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第 五 話

先輩たちも集まってなにやら話し始めた。


「でも神社にお地蔵さんっておかしくない?」

「そうだな。地蔵は仏教だからな」

「ひょっとしたら昔からある神社で、寺社分離の方針に従わないでそのまま神と地蔵を祀ったのかも知れないですね」

「なるほど、それも考えられるなぁ」


神社にお地蔵さん。

たしかに異色だ。しかも、こんなにびっしりと。

この辺の住人が全部地蔵になっちまったみたいだった。


背中にゾクっとしたものが感じる。

翠里じゃないけど、この先に行ってはいけないような気がした。


先輩たちは鳥居の額束がくずかを照らした。

額束は鳥居上部にあって、神社の名前が書かれている。


「鹿、金、神社」

「シカガネ神社?」

「いやぁ、ロクキン神社かもしれないぞ?」

「そんな、ユーチューバーにいそうな名前」

「神社だから訓読みですよ。お寺なら音読み。だからこれはシカガネ神社です」

「いや、白山はくさん神社とか音読みの神社もあるだろ」

「そんなこと言いっこ無し」

「そうだな。シカガネ神社でいいな」


先輩たちの体が完全に神社のほうに向く。

オレと翠里も仕方なくその背中についていった。

こんなところに二人で置き去りになるのも怖かったんだ。


六本の懐中電灯はかなり明るい。

それで道の先を照らす。

しばらく人が入ってこなかった神社だ。

しかし、神社。

神様がいるんだから大丈夫だろう。

翠里の頭痛は気になるけど、オレ自身霊感がないもんだから、どっちかっていうと西森さんより。

翠里は多分、そんな気がするだけのことを口に出して言ってるだけなんだ。と思っていた。


やがてお社が見えて来た。

それを見てゾッとした。

ボロボロの紙のようなものがびっしりとお社に貼られている。

上部のほうにはまだ文字が残っているものがあったが、何と書いてあるかまでは分からなかった。


「こーわ! 神様ってよりは悪霊って感じか?」

「ああ。日本の神様は良い神様だけじゃないからな」

「たたり神?」

「そうそう。祇園神とか牛頭天王とかは疫病をもたらす神で、お祭りをしてお慰めしてご機嫌をとり災厄が身に降り掛からないようにしたんだ」


え? たたる神がいるのかよ〜。

それじゃねーのか?

オレは恐ろしさの余り、ますます翠里にしがみついた。


「ちょ。……苦しいよ」

「わ。……ゴメン」


オレたちは恋人同士じゃない。オレはそうなりたかったけど、告白できずにいたんだ。

だからこれはとんだ失態だった。

怖いけど翠里から離れるしかなかった。

そんなオレたちに先輩たちが振り返った。


「どうだ。九曜くん。何か感じるか?」

「か、感じます」


「へー。どこ?」


翠里は黙ってお社を指差した。

たしかにそこには近寄り難いオーラがある。

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