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スナイパーは夢を見る  作者: 化原優介
3/4

兄と妹

よし、人格も作れた。いざって時には、すぐに交代できる。

あまり時間は経ってないはずだが、......ここ何処だ?


「お、目覚めた」


あ、やっぱり面倒だな。鈴果に任せよう。

よし、ちょっと人格会議でもしてくるかな......




「鈴果?どうしたん?」


「ん?いや、何でもないよ。ちょっとちょっと疲れちゃっただけ」


「あ~、疲れとるんなら、今日はもう帰る?」


「ん...いや、勝くんを待つよ」


「え!?今、勝くんって...」


あ、そっか!今の私は、記憶が無い設定なんだ!

もう、鈴音さんも余計な事をしてくれたよ!


「あ、えっと。全部思い出した訳じゃないんだけど、そう呼んでたってのは思い出したから。...間違ってた?」


「い、いや。合っとる。...あ、えっと~じゃあ、部活が終わるまで待っとって」


「うん」


......あ~あ。行っちゃった。私が本物の鈴果じゃなくても、この気持ちは本物のなんだよね...。

少し待ってるだけ、離れてるだけなのに、寂しい......。もっと、話したい。

......こっちの世界では、ずっと私を出してくれないかなぁ。

そしたら...きっと..........。


「お姉ちゃ~ん!」


「わぁ!?」


「えっへへ~。ゆいの所もやっとHRおわったんだ~!」


「あ、ゆいちゃん。もう、いきなり飛び付かないでよ。椅子も倒れちゃったでしょ?」


「う...ごめんなさい」


「分かればよろしい」


......うん。この子が私の妹のゆいちゃん。...で、良いんだよね?

同じくこの戦闘部に入ってて、前線で弾幕をはるんだっけ?何?機関銃?う~ん。まだ記憶を全部は把握できてないんだね。

まぁ、コツコツやっていこうかな。


「あ、お姉ちゃん!今日ね、お兄ちゃんの...お参りに行くみたいだよ!」


「え、そうだったの?」


いや、名前知らないよ?

兄がいるの?まだそれは分かってないことだよ~!


「名前...言える?」


「え?あ、ちゃんと言えるようになったんだよ!

......杉原鈴音」


!?...鈴音?いや、まぁ、この世界の、だしね。

鈴音さんが実は亡霊だった、とかだったらもうどうしようもないよ。

.......ただ、今ので少しわかった。こっちの鈴音...お兄ちゃんは、私を庇って死んじゃったんだね。

殺人グループから、私を守って..............。


そして、それをきっかけに。

私はこの戦闘部に入ったんだ。


基本はスナイパーだけど、近接戦のために格闘も少しは出来るみたいだしね。


「うん。合格。ちょっと待ってて。勝くんに伝えてくるから」


ゆいちゃんは、ついてきてないね。

え~と、勝くんは...あ、いたいた。あれは、ショットガン?


「勝くーーー」


ドゴォォン!


「し、勝ーーー」


ドゴォォォン!


「.......勝く~ん!!!」


「うわっ!?え?あ、鈴果?どうしたん?」


やっと気づいてくれた~。音が大きいよ...もうっ。


「部活が終わったら、お兄ちゃんのお墓参りに行かなきゃいけなくて.......」


「あぁ。鈴音さんのか......。...俺も行って良いかね?」


「え?多分、良いと思うけど...」


「じゃあ、よろしくね」


え?なんで?

なんで勝くんも行くの?今まで一回も行ったこと無かったんだよね?


......まぁ、行ってもいいか、ゆいちゃんに聞いてこよう。

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