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記憶をまとめてみました。

――翌朝。

いつもより早く目が覚めたルディアは鏡台の引き出しに押し込んでいたノートを取り出し、昨夜思い出したことを書き始めた。


ルディアの前世である『東宮寺玲とうぐうじれい』はごく普通の一般家庭の末っ子で、2人の姉と3人の兄に囲まれ、大切に育てられていた。彼女は所謂運動音痴、と呼ばれるもので、兎に角運動が大の苦手だった。唯一出来る運動と言えば幼い頃から続けていた弓道と剣道のみである。その代わりと言ってはなんだが、勉強はかなり得意で、常に学年トップの成績をキープしていた。

そんな彼女が高校生になるときだった。

都内随一の進学校への進学が決まった彼女へのお祝いにと従姉がプレゼントしてくれたのが所謂乙女ゲームと呼ばれるもので。

従姉に貰ったゲームをプレイしていく内に彼女はそのまま乙女ゲームにどっぷりはまってしまった。

そのとき、従姉に貰ったゲームこそ、この世界を舞台とした『DEAD OR LOVE』――通称、DOLだった。


『DEAD OR LOVE』

大手ゲーム会社から発売された、携帯ゲーム用のゲームソフト。平民出身の少女・エマとイケメンの攻略対象者たちの恋愛シュミレーションゲームであるそれは数多くの女性を虜にし、超大作として有名となった。

大まかなストーリーは「素直で明るい少女・エマはあるとき魔法を発動させてしまったことから、15歳を迎えた年に高等科に入学することとなった。その学校は魔力を持つ者だけが集まるということもあり、貴族の令嬢や子息が生徒の9割近くを締めていた。そんな中、平民であるヒロインにとっては身分の差や友人関係など、上手くいかないことばかりで心が挫けそうになっていた。そんなとき6人の攻略対象者たちと出会い、やがて恋に落ちる。しかし、攻略対象者とヒロインの恋には数多くの障害が存在していた。様々な困難を乗り越え、辿り着いた先に残るのは真実の愛か、それとも絶望かー。」という、学園モノの乙女ゲームだ。


ちなみにこのゲームの攻略対象は隠しキャラを含め全部で7人。


正規キャラは第一王子(後の王太子)に隣国の第五王子。宰相の息子である公爵子息、亡国の王子、幼馴染の騎士。隠しキャラは生徒会長の公爵子息となっている。それぞれの攻略キャラ毎にハッピーエンド、トゥルーエンド、バッドエンドの三種類がある他に攻略キャラ(隠しキャラを除く)全員との好感度がMAXの場合に見る事ができるハーレムエンドに全員との好感度が半分(全員とお友達)で見る事ができるノーマルエンドがあり、他のゲームと比べ、それぞれのストーリーがかなり細かく、まるで本当に自分がその世界で学園に通っているかのような錯覚に陥ってしまう、と発売当初は話題になったものだ。


そんなゲームにどっぷりはまっていた彼女は17歳のある日、道路に飛び出した幼い男の子を庇い車に轢かれ、命を落とした。そしてその後、この世界に転生したのだろう。


なぜ、この世界に。しかもどうやって転生したのかはわからないが、この際転生してしまったものはしょうがない。そんなことよりも重要なことがある。

――この世界での彼女の役割だ。


『ルディア・フェニシア』

今世での彼女の名前である。白銀のストレートの長髪に翡翠色の双眸を持ち、顔立ちはつり目気味だがかなり整っており、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるスタイル抜群の美人の部類に入る美しい容姿の少女。現在の彼女は6歳という事もあり、昨夜姿見で見た姿はゲームの時の姿よりかなり幼く、かわいらしい姿をしていた。そんな彼女もこのゲームに登場する主要人物の一人だ。

幼い頃に第一王子の婚約者となる彼女はゲーム内において第一王子ルートと兄である宰相の息子の公爵子息ルート、そしてハーレムルートとノーマルルートで悪役として登場する、頑張り者の悪役令嬢だ。それぞれのルートで彼女はヒロインをいじめまくり、ルートによっては宰相である父の不正が発覚し、一家共々追放される等、それはもう悲惨な最期を迎えてばかりだった。


ルディアは自分のゲーム内でのプロフィールを書き出し、うーんと唸る。

「メイドたちの反応やゲームでの『私』を見ていたら分かるけれど・・・。こりゃ、断罪されて当然よね。早いところ昨日までの私は払拭しないと・・・。後は、お父様の不正行為か・・・。」

昨日までの自分のことはこれから自分で精算出来る。しかし、父の不正行為となるとそれは彼女自身の力ではどうすることも出来ないだろう。

「兎に角、国外追放と没落だけは防がなきゃ。」

とりあえずは自分のことだけを考えることにした。



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