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零の月  作者: 海月くらげ
第2章
9/12

魂の同調

紫苑視点です。

*****


(オレ)は復讐に身を捧げたもの


最愛を傷つける全てを断罪するもの


かつて(・・・)英雄と崇められ

世界を一つ滅ぼしたもの


(オレ)の魂に刻み込まれた業

消えることのない罪


(オレ)と先ほどの愚かな神はどこか似ていた

激情に駆られた蹂躙と殺戮は

(オレ)の復讐と同じもの


復讐に魅せられ殺戮に手を染め

全てを蹂躙し滅ぼした


遠き日の過去は陽炎となり浮かんでいる

再び繰り返さぬために


*****


愚かな神に別れを告げて俺と玲音は莉音ちゃんのもとへと向かった……はずだ。


「な、なあ玲音君。なんだか落ちてる気がするのは俺だけかな?」


「うん落ちてるよ?」


それが何か?とでもいうような軽さだった。


「だよなぁ……ってはぁぁああ!!!???」


何言ってんのこいつ?

いやいや何、平常心保っちゃてるわけ?


「うるさいよ、静かにして。」


ピシャリと言われた

いや言われたよ?

言われたけどさ……


「無理に決まってんだろぉぉぉ!!!!」


―――――その程度でグダグダ言うなんて、ちゃんちゃら可笑しい害悪ですこと。そのままあなたの周りに(たか)っている大量の雌と生ごみ共々焼却して差し上げますので並んでくださいます?もしくは、人目につかない山奥か何処かで集団心中自殺でも図ってくださいませ。あなたに染みついた腐敗臭が可愛い可愛い莉音に移ってしまいそうで私は殺意が芽生えそうなのです。とりあえず、死んでくださいます?


ああ、これが走馬灯なのかな?

ふふふ、楽しくもないのに笑顔がこぼれちゃうよ。

あれ?どうして涙が出るんだろう?

あはは~可笑しいなぁ。


「こんなのが走馬灯だなんて認められるか!!!!」


うぉぉおおおい!!!!!!!!

地面がすぐそこまで迫ってやがる!!


「ぎやぁぁぁあぁああぁぁぁ!!!!!!!!」


グチャ バキッッッ


あちゃー、どっかの骨が折れやがったな…


「両足の骨が逝ったな…。

あー、だいたい30秒ってとこか?」


久しぶりに怪我しちまった……。

面倒くせぇ。


「玲音~?大丈夫か~?」


そう言う俺の隣に何かがフワリと着地した。

もしかしなくてもアイツだ……。

こんなことできるのはアイツしかいねぇ。


「僕なら全然大丈夫だけど?

そんなことより早く治してくれない?

莉音のところに行きたいんだけど。」


流石は莉音至上主義者……。

シスコンすぎていっそ清々しいな。

もうそろそろ動くかね~?


「うし、完治したぜ~。

それで、莉音ちゃんの居場所は分かってんだろ?」


「当たり前。……ただ、莉音の近くにある朱里の気配が変なんだよね。」


なんか変って……暴走状態ってことか?


「あの冷酷無慈悲な氷の魔女にキャパ超えるほどの衝撃与えるって、どんな奴だよ…。」


「とりあえず急ぐから。なんか嫌な予感がする。」


おいおい、玲音が言うとフラグ立つだろうが。

しかもお前の予感は基本的に当たるんだからよぉ。


「とりあえずこの世界には魔法あるらしいから。莉音のとこまで行くよ。」


紫苑も使ってね、とサラッと言いやがった。

使い方なんてしらねぇよ!!


「力ある言葉で叶えたい事象を言うだけだよ。」


できるよね?出来なかったら殺すぞ。

と目で訴えられた。


えーっと、力ある言葉だろ?

んー、んぁ?

なんか記憶の中に変な記憶(モン)混じってんぞ?


誰かの記憶?

……あぁ、あの愚かな神の持ってた記憶(モン)か。

俺の中の大罪に同調したんだな。


ふーん、なら簡単じゃねぇか。

コレを言えばいいんだろ?


「「 【転移】 」」


身体の細胞が一つ一つバラバラに分解されてくみたいな感覚がする。

その感覚に慣れるために目を瞑った。




どうか次に目を開け見る世界が幸せなものであってほしい、と祈る神もいないのに願ってしまった。

そんな自分に気づいて思わず嗤った。


どうか無事でいてくれ(オレ)の最愛。



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