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仕組まれた始動

真っ白な壁と天井…これが僕の知る世界のすべてだった。

そう、あの日までは…

その日はいつも変わった朝だった。

いつもと同じ時間に長くて白い服と着た大人達が僕たちの健康を確認して

いつものように仮想現実空間で戦闘や生存に関する訓練をやるはずだった…。


だけどいつもの時間になっても大人達は一人たりともやってこない。

いつもなら閉じているはずの自動ドアも今日はずっと開いたまま…

そして仮想空間で感じる鼻を突く酷い血の臭い。


僕はいつもなら大人達に来るまで外に出てはダメと言われている部屋から外に出てみることにした。

部屋の外へ出た僕の目の前に広がっていたものは…


血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血

血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血

血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血

血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血

血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血

血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血


いつもなら真っ白な壁や天井は赤で染まり床には血だまりの中に人間だっただろうものがあちこちに散らばっている。


「どうしてこんなことに…?」


そんな僕の疑問はいたって簡単に解決した。

天井についているガンカメラが僕の姿を捉えた瞬間砲身がこちらを向けて撃ってきたからだ。

僕は反射的に自室へ転がり込みそこでガンカメラの様子を伺う。

大人達は皆こいつに蜂の巣にされたんだろう…

とりあえず今分かることはここの防衛システムが暴走してるってことだ。

だけどガンカメラは体内のナノマシン情報で個体情報を識別するタイプだから

暴走を起こすことはまず無いと思うんだけど…

とりあえずカメラの死角を移動するか破壊して通り過ぎるかなどのいくつかの選択肢が浮かんだが僕は部屋にあった椅子を廊下に思いっきり投げつけてみた。

ガシャン!と廊下に大きな音が響くと共に

ガンカメラは反応して恐ろしい速さで椅子を蜂の巣にしてしまった。

だが、それはあくまでも囮だ。

その隙に僕はガンカメラの真下に回りこみ天井についている接続コードを引き千切る。


コードを引き千切ったことでカメラを無効化され安全は確保されたけど…

一体何がどうしてこうなったんだろうか。


「やっぱり防衛システムが暴走でもしてるのかな?」


そんな独り言を呟き他の部屋も見て廻るがどこもかしこも廊下と同じような光景だった。

違ったのはなぜかガンカメラがどれも機能を停止していたことぐらいだが…。

しばらくあちこちを見て廻ると急に僕を誘導するかのように廊下の電気が一部を残して一斉に消灯していった。

僕は何かに導かれるように明かりのついた廊下だけを進みたどり着いた部屋は、人一人が入れそうな巨大な何かを中心としたサーバールームのような部屋だった。


「ここのサーバールーム?」

「にしては生命維持装置みたいなものもあるし…」


すると僕の問いに答えたかのように部屋の照明が付き自動ドアが閉じられた。

閉じ込められた?それにしては様子がどうもおかしいと思いつつも

この部屋からどうやって脱出するかを考えていると部屋の中心にあった何かの一部が開きはじめた。

どうやらこの巨大な何かは培養槽だったらしい。

そして培養槽の中にいたもの…それは金色の髪をしたとても色の白い少女。


培養槽の一部が完全に開き終わると今度は生命維持用の液体を排出しはじめた。

内部の生命維持機能の活動を停止を始めたようであった。

僕は恐る恐る培養槽へ近づき咳き込む彼女のそばによると彼女はゆっくりと顔を上げて僕に一言呟く様な声で一言こう疑問を投げかけた。


「…あなたはだれ?」


僕が誰なのか?僕は僕…名前は


「僕はNo.520って大人は呼んでた…君はなんて呼ばれていたの?」


なんで呼び方を聞いたのかは分からない。

ただ僕は彼女に興味を持った、彼女を知りたいと思った。

理由はわからない…


「…わからない…でもエリスとよばれていた」


さっきと同じような呟く声だったけど彼女の…エリスの声は僕にははっきりと聞こえた。


「ならそれでいいじゃない、君はエリス、僕は520…君も一緒にここを出て探検してみる?」

「…たんけん?」

「そっ探検!」


エリスと名乗った僕と変わらない歳ぐらいの少女は少し考える仕草を見せゆっくりと口を開く。


「…うん」

―これが仕組まれた運命の最初の始まり日

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