俺はどうなったんだ?そしてどうなる?
.......寝た。確かに俺は、家で寝たはずだ。
決して、学校では寝てない。
そして、仮に学校で寝たからといって、自分がスカートをはいている意味が分からない。
そして、何故周りのやつらはそれに反応していない。
いやそれよりーーーーーーーーー
何故、俺の胸が膨らんでる?
嫌な予感しかしない。
男にはなくてはならないあれは.......。
無かった。
顔は、鏡がないから見えないが、体は間違いなく女になったんだろう。髪も長いし。
で....授業中か。
なら、この間に色々調べなくちゃな。
まず、俺はここではどういう立場なのか、を。
何か鞄に入ってねぇかな~...って、何でスマホがあるんだよ?俺はスマホ持ってないぞ?他の人格の時に買ったんだとしても、こんな、ピンクやら水色やらのスマホは買わない。俺達3人は揃って黒が好きなんだ。あり得ない。
ま、まぁ見よう。
...................................。
..........................................。
.................................................。
.......まぁ、なんとなく分かった。
..........
つまり、この体は俺のじゃないと。
いや、完全に違うとなったわけじゃあない。
まず、名前は、杉原 鈴果。
これは、俺が女として産まれてきたときにつけられるはずだった名前だ。名字も、母の家のが杉原で、納得がいく。
次に歳。15。誕生日も俺と同じだ。
背は違うし、体重も違うだろうが、元々背が低めの160くらいの俺からすればちょっと縮んだくらいで、行動に支障はない。
他にも色々、共通点はある。
が、まぁ、それはたいしたことじゃあない。
無視していいだろう。
無視出来ないのは、彼氏がいるってことか。しかも俺の数少ない友達である、徳川 勝。
複雑すぎる。友達とどうやって付き合えと?しかも、この鈴果の性格も知らない。付き合いようがない。
「今日はもう終わるよ。皆、チャイムが鳴るまで教室の外には出んようにね」
あー、流石、広島。そうか。ここは広島でいいのか。
俺はあんまり広島の言葉使わないからなぁ。標準語が良い。
っと、やべ、もう終るのか。そんなに考えてたのか...。
というか、もうHRして部活か...いや、どの部活に入ってんだ?
俺と同じくサッカーか?わからねぇなー。
まぁ、それとなく彼氏さんに聞いてみるか。えーと、どこにいるんだ?
「鈴果、どしたん?」
「え?あっ...と、勝」
うわ、隣かよ。マジか。心臓止まるかと思った。
...いや、俺の周り、ほとんど俺の数少ない友達じゃないか。
なんだよ、羨ましいな。
「えっと...どしたん?」
「あー、いや、えっと..........」
えっと、何を聞くんだっけ?
部活、だよな?
「えと、部活は...」
「ん?戦闘部がどうかした?」
.............は?
「戦闘部の字を書いて」
「?.......はい」
「やっぱりか...」
戦闘部....なんだよ。このいかにも危険そうな部活は。
は?それに入ってんの?バカなの?
「あ?鈴果、戦闘部にでんのん?」
おうっ!?陸さん!?うわー。黙ってるからいきなりはちょっとビックリだわ~。
「....................」
「え、えっと、どうか?」
「徳、井手、ちょっと鈴果を拘束」
「え?」
は?何故?
って、井手木もいるのかよ...。
で、何が始まるんだ?
「...ほ~ん?そういうことか。先生、部活で早めに抜けます」
「ん?あぁ、戦闘部?わかりました」
「よし、行くで」
よし、じゃない。なんだよこの状況。意味が分からねぇ。
陸さんは..........。あ、まさか?そういうことか?
...で、着いたのは体育館?でも無さそうだな。体育館は他にある。てことは、ここが部室か練習場所か。
「さて、鈴果。お前、誰なん?」
「え?陸さんどうしたん?鈴果じゃろ?」
「井手、ちょっと黙れ」
いま、大事な話をしてるんだよ。
でもまぁ、理解出来ないだろうな。パラレルワールドの奴が、この体に憑依したなんてことはよ。
「流石です。陸さん。今の私は、記憶が殆んど残ってません」
「で、スマホで確認していたと?」
「はい」
まぁ、記憶喪失が一番手っ取り早い。
「.......理解した。ま、このまま練習しよーで」
どこまで理解されたのかはわからねぇけど、これでひとまずセーフか。
「徳、あとは任せた。井手、今日も爆弾以外の練習の」
「えぇ~。私は爆弾で充分ですよ~」
あ、こっちのも私って言うんだ。新たな発見。
「あー...鈴果。俺の事は覚えとる?」
「徳川 勝。弟がいて、私の彼氏」
「あ、そこまでは覚えとんじゃ?」
「うん。全部忘れてるって訳じゃないみたい」
嘘だ。弟がいるってのも、俺の世界をベースにしただけ。彼氏ってのもスマホを見たときに知ったんだ。
「じゃあ、自分が使っとる武器は覚えとる?」
.......だよなぁ。戦闘部だもんなぁ。武器、あるよなぁ。
「...わ、わからない」
「そっか...じゃあ、一応渡す」
あ、渡すんだ?
何を使ってたのやら。
「はい、いつもと同じ武器の、訓練用」
「スナイパーライフルと、コンバットナイフ..........」
マジかよ!めっちゃ戦闘じゃん!?
スナイパーか。というか、訓練用といっても切れそうだな。
撃ち方はわかるが、弾の装填はどうやるんだ?
「分からんみたいじゃね。弾は、ここを下に下ろして、戻すだけ」
「へぇ~。凄い。レバーみたいなのがあるのかと思ってたら、指一本で終るんだ?」
「そう。じゃあ、あれ狙ってみて」
.......あのマネキンか。よし。
うつぶせで射つんだっけか?スコープは、これ?
「......やっぱり、違うね」
「え?」
「いや、なんでもない。射って」
「?...わかった」
ゲームでこういうのは一応知ってるからな。え~と?確か、息をどうするとか、レティカル?あ、駄目だわ。全然理解してないし。
ま、とりあえず...!
タンッ!
「あ、外れた..........」
「...そうじゃろうね。鈴果は元々、スナイパーに向いてなかったんよ」
「向いてなかった?」
「そう。でも諦めんで辿り着いたのが、射つときの姿勢」
姿勢?普通にうつ伏せじゃないと?
「鈴果は、若干斜めで射っとったんよ」
「な、斜めで?」
「うん。それ、脚が付いてないじゃろ?それは、斜めで射つから」
あぁ、成る程ね。
でも、とりあえずやらなきゃいけないことが一つあるな。
「えっと...勝?くん?.......後ろを向いてて。多分悲鳴を上げるけど、気にせずに」
「は?あ、うん」
よし、それじゃあ、この体にあった人格を作るかねぇ。作るときは頭が痛くなるからなぁ。あんまりやりたくなかったんだが、しょうがないか。
「...ふぅ。よし。..............................うっ!あ、ああああああああ!あぁぁ!はぁ...はぁ....!くっうあああぁぁ!」
「ちょ、えぇ!?大丈夫なん!?」
「だ、だい...じょ、ぶ。だか......ら..........」
あと、少し!
あと、少しで......終わる!
「うぐっ!!あああああああああぁぁぁぁぁ!!!」
「お...!..んか!......しっ..!....気を.................」
あぁ。いつもの、シャットダウンの時間だ......。
『お前から来るとはな。オリジナル。話すのは久しぶりだな?』
『久しぶり、鈴音』
「よ、エドウィン。リオス。最後に会ったのは...あのステルベンとか言うのを消したときか?」
『だな。まぁそれはいい。で、今回はまた面倒な事になったなぁおい!』
『今回ばかりはエドウィンと同じだよ。別世界?パラレルワールド?しかも性転換?面倒だねぇ』
「ま、なるようになるだろう。ほら、目が覚めたら俺達がいた世界かもしれないぞ?」
『まさに、夢、か。だといいがな。ま、こっちはこっちで面白そうだしな』
『でも、戻れなかったらどうする?あんな詰まんない世界でも、やり残してることはあるんでしょ?』
「まぁな。3つ4つあるが、その内2つが女絡みってのは、俺がチャラいような感じになってしまうよなぁ」
『ま、こっちの世界にもいるんじゃない?パラレルワールドっぽいし』
『パラレルなら、ヘタレなお前でも、失敗しても問題ないだろう?』
「うっせ。ヘタレ言うな。......まぁ、そろそろ本題に入ろう。きりがない」
『だな。...新しく俺らと運命を共にするこいつの名は?』
「まぁ、安直に...鈴果。だな」
『だよねぇ。僕みたいなリオスとか意味分からない名前じゃなくて良かったね』
『......?』
「お、目覚めたか。お前には、この体の脳の記憶を受け継いで貰う。俺達はもう神田 鈴音の体の記憶を所持してるからな...。
お前は、鈴果だ。その記憶に従い、正しき方向へと持っていけ」
『..........わかったわ、鈴音さん。』
さて、これからどうなるのやら..........