中間報告④
以前、メレティス王国に現れたという、謎のマグスについての確定情報が入手できた。これがエザリア調査の足がかりになればと思うばかりである。
メレティス王国調査報告抜粋。十一月八日。
同盟国である、メレティス王国に現れたマグスについて、確かな情報が入った。
埒外な技量を持ったマグスと言うのは嘘やはったりではないと、実地へ赴いた諜報部の隊員より証言を得られた。
曰く、彼の者は女性と言う。
曰く、彼の者は銀髪と言う。
曰く、彼の者は片眼と言う。
ドレスとも普段着ともとれない、やはり異国めいた衣服を身に付けていたそうだ。
耳には逆卍字のイヤリングをしており、胸には細工の凝ったロケットを下げていた。
瞳の色は薄いアイスブルー。片眼にも関わらず、実に蠱惑的な笑みを浮かべるらしい。
眼帯をしているのは左眼。シルバーがあしらわれていたり、紐の部分に細工が施されていたりと、実用性より装飾性の方が高そうであったようである。
諜報員は彼女に直接会ったわけではないので、これ以上の情報は不明である。
だが、現地の兵士から仕入れた情報によると、彼女はこう名乗ったようだ。
『わたくしは、ネームレスの精霊魔術師、ソフィア=マーガロイド。己が屍をさらしたくば、向かってくるがいい』
…………と。