表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怖いお話  作者: 植木鉢
1/6

欝電話

深夜零時。


この時間になると、必ず電話がかかってきます。

そして、ある男がその迷惑電話に悩まされていました。

その電話の内容が……


「助けて……」

「殺して……」

「許して……」


こう、一言呟いてから一方的に電話を切るのです。


=============


(ピリリリリッピリリリリッ)


「……またか」


男が電話を握りしめ、ため息をつきました。

電話の着信を見てみると、《非通知》と表示されていました。


「一応……出るか」


そして男は、電話の通話ボタンを押しました。


「………………助けて」


(プツッツーツーツー)


「……くそ!なんなんだよ!気味悪い!」


そう叫びながら、男は電話を投げ捨てました。

今月に入って、毎日かかってきています。

しかも、決まって深夜零時に。


「……次かかってきたら、文句言ってやる!」


男は深夜だというのに大声を上げて、ベッドに潜り込みました。

そのあと、よく眠れるわけもなく、結局男は朝まで眠れませんでした。


=============


翌日深夜零時。

いつも通り、電話がかかってきました。


「よし……今度こそ……」


男は文句を言ってやろうと、電話を取った瞬間、怒鳴り散らしました。


「おい!誰だか知らないけど、いい加減にしてくれ!毎回毎回……迷惑なんだよ!」


するといつも一言言って切るだけなのに、今回は何も言いません。

なんだか、異様な雰囲気を醸し出しています。

いつもと違う、そんな感じでした。


「………………やっと……」


男がその雰囲気に圧倒され、体を震わせていると、電話の向こうで、そう声が聞こえ、それに続きクスクスと笑い声が聞こえてきました。

そして、いつもの声ではなく、たくさんの声が電話越しに聞こえてきました。


「もう限界なんだ!誰でもいい!オレを殺してくれ!」

「助けて……助け……て……」

「許して下さい、ゴメンなさい、もう二度としません、ゴメンなさい、ゴメンなさい」


ある声は怒りをぶつけるように、またある声は消えそうなほど小さく、またある声は泣きながらと……とにかくたくさんの声が聞こえてきました。

男は気味悪くなり、すぐに電話を切りました。

しかし……


(ピリリリリッピリリリリッ)


電話の着信音は止むことなく、鳴りつづけました。

時には通話ボタンを押していないのに、声が聞こえてきたりもしました。


「やめてくれ!もうやめてくれ!」


精神的に参ってしまった男は、頭を抱え、その場に倒れました。

着信音は、今だ鳴り止まないままでした。


=============


そんなある日、男は電話を取りました。

そして、ある所にダイアルを合わせました。


(ピリリリリッピリリリリッ)


「……はい、もしもし」


電話が繋がった瞬間、男はこう言いました。


「………………助けて」


(プツッツーツーツー……)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ