第 四 話
南条先輩の車に乗り込む。
エンジンをかけ直すと、ナビゲーションシステムも復旧した。
「あれ?」
東先輩が指差したナビのモニタには道がなかった。
「とんでもない山道だよ。ナビにでないなんて。ススムのは一応最新だよね」
「一応はないだろ? 一応は」
ナビにもない場所。
とんでもない山奥の道でそういうところもあるらしい。
ナビが頼れないのは不安だが、一応車が走れるのは安心できる。
ここで光っているのは、この車のヘッドライトのみだ。
ゆっくりと草だらけの道を進んで行く。
先輩たちは怪異に出会えるならば車の汚れなど関係ないという感覚だ。
道の太さは若干広い。
車同士すれ違えるほどの広さとなっていた。
広さも手伝って、スピードもそこそこ上がる。
「ちょっと! ススム。安全運転!」
「へへ。任せとけって。四駆なんだから」
車の性能を頼りに進んで行くと、翠里が指差した。
「あれ!」
その声に、メンバー全員が視線を送る。
そこには、古い家屋があった。
もちろん電気はついていない。本当に古い。木造で草と蔦に覆われて、人がすめるような状態じゃなかった。
それも一つではない。少し進むとまた一軒。また一軒。
「へぇ! 昔は集落だったのかなぁ?」
そう。そこは集落だったらしい。
脇には道らしきものも伸びている。
もっともその枝道には入れる状態じゃない。
木や竹が生えてしまったり、倒木もある。
唯一、オレたちが走っている道がマシなだけだ。
そのうちに家屋の密集地帯となり、より一層不気味さが増した。
そこから人ならぬものが出て来たらどうしようかとゾッとした。
「……もうUターンできる広さですし、戻りません?」
と提案してみた。翠里の体調も気になったし、もう怖いのは充分だったのだ。
しかし、オレの意見はスルーされた。
南条先輩と西森さんは前で楽しそうに話をしている。
なんのハイだよって感じでテンションが上がっているのだ。
そのうちに、先輩の車は広い場所に停車した。
「すげぇ。見ろよ」
そこには大きな鳥居。
石段は手入れされておらず、草が生えていたが登れない状態ではなかった。
何より驚いたのは、参道への道のりの両脇にびっしりとお地蔵さんが並んでいたことだ。
しかも、不思議なことにお地蔵さんはにこやかに笑ってらっしゃるが、胴体の作りがなってなく手や足などの形状が全くない。
顔から下がストーンと石。いやこれは洒落じゃねぇ。
本当にそんな作りだったんだ。
「……やだ痛い」
翠里は頭を抑えていた。
ここが終着地。翠里の感じる場所。
ここにその霊体がいる。
南条先輩と西森さんはニヤリと笑い、中瀬さんはカメラの電源を急いでいれた。
オレたちは車を降りた。
荷台から懐中電灯を出し、それぞれが地蔵や鳥居を照らす。
「うわ。すげぇ。このお地蔵さん、顔がみんな違うぞ?」
「かなりお金かかってるね。でもあんまり価値はなさそうだけど」
地蔵の顔は幸せそうに笑っていた。
目のところの窪みが少し怖い。
いやよく見るとゾッとする。
怖いのでオレは翠里に寄り添った。