第四話
それから数日して。
Uドリームランドにまつわる噂がどうだったのかを聞くために、いつもの友人たちが図書館兼集会場に集まったんだ。
先に、Dがドリームキャッスルの話をしたんだけど、段々口数が少なくなってきて、地下室を見つけて扉を開けたら…って所で、完全に黙ってさ。
D「…………」
A「おい? おい!」
C「D、そこで黙るなよ」
B「おい、そんで?」
中々いい調子で話してたのに、突然黙ってさ。口数が少なくなってきたのも、恐怖を煽る演出だと思ったら、まさかの完全沈黙。
いつ続きが始まるのかと待っても、駄目だった。皆催促したんだけど、Dは口を開こうとしない。
それを見て、俺以外の全員が何かを察したらしくてさ。
A「おいおいおい! 釣りかよ!」
B「っざけんなよ!」
C「そんなオチだとは予想していたが、そういう締め方はいただけないな」
D「…………」
作り話だ釣りだ、だの、三人に笑い半分で責められても、Dは黙ったままだった。
普段から口数少なかったけど、この日は明らかに血の気が引いてたし、視線も一箇所に固定したままで、なんかおかしかった。
でも、三人はDの不審な様子に気付かなくて、しばらく軽い突っ込みが続いたんだ。
B「ま、いいさ! お前もナントカハウス見てきたんだろ! ソッチどうだったのよ」
俺「ナントカじゃねえ、ミラーハウス!」
B「アトラクションの名前なんてどうでもいいって。で? 結果は?」
それが終わったと思えば、今までのはなんだったんだよっていう切り替えの早さで、AとB、Cの三人組は俺に食いついてきた。
ま、聞かれたからには、答えないとなってことで。
俺「ふっ…この俺を見りゃあ…分かるだろ?」
ABC「………」
ここぞとばかり、俺が自分を指差してアピールしても、Dを除いた三人の反応は鈍かった。
溜息吐かれた上、生暖かい眼差しを向けてくるって、どういうことだよ。
B「えっと、ミラーハウスの噂ってなんだったか?」
C「確か、別人入れ替わり…トリック」
A「いやトリックじゃねえし! 実際入れ替わってんの!」
三人組は、すんげえ適当な会話を交わしてから「で、実際どうたったんだ?」って感じで、俺を見てきたんだ。
だから、見れば分かるだろって繰り返すと、三人は露骨に失望したような顔してさ。人が金と体張って調べてきたっていうのに、失礼な態度だった。
C「お前、楽しそうだよな」
俺「そうか?」
B「ホント、イイ笑顔してんなあ」
断じて、俺はイイ笑顔なんて浮かべてなかった。
BとCはもう興味を無くしかけてたんだけど、Aだけは得意げに、Uドリームランドがあった場所は元々村で、疫病がどうたら……とかいう話を始めたんだ。
まあまあ面白そうな話だったから、俺たちはそっちに耳を傾けてたんだけど、やっぱりDだけは、青い顔して心ここにあらずって感じだった。
A「………結局、残った村人たちは神の怒りが収まらない、とかで村を捨てることになった、つう話」
B「しっかし、お前の婆ちゃん、そんな事実知ってて遊びに行ったんだろ、なんかすげえな」
A「あ、言われりゃそうだな。そこんとこ、婆ちゃんに聞いときゃ良かったな」
俺「はいはい! どっちにしろ噂は噂っつう話な! お前ら疑ってるけど、アトラクションは動いてたからな! な、D!」
D「………ああ……ああ……」
俺「おいD! 釣りってバレたからってよ、不貞腐れんなって! つうことで、遊びに行きたい奴は行って来い! 以上! この話は終了!」
そう、最後に宣言したら、A、B、Cの三人組は、色々突っ込んでたけど、まあまあ満足したみたいだった。
なのに、Aが次はお前の番だからな、とか言ってきてさ、反射的に言い返してたら、話が脱線し始めて、気付いたら、いつもの、内容が無いような会話になってた。
けど、俺たちが下らない話してる間も、Dだけは暗い顔のままで、沈黙してた。俺はそんなDが気になって、ちらちら見てたらさ。
ふとした拍子に、Dが俺に気付いたみたいでさ、アイツ、こっち見てきたんだ。
そしたら、さ。
お、目が合ったな、なんて思った瞬間、なんか知らないけど、Dは目を見開いて怯え始めたんだ。
なんだなんだ? 俺の後ろに何かいるのか? って振り返っても、コンクリ壁があるだけ。
意味が分からなくてDに顔戻しても、アイツ、俺を凝視したままだった。
D「……お、おい…………まさ、か……お前…」
Dの声は、あまりにも小さくて、俺には何を言ってるか、分からなかった。まあ、すぐAたちに声かけられたから、そっちの会話に夢中になったっていうのもあったけどさ。
でも、俺たちが解散するまで、Dは俺のことずっと見てた。
あれ、なんだったんだろうな?
俺「別人みたい…っていうほど、変わってないのにな」
A「ん? なんか言ったか?」
俺「いんや、何も」
こうして、俺は何事も無く、いつもの日常に帰ってきた。
あれは本当に現実だったのか。
それとも恐怖のあまり見せた幻なのか。
今でも分からない。
きっと『俺』は、そう思ってるんだろうな。
…『向こう側』の『俺』は。
止まった時間の中で。
これにて完結です。
ここまで目を通していただき、有難うございます。
次話は後書きになるので、興味のない方は飛ばしていただいて構いません。
ここまでの一読、有難うございました。




