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前触れ
「もー!!!!ちゃんと起きてないのに階段使っちゃ駄目って言ったでしょ!!」
まぁ、言われてたけど。
だって、呼ばれたし……。
ピンポーン
「朱里が来ちゃったじゃん!!」
んー?朱里?
誰だっけ……?
「………………??」
!!そうだ、思い出した。
小鳥遊 朱里だ。
莉音の友達の。
「お兄ちゃん?」
考えてる間に黙ってたから心配してるみたいだ。
キョトンとしている莉音が目の前にいた。
「大丈夫だから、学校行っておいで。」
遅刻するよ、と付け加えると莉音は笑った。
まぁ、朱里がいる限りそんなことは起こらないけど。
莉音は元気な声で、行ってきますと言って家を出た。
「行ってらっしゃい。」
*****
「……………………」
今日は、なんだか空気がおかしい。
どこか悪意のような、狂気のようなものが漂っている。
何もないと良いんだけど。
こういう日は、何かが起こる。
一応、呪いは施してあるけど、心配だ。
祈ることはしない。
神の救いなど、認めない。
神は何時だって残酷で無慈悲。
僕たちに与えた……いや擦り付けた運命のように。