがここに眠っているんだろう……と思いつつ、私は入口に立ち、扉にそっと手を当てた。
何か起こる気配はなさそうだったけれど、そこで泥棒が口を開く。
「私の求めに応じなさい、私の言葉を聞きなさい、私の手のひらを感じなさい、私こそここを開くもの。私こそこの場所を選ぶもの。開きなさい、海神のとばりを開けて」
それは淡々としていながらも、どこか厳かな言葉に聞えた。そして。
扉が、静かに静かに、姿を変えていく。石で出来た堅牢なものだったそれが、柔らかな手触りになり、私は扉に体重をかけていた事もあって、いきなり消えた支えのせいで、そのまま中に倒れ込みかけた。
「わ!」
「すごいな、石組みが布になっちまった」
「本当だ……」
さっきまで石だったのに、私が手を当てていたものは、柔らかな青色の、浅い海に似た色の布になっている。そこには、貝殻とか、そう言う物が描かれている。
とても綺麗な、綺麗なものだった。
「これだけでもすごいお金になりそう」
「だな、でもおれの目的はこれじゃないんだ。あんたもありがとな、付き合ってくれて。じゃああんたを送るから、また街に戻ろう」
私はそう言われて、泥棒が一人で遺跡の中を探検するつもりなのだ、とわかった。
でも、誰も足を踏み入れた事がない遺跡なんて、興味しかない。それに気の乗らない夜会よりも、母さんには悪いけれど、こっちのほうがずっと面白そう。
それにいざとなったら走って逃げるし、石ころなんてたくさんありそうだから、多少の物が出て来ても、相手をひるませるくらいはできる。
だから。
「私もちょっとだけ中に入りたい。入口からちょっと歩くくらいの間だけ! 開けたの私だもの、いいでしょ」
「……危なくなったらすぐに逃げるんだぞ」
「逃げる判断ができない私じゃないわよ!」
失礼な。そんな事を思いつつ、私は頷いて立ち上がり、そのまま泥棒を先頭に、小さなカンテラの明かりを一つだけにして、ゆっくりと遺跡の中に足を踏み入れた。
遺跡の中は虫一匹いない位静かな感じがするのに、物凄く海の音が近くに聞えて、なんだか変な感じ。
そんな遺跡の入り口をくぐると、まずはじめに、現れたのはいろんな海の生き物を大きくかたどった石像たち。それらには鮮やかな彩色が施されていて、ここって何か祭っていたのかな、と思う物があった。
「すごいな、外にあったはずなのに退色も全然ない。これはお宝も期待できるぜ」
泥棒が弾んだ声で言って、石像の一つをよく見ようと、近付いた時だ。
かたん、という音とともに、その貝殻の石像の口が、ゆっくりと開き始めたのだ。
「……ふぇ?」
さすがの私も戸惑って、固まった。でもそれだけでは済まなかったのだ。
まるで止まっていた時が刻まれ始めたかのように、そのあたりにあったたくさんの、美しい石像が、一斉に動き出して、そして。
泥棒に襲い掛かってきたのだ!
まず貝の石像が、泥棒を真っ二つにしようという勢いで、食らいつこうとしてくる。
泥棒がとっさにそれを躱し、それに合わせたように大きな烏賊の石像が、その長い足を振り回す。それを避けると蛸が鞭のように足をしならせて一撃を加えようとし、魚がどうやって動いているのかわからないのに、突進してくる。鋏で千切ろうとする海老。蟹も鋏で泥棒を叩き潰さんばかり。
泥棒は声をもなく、必死にそれらを避けている。そう言ったたくさんの石像は、私が見えないんだろうか? 私に襲い掛かる様子はない。
しかしいくら俊敏な泥棒でも、足元から襲い掛かってきた海蛇に足を取られて、倒れ込む。
危ない!
その時私は、どうしてかわからないけれど、とっさに彼を庇おうと走り出し、海蛇の大あごが彼に食らいつこうとするその瞬間に、彼を抱きしめた。
そして、来るであろう海蛇の顎の衝撃を耐えようと、ぎゅっと目を閉じた。
なのに。
「……嘘だろ、石像たちが……」
呆然とする泥棒の言葉で、私は目を恐る恐る開いた。
「なにこれ……」
数多の海の生き物を模した石像たちは、一斉に私に頭をたれて、人間だったら跪かんばかりの姿勢を取っている。
「ええ……そんなのあり……?」
「お姫様の血の力か……?」
信じられない、と呟く私の腕の中で、泥棒が、もしかしてと言いたそうにそんな事を言う。
海蛇の石像が、するすると泥棒から体を離し、私たちは顔を見合せた。
周囲を何度見回しても、どの石像も、微動だにしない。まるで私が主であるかのようだ。
そんな偉そうな肩書、私持ってないんだけど……と思った時だ。
泥棒が非常に言いにくそうに、しかし決意を込めてこう言った。
「あんた、一生のお願いだから、おれと一緒にこの遺跡を歩いてくれ。頼む! 俺の目的のお宝以外は、何だってあんたに譲るから! 破格だろ! おれはどうしても、この遺跡のある物を探さなきゃならないんだ!!」
私は相手の目をじっと見た。揺るがない瞳が、どうしてもだ、と訴えて来る。
なんだかそれはとても切羽詰まったものを感じさせたから、私は頷いた。
「わかった。私ももっと奥まで、探検したかったし」
「本当か、必ずあんたを、あの城に無事に帰すから。誓う」
「誓わなくっていいよ、私自力でもなんとか逃げられるし」
「……頼もしいな、あんた」
と言いつつ、私は前に立ってさらに奥の……幻想的な入口の中にある階段を見て、そこに明かりが一っつもないのに気付き、泥棒を申し訳なく見た。
「一緒に入るのはいいんだけど……」
「ど?」
「あそこ真っ暗で怖いから、手、握ってて……」
「あんた、怖いものなさそうなのに、それは怖いのか」
「暗いのが怖いのは別! 普通怖いから!」
「泥棒にはわからない感性だな……」
しかし、私が手を握らないと梃子でも動かないと察したらしい彼は、直ぐに手を握ってくれた。
私の手よりも大きくて、堅い掌は、たくさん刃物を扱って来た手だと思った。
「じゃあ行くよ……」
「おう」
私たちは顔を見合せた後、そろそろと、頭を垂れる数多の石像の間のまっすぐな石畳の通路を進み、階段へ足を向けた。
「ねえ、気付いた?」
「ああ」
階段はそこそこ長かった。そして長い階段をどんどん降りて行くと、周りの景色が徐々に変わっていくのが、分かるのだ。
「石組みが、透明になってきたな」
「海の中を覗き込んでいるみたいな感じがする」
「どうやってんだろうな」
「本当に海の中に入っているとか……」
「だったらおれたち、どうやって生きしてるんだって話だよな」
そんな事を言いつつも、私たちは最後まで階段を降りた。
するとそこは……
「本物の海の中……なの?」
透明な石柱と、石組み。床まで透明。そんな透明な世界で、魚とかが泳いでいるという、謎の空間に到着したのだ。そこは夜だからか暗いんだけど、ぼんやりと明るいから、うす暗いという感じだ。たとえて言うなら夕方の海みたいな色。
石組みの向こうでは魚が泳ぎ、海藻が揺れて、珊瑚が色鮮やかな世界を作っている。
「すごい……ここに来ただけでも来たかいがあったって感じがする……」
「ここは古い神殿だったのかもな……」
泥棒が壁に掛けられたプレートの文字を読みながら言う。読めるのだろうか。
「なんて書いてあるの?」
「神話みたいなものだ。まあこのあたりでも有名な海の神話が書いてある」
「そうなの? わたし聖典の話しか知らないけど」
「地方によっては、土着の進行に基づいた神話があるものだからな、ここは結構残ってる方。聖典の邪魔をしないって判断されたから、お伽噺として残ってるって感じだ」
「ふうん……」
私は周りを夢中になって見回す。それ位そこは綺麗で綺麗で……海の中に入るというすごい体験をしているみたいだった。
「すごい! あのお魚何。長い!」
「あれは夜行性の魚だ。煮ると骨と身が別れて食いやすい」
「こっちは?」
「あれは骨が固すぎて食えない。漁師の網を破りかねないから嫌われてる」
「こっちの貝すごい色綺麗!」
「それは水揚げすると一気に色があせる貝。色を残すのがめちゃくちゃ難しいけど、中身は地元でしか食わないな、直ぐに痛むんだ」
「詳しいね!」
「故郷が海辺なんだ」
私があまりにも馬鹿っぽくはしゃぐからだろうか、泥棒は生暖かい目をして私を見ている気がする。
でも都は周りが山だったから、海の物ってすごく目新しく見えるのだ。そして綺麗ともなれば、女の子ははしゃぐと信じたい。
「ずっとここにいてもいいくらい綺麗」
「俺はお宝が見つかったらさっさと出るからな! あんな石像に襲われちゃたまらねえよ、命幾つあっても足りなくなっちまうだろ」
「そっか、ごめん」
「そこで素直に謝るなよ……どう反応すりゃいいかわからねえ」
そんな事を言いつつ、私たちはその空間からさらに奥に進む。その空間は簡単に言えば、人が集まる場所っぽかった。
そしてその奥は、透明な通路を進んでいくのに、先の室内は見えないという仕様だった。
便利な何かが働いているのだな……
「ここ何だろう」
私が一つの扉を開けてみると、そこは誰かの寝室みたいな場所だった。貝殻をデザインしている色々なものが置かれた部屋で、誰かが来るのを待っているみたいだった。
「ここの主の寝室って感じだな。何から何まで海をかたどってる」
泥棒がそんな事を言いながら、先に進むぞ、と急かす。
確かに、夜明け前までに私を城に戻さなくちゃいけないわけで、急ぐのもさもありなん。
そんな感じで、進んでいったその先に、ついにいわくありげな鉄格子風の物が見えてきた。
「ここがお宝がしまってある所かな」
「ほかにそれらしき場所はなかったからな」
「ここも私が開けるのかな」
「その方が安全だろ」
「じゃあ行くよ。せーの」
言いつつ私は、鉄格子に触れた。するとするすると鉄格子が横にずれていき、簡単に開いていく。
そしてその奥には、海模様の布がかけられていて、それをくぐると……
「すごい」
「お宝三昧って感じだな……」
あらゆるお宝が一堂に会しましたって感じの、たくさんのお宝が積まれていた。金銀財宝当たり前、真珠も宝石もより取り見取り、珍しい調度品もあります、珍しい素材もあります、って感じのお宝部屋だった。
でも泥棒は、そこに目当てのものが見つからない、と言いたそうに周りを見ている。
そんな中私は、奥に一番大事に飾られている物に目が吸い寄せられた。
「ねえ、あれなんだろう」
「ん……? ! あれは」
泥棒が私を引っ張ってそちらに行く。それについていくと、その飾られている、手のひらほどの大きさの海色の珠を、泥棒は掴んだ。それがきらきらと自主的に光っている。
「これだ……文献通りの……何も間違いがない……」
彼は泣き出しそうな声でそう言った。それからぐっと腕で顔をこすると、私に言う。
「一つ試したい事があるから、足出してくれ」
「え、うん」
私が、包帯で覆われている足を向けると、泥棒はその珠を私の足にかざした。
そのとたん、すうっと、今まで少し感じていた靴擦れの痛みが、遠のいていった。
「どうだ?」
「足がすごく楽になった……」
「よし、本物だ……!」
「あんたが欲しかったのは、その珠?」
「ああ。これだけがどうしても欲しかった」
後のお宝はあんたにやるよ、何か記念に一つまずは持っていくか、と嬉しそうに泥棒が言う。でも私はそうだな、と腕を組んだ。
「母さんにあげたい」
「あんたな……自分でほしいものはないのかよ」
「だって私、似合わないもの、こんなお宝たち。綺麗じゃないでしょ、私は」
私が笑って済ませようとした時、泥棒は妙にまぶしい物を見たような目をして、いった。
「あんたは、綺麗だよ」
「え?」
「あんたは、おれが知る誰よりも綺麗だよ。なあ、あんたが選べないなら、おれが選んでやる。それを持ってくれ」
「あ、うん」
「じゃあこれな」
そう言うと、彼は一つのサンダルをお宝の中から取り出した。
綺麗な銀細工に見えるもので飾られたサンダルだ。靴を履かず、包帯を巻いていたから、これを選んだんだろうか。
そんな事を思った時、私はいい事を思いついた。
「ねえ、泥棒なら目利きはある程度できるでしょ、私が持って帰るもの、他にいくつか選んでよ。また一緒に入れないんだから、記念に」
「……ああ、いいぜ」
泥棒は一瞬黙ったものの、私に、そこまで豪奢じゃない物をいくつか選んでくれた。
そのどれもが、いかにも財宝って感じじゃなくて、さりげないけどいいものって感じの選び方だった。
私がそして選んでもらったのは、ペンダントと、腰に巻く飾り物だった。
泥棒は自分の欲しかった珠を大事そうに懐にしまって、私に手を差し出す。
「名残惜しいけどな、あんまり長居すると、朝が来るだろ、行こうぜ」
「うん」
私は頷き、そのまままた私を先頭に、通路を歩いていく。
そして入口の布をくぐって抜けて、振り返ると、布に変わっていた扉は、また頑丈な石づくりに戻っていた。
「また来るね」
「どうした?」
私はどうしてか、寂しそうな遺跡に声をかけて、慌てて泥棒の後を追いかけた。
そして、そろそろ静かになり始めたお祭り騒ぎの中を潜り抜けて、見つからないように城の中に戻る。中庭について、泥棒に私は言った。
「今日は楽しかった、ありがとう。あんたもこれから体に気を付けてね」
「……」
何て言ったらいいんだろう、と言いたそうな顔を、泥棒がした。そして彼が、痛そうな顔で笑って、ぐいと私を引き寄せた。
え、なに、何が起きた、と私が察するよりも早く、唇に何かが重なって、泥棒が体を離す。そして私の目をじっと見つめて、こう言った。
「また会いに来る、だからまたな」
そして、ぱっと泥棒は姿をくらました。私はぽかんとして、えーと、と考えて、それから小説のようにキスをされたのだと気付き、どんどん顔が熱くなっていった。
いや、キスする要素どこにあったの今日の間に!?
「ううう……」
二流の泥棒の癖に。そんな小さな言葉なんて、誰も聞くわけがない言葉だった。




