表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
零の月  作者: 海月くらげ
第2章
6/12

向けられし悪意

それは、突然起こりました。

いつものように大切な莉音を守りながら帰っていたのです。


あの光輝く魔法陣が現れた時に

私たちの日常が壊されたあの時に

再び神々の理不尽が莉音(あのこ)を襲ったのです。


目の眩むほどの光に思わず目を瞑りました。

そして、目を疑いたくなるような光景がそこには広がっていたのです。


「ここ……どこ?」


私と同じように起き上った莉音は震える声で言いました。


「莉音、大丈夫?」


「う、うん。朱里のほうこそ大丈夫?」


こんな状況にあっても他人を気遣う優しい莉音。

莉音のほうが怖くて震えてるのに。


「私は大丈夫。」


それに彼ら(・・)の用事があるのは莉音へのようだ。

こちらに向かってくる者たちの中で一際派手な男が口を開いた。


「ほう…、魔力の量は底知れぬが茶色とはのぉ。

まあ器量も悪くはない…、良しとするか。」


なぜか(・・・)分かる言葉は悪意あるもの。


派手な男は近くの兵士に命じたのだった。


「あの女、捕えよ。」


派手な男のその命令を聞いた兵士たちが

下卑た笑みを浮かべながら莉音に近づいていく。

今にも莉音を捕らえようと汚い腕を伸ばす醜い男たち。


「莉音に触れるな」


汚い男の腕を私はダガーナイフで落とす。

薄汚い血が噴き出しているがそんなもの関係ない。


「その女を我に寄こせ!!」


暗器として隠し持っているダガーを両手に持つ。


「朱里……」


心配そうに私を見ている莉音が袖をつかんでいた。

莉音はきっと私が血塗れになっても、変わらず今のように心配してくれるのだろう。


「大丈夫、安心してて。きっと莉音のお兄さんが来てくれます。」


そして、あの余分な紫苑(害悪)と一緒に。


私たちを取り囲むように近づいてくる兵士たち。

それらは皆一様に油断している。


「暗殺を得意とする私の前で、そのように構えていて大丈夫でございますか?」


気配を消し、音を消し、姿でさえも消す。

暗殺を極めし私は認識されることを許されない。


「どこを見ておいでですか?私はそこにはおりませんよ?」


嘲るように言う私の挑発に乗ったのは、いまだ若い兵士たちだった。


「貴様っ!!我らを愚弄してただで済むなどと思うなよ!!」


きっと本当の殺し合いなんてしたことがないのだろう。

実力の差に気づかない弱者は、強者に食い殺されて終わりだというのに。


「あらあら、弱い犬ほどよく吠える、とはよく言ったものでございますね。」


私たちを取り囲む兵士たちを血染めにしながら、さらに挑発を行う。

莉音に狙いが行かぬように。

全ての悪意が私に向けられるように。


しかし、そんな願いも叶うことはなかった。


ナニカが莉音を傷つけた。

ゆっくりと倒れる莉音の身体。


どうしてか莉音は笑顔を浮かべていた。

辛そうにしながらも、まるで子供を安心させるために笑う母親のように。

涙に濡れた顔で笑顔を浮かべていた。


ああ、どうして?

どうして莉音が傷つかねばならないの?



傷つけられてしまった。

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故



 ア   イ   ツ   ラ

       

    ガ     莉   音  ヲ 

 

  奪    オ  ウ  ト 


     ス   ル カ       ラ



ブツリと思考回路が焼き切れる音がしました。


莉音以外すべて滅べばいい


心からそう願いそうになりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ