第三話 生き残り
怪物が血の滴る口を秀に襲い掛かえろうとする。
しゃがみこんだまま体が緊張してうごかない。
秀は目をつぶって死を覚悟した。
そしてまさに、怪物が秀を頭から包みこもうとした、その瞬間
ダッダッダッダッダッ
銃声と共に怪物の悲鳴が聞こえた。
秀は恐る恐る強くつぶったまぶたを開く。
目の前に怪物はいなく、脇の方で緑の液体を体内から流して横たわっていた。
すぐさま、銃声のしたほうを見ると、そこには二十五歳ぐらいの男が短機関銃をもってたっていた。
秀はつい歓喜に胸おどった。
その男は、アメリカの特殊火器戦術部隊みたいな格好をしており、短機関銃のほかにいくつか武器みたいのが見て取れる。
男は秀に近づき手を差し伸べて立たせる。
「まだ、生きてる人間がいたとはな」
男は少し驚いたように秀をまじまじと見る。
「あんた、どこの課だい?」
「え・・・・・あっ・・・・」
秀は突然の、意味不明の質問に戸惑ってしまった。
何が言いたいのか分からないのだ。
「いや、言いたくないのなら別にいいが。それより、ここら辺で人を見なかったか?」
「ひょっとして、あれですか?」
秀は怪物にやられた、無残な肉の塊を指差す。
男は様子を見にいく。
「ちっ、山崎が死ぬなんて、生物課はいったい何が作りたかったんだよ。」
ショックをうけたの男はかなり取り乱れていた。
「生物課ってなんですか?」
秀はふと気になるワードが出たので尋ねてみた。
「お前、しらないのか?あの怪物つくったのは生物課のやろうだぜ」
まだ怒りがおさまらないのか少し声に怒気がふくまれていた。
「いや、そういうじゃなくて、生物課ってなんなんです?ってかここはどこなんです?なんで俺が此処にいるんですか?」
「お前ひょっとして、記憶がないのか?」
あっけに取られたように男は普通の声に戻った。
「・・・・・はい」
「そうか、抜け出すときに何かさせたんだな」
男は真剣な顔をして考えこんだ。
「ん〜そうだな、まずは此処は危険だから俺達が隠れてるとこに来い、話はそれからだ。」
「はい、でも、まだ森の奥に仲間がいるんです。」
すると、また男は考え始めた。
「ここら辺は、あの怪物が巣くっていて危険なんだ。弾の無駄使いも避けたい。此処から近いのか?」
「はい、十分ぐらいでいけます。」
「そうか、じゃあいこう。」
「はい・・・・・・え〜と・・・・・」
「鉄だ。鉄哲」
「大幢秀です。鉄さん、よろしくおねがいします。」
「まかせときなこれでも戦闘には慣れている。」
そうして、秀と鉄は洞窟にむかった。




