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第十二話 真実

柊はあきらめずに、扉をひたすらたたいていた。

「開けて、みんなそこにいるんでしょ?」

でもその声は、聞こえることなく、無残に壁に吸収されていった。

「先輩、死体がたくさん着ますよ」

柊はさっと後ろを振り返る。

「もう駄目ね、ほかの出口を見つけるわよ。」

そういって近くにある扉を片っ端から開けた。

「先輩ここなんてどうです。」

二人は部屋の中に入り、しっかり扉を固定する。

部屋の中は、さまざまな武器が置いてあった。

「すごいですね、先輩」

「護身用に貰っておきましょ。」

そういって二人とも銃を手に取る。

そのとき、奥のほうでうめくような声がした。

二人はビクッと肩を揺らし、銃を構えて音のしたほうに歩み寄る。

「動くな!」

柊はそういって物陰に銃を突きつける。

でも、そこにいたのは、白衣を着た中年のおじさんだった。

「貴方は?」

柊が尋ねても返事は返ってこない。ただ、うめき声を上げるだけだ。

「先輩、どいてください。きっと毒でも飲んだんですよ。」

そういって、芹澤はバックから薬草を取り出し、調合し始めた。

それで、できた粉をおじさんの口に含ませる。

しばらくすると、おじさんの呼吸も落ち着いてきて、話せるようになった。

「ありがとう、君たちは、いったい?」

「私たちは上で働いていたものよ。一条さんとこの地下にある船を捜してるの。」

「い、一条、あいつが生きてるのか?」

おじさんはやけに慌てた様子で立ち上がる。

「もちろんですよ。」

「一条を殺せ、あいつのせいでこんな目にあってるんだ。一条を殺せ。」

「どういう意味ですか?」

「お前たち、実験のことは知っているか。」

二人とも首を立てにふる。

「なら、話は早い、実験では幼い子供が使われたのだ。脳の実験だったから子供が適任だったのだ。でも、俺たちはとんでもない間違いをしていたんだ。子供は脳の使っていない部分を使うことができ、未来が見えるようになった。」

「それで?」

「でも、所詮はこども。人に会うと死ぬ時間、死ぬ場所、死ぬ理由を言って回った。そこで一条は子供を殺すように命令した。しかし、これもまた子供。周りから同情されて殺すのは反対された。」

「分かりました。それで一条さんはARISUを暴走させ、皆殺しにしようとしたんですね。」

いきなり芹澤が割ってはいる。

いいところを取られたおじさんは不満そうだった。でも、次第にその顔が青ざめていく。

「どうしました?」

柊が肩を揺さぶる。

そして次の瞬間、柊の首筋におじさんが噛み付いてきた。

柊の首から大量の血が噴出す。そのどす黒い血が芹澤の顔面に降り注ぐ。

芹澤はとっさに銃を構える。


バン、バン、バン


はじめの二発をくらっても、特に反応は示さなかった。

でも最後の三発目、見事におじさんの心臓に直撃、その瞬間おじさんは空気が抜けた風船のように倒れこんだ。

――寄生虫は心臓にいるの?

そんなことを思う。

――それよりも早く一条さんのことをみんなに伝えないと

そう思って立ち上がり、扉に手をかけたその刹那、背後に気配を感じる。

芹澤は銃を構え、後ろ振り返る。

そこには柊が立っていた。確かに、血の気のない顔でよろよろとこっちに近づいてくる。

「そ、そんな、先輩」

寄生虫はどうやら感染するらしい。どういう経路を通って感染するかは分からないが芹澤は、その真実を知り、足がすくんだ。

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