表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

ダイブ

西暦20XX年ー世界は大きな変化を迎えた。

大規模な技術革新により宇宙空間ではコロニー建設月では大規模な都市が建設されるなど人類は宇宙へ進出していった。

しかし些細な誤解や擦れ違いなどから宇宙と地球の戦争は始まった。

さらに地上では西、東、中央の大国も争っており戦況は泥沼を辿った。

もはやいつ血で血を洗う…つまり核が撃たれてもおかしくない様な状況であったが、二年半年後に各国の戦力の疲弊により戦争は終結。

この戦争で各国の企業は莫大な富を築きあげ、戦争で得た技術を有効利用しさらにその富を増やし続けている。

今回の依頼者であるフローレン家もかつては普通の会社であったが、世界で初めて実用性のある二足歩行ロボットを開発。

本来は作業用のロボットであったのだが戦場で装備を施した機体が思わぬ戦果を上げたため軍部は、正式採用を決定した。

情勢が安定している現在でも宇宙、地上問わずに軍、民間問わず、日夜運用されている。

確か俺もF.O.B.Cの仮想現実のヴァーチャルミッションで、当時の最新だった初期型の第3世代フレームまでの運用経験がある。


…話は完全に逸れたが、以上のことからフローレン家の経営する親会社や子会社は莫大な富を築いた。

まぁ、それが原因であちこちの会社から面白くないように思われ命や富を狙われるっと…


今は引退した初代社長は極々平凡だがあると便利な作業運用の機体として開発したのにねぇ…


「皮肉なものだな」


「…どうしたの?」


俺の独り言にエリスがこちらを向き反応してくる。

思わず声に出してしまったようだ。


「いや、なんでもないさ…さて、そろそろ離陸するわけだがどうやら今回は過激に入国しないといけないな」


「依頼人は身分証明なんかは用意はすると言ったが…まだもらっていない」


「つまり答えはそういうことですよね、メイドさん?」


俺はエリスに説明をしている間に気配を消して近づいてきたメイドに質問を投げかけてみる。

この自家用機に乗り込んでいた時から気がついてはいたがこのメイドの眼は俺と同じだ。

足音一つにしてもそれがいえる。

極力音の出ないようにする癖が身についた隙の無い身のこなし。

ロングスカートが揺れるたびに微かに聞こえるアップル[手榴弾]の安全ピンの音…。

立ち位置一つにしてもこちらが手を出しにくくそれでいて自分からは狙いやすいポジションを取ってる。

まさに美女と呼べる顔立ちだが、この綺麗な花には棘どころか…そうだなクレイモア[対人地雷]がくっ付いてる…。


「その通りです」


「私の名前はイリスと申します、以後お見知りおきを…」


「俺は、ソラ…日本でいう苗字はないからソラで構わない…んで、こっちの小さいのがエリスだ」


隣に随分と可愛らしい般若がこちらを見て睨んでいるような気がする…

そんな般若を横目でチラリと確認して片目をつむりながらジョークを言ってみることにする。


「よろしければ向こうについた後お茶でもいかがかな、お嬢さん?」


「無事に護衛が終わって本国に戻りましたら喜んでお引き受けしましょう」


彼女もコミュニケーションの一種というのは分かっているようで片目を瞑り合図をくれる。

さすがにこれ以上隣の可愛い般若の機嫌を損ねるのは不味いからそろそろ遊ぶのも止めることにする。

なぜか知らないが腕が抓られているような気がしたり足を踏みつけられてグリグリされてる気がするしな。


「あらら…手厳しい」


イリスは口元に片手を当てフフッと短く微笑すると俺に荷物を差し出した。

まぁ、恐らくこの展開だとアレしかないだろう。


「では、こちらの装備品をお受け取りになってください」


俺は彼女の手から予想通りであった降下用パラシュートの装備を受け取りさっさと装備を始める。


「…私の分は?」


「エリス様の分はすぐにご用『必要ない』え…?」


「…ソラ?どういうッ…ひゃあ!?」


「エリス、しがみ付いてないと危ないぞ?」


俺は降下用パラシュートパックを背中に警告を言い終わるとエリスを抱きかかえてそのまま非常用ハッチを開放する。

ハッチに向かって激しい気流が吹く中

彼は、ヘルメットのバイザー越しに不敵な笑みを浮かべつつこちらを向いた。

…抱きかかえられているエリスさんが顔を完熟したトマトのように真っ赤にしてジタバタとしていらっしゃるので

それはとても違和感のある光景ですが…


「それじゃ、ここまで世話になったな…回収はしてくれるのか?」


彼はそんな状態でも隙を見せることない。

それは、私と同じ側の人間…つまりそういうことでしょう。


「上陸ポイントへ車を手配しますわ」


「了解っと…それじゃお先に失礼させてもらう!また後で!」」


そのまま彼は空へのダイビングを開始した。

非常用ハッチがオートで閉まる頃には彼としがみ付いたままの彼女の体は見る見るうちにこのフローレン家の自家用機から離れていった。


「彼が傭兵か…」


その顔つきや眼は歴戦の兵士のようであったが、年齢は私よりも少し下なだけ…

いったい彼に何があって傭兵のような仕事をしているのか何故エリスさんのような子といるのかと確かに彼に関しての疑問は尽きない。

彼に対しての疑問は後々じっくりと聞くとしようと思う。

それこそ彼の言った通り紅茶でも飲みつつゆっくりと…


ひとまず私は持ってきた緊急時用のあれの最終チェックを行うことにする。

私はどんどんと遠くなり点となっていく2人を窓から眺め最終チェックへ向かうため後部格納庫へ足を進めるのであった。

パラシュートについてはかなり無理な設定ですが気にしないで…

※HALO降下では酸素マスクや防寒服での重装備での降下なため常人じゃ無理です。ナノマシンなどで肉体強化されてるからとか自己完結でよろ@@;

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ