第七話 希望
一条と名乗った男は丸テーブルに座り、みんなが聞こえるように大きな声で話し始めた。
「さっき言ったとおり下では違法実験が行われていたんだ。そしてあるとき、ある人体実験を試みたんだ。しかし、それは失敗に終わった、いや、成功といえば成功だったんだが、作り出されたものはあまりにも危険だった。それで、処分すべきか議論が行われた。両者一歩も引かなかったよ、世界がひっくりかえるようなことだったからな。」
「それで、どうなったんですか?」
秀がたずねると一条の目は少し曇り、また話し始めた。
「次第に討論は激化した。そして誰かがARISUを暴走させたのだ。」
「ARISUってなんですか?」
「そうか、覚えていないんだな。ARISUとはクロックタワーの全機械システムをつかさどるマザーコンピューターだよ。どうやら暴走したARISUは機械を使ってすべての人間を殺そうとしている。」
「そ、そんな・・・・・・」
雪は絶句する。
「一条さん、俺たちが助かる方法はないんですか?」
「・・・・・・・・・・ないな。」
「そんな。」
「でも、もう一度、クロックタワーに入れれば何とかなるかもしれん。でも、あそこの扉はしっかりと鍵がかかっていて入るのは不可能だがな。」
そのとき秀たちの目が光った。
「一条さん、クロックタワーに入れればいいんですよね。」
「ああ、そうだが」
「なら大丈夫です、クロックタワーの扉なら俺たちが開けましたから。」
「どういうことだ!説明してくれ」
「俺たちはじめはクロックタワーの中にいたんです。それで・・・・・・いろいろあって・・・・抜け出してきたんです。」
「そんな、ありえないARISUのシステムは完璧のはず、多少遊んだとしても必ず抹殺されるようになっているはずだ。」
一条は必死に熱弁した。
「とりあえず俺たちは脱出できるのか?」
鉄が希望に満ちた、はきはきとした声でたずねる。
「まぁ、そういうことになるが・・・・・・・・・・・なぜ?」
そのとき一条は雪に隠れるようにしていたミカをみつけた。
「そ、その少女はなんだ!」
「え、ミカちゃんですか?ミカちゃんは私たちと一緒にクロックタワーにいたんです。」
一条は首をかしげて考え始めた。
そして思いついたように手をたたくとぼそりといった。
「ARISUにも予想できない、不確定要素があったということか。」
「え、何ですか?」
あまりにも小さい声だったので秀はたずね返した。
「気にするな、とりあえず助かる方法が見つかったんだ。今すぐ出発するぞ」
その掛け声と供に、みんな立ち上がった。
返信が遅れてすいません。
でも、一段落ついたのでどんどん書いてきます。