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家族と対面しました。


いつもの時間になり、ルディア付きのメイド――アリーシャが彼女を起こしに来た。

「お嬢様~。朝で・・・・うわぁ!?」

扉を開け、中に入ってきたアリーシャは目の前の光景に目を丸くして固まってしまった。

――まぁ、その反応、分からなくもないわ・・・。

いつものルディアならば起きていない時間に起きている。それだけならばまだわかるが、あろうことか彼女は鏡台に座り、何か作業をしているのだ。通常ではあり得ないそんな光景を目にし、固まるのは無理もないだろう。

「おはよう。アリーシャ。」

そんな彼女を一瞥し、ルディアは鏡台に付いている鍵付きの引き出しの中に先ほどまで前世の記憶を書き記していたノートをこっそりと仕舞い、鍵をかけた。

「お、おはようございます・・・。」

アリーシャは衝撃がなかなか抜けず、暫くその場から動けなかった。



その後、暫くたってからようやく動き始めたアリーシャに支度を手伝ってもらった後、家族と食事をする為に食堂へと向かった。

食堂の扉を執事に開けてもらったのでお礼を言うとかなり驚かれたが、軽くスルーさせて貰った。

・・・うん、だってめんどいもん。

中に入ると両親と三人の兄たちがすでに席に座っていた。

「おはようございます。お父様。お母様。それにお兄様方。お待たせしてしまい申し訳ございません。」

待たせてしまった家族たちにルディアが小さくぺこり、と挨拶をすると、家族たち全員が驚愕の表情を浮かべた。

「ルディア!?どうしたんだい!まだ頭が痛むのかい?」

ただ挨拶をしただけにも関わらず大げさに駆け寄ってきた金色の髪に翡翠色の双眸を持つ男性――マティア・フェニシアはルディアの肩を掴むと必死の形相で詰め寄ってきた。

この国――アストラル王国はかなり広大な領地を所有しているため王族だけでは手に余るということもあり、爵位を持つ貴族たちがそれぞれ与えられた領地を治めるようになっている。ルディアの父であるマティアはアストラル王国の宰相であり、王国一の広大な領地を任されたフェニシア公爵家の当主である。貴族の中でも最高級の地位に立つ彼を尊敬する人も多く、ルディア自身もとても尊敬している人物の一人だ。

・・・まぁ、娘に対して少し(いや、かなり)親バカなところを除けば、だが。

「もう大丈夫よ。まったく痛くないわ。」

だから心配しないで、と父を落ち着かせるありために笑みを浮かべたが、父はまったく信用していないのか不満げな顔をしていた。

「いいや、俺は信じないぞ。いつものルディアじゃないじゃないか!」

「そうねぇ。いつもは自分から挨拶なんてしないものね。」

どういうことかしら、とマティアに続いた女性――マリアンヌ・フェニシアは自身の瑠璃色の双眸をすっと細めた。

ルディアの母であり、フェニシア公爵夫人である彼女は社交界では王妃に次ぐ実力の持ち主であり、白銀の髪に瑠璃色の双眸を持つその美しい姿はゲームをプレイしていたころからルディアの憧れでもあった。

「今まで私たちがどれだけ咎めようと聞きもせず、我が儘は言い放題。迷惑をかけるだけかけて謝りもしない。お礼なんてもってのほか。そんなあなたがどういう風の吹き回しかしら?」

「えっと・・・・。」

問い詰められるように言われた言葉にルディアはすぐに返事ができなかった。

・・・確かに、母の言うとおりだ。

昨日までの『私』は母の言うとおり、自分から挨拶なんてせず、周囲への迷惑なんて考えないただの我が儘お嬢様だった。そんな娘が階段から落ちた次の日にはまるで人が変わったかのように豹変しているのである。それは何か裏があると思われても仕方がないだろう。幸い、ルディアの年齢がまだ6歳ということもあり、変に裏切り者の疑いがかかるなどはないだろうが・・・。

しかし、実際に変わったとはいえ、前世の記憶を取り戻したからこれから起こること知っています!・・・なんて正直なことが言えるわけがない。

「まぁ、母さん。ひとまずこの話は置いておいて朝ごはんを食べようよ。カインが今にもお腹が空きすぎて倒れそうだし。」

「ばっ・・・!そんな簡単には倒れねぇよ!!」

「でもカイ兄さん、一回倒れてるよね。実際。」

「うぐ・・・。否定できない・・・。」

母の問いにどうするか悩んでいると、神の助けか兄たちが割り込んできてくれた。

7つ上の兄である金色の髪に翡翠色の双眸を持つ長男レオン・フェニシアに6つ上の兄である白銀の髪に瑠璃色の双眸を持つ次男カイン・フェニシア。そして、4つ上の兄である金色の髪に瑠璃色の双眸を持つ三男グレン・フェニシア。

彼らはそれぞれ国が設立している――ゲームの舞台となっていた――学園の中等科に通い、優秀な成績を修めている自慢の兄たちだ。

「それもそうね。ルディア、この話はご飯を食べ終えてから詳しくしましょう。」

「はい、お母様。」

問題が後回しになっただけのような気もするが、兄たちからの救いの手もあり、ルディアはようやくレオンの隣の席に腰かけた。その際、小声でレオンにお礼を言うと、彼は一瞬驚いたように目を見開くもすぐに優しい笑みを浮かべ、ルディアの頭を優しく撫でてくれた。



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