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すずき と さとう が消えた。

作者: 文書蜆
掲載日:2026/01/23

「お目覚めの時間だぜ」

「......これが美女なら話は別だったんだがな」

「おいおい、それがわざわざ起こしてやったやつへの態度か?」

「はいはい、どうもね」

「しかしよく寝てたな、いくら先生がユルいっつても。終わっても寝こけるやつがあるか?」

「退屈なんだ。眠くもなる。」

「まぁいいか、それよりも田代、飯だ!飯」

「いいな、楽しみがあって」

「お前の寝顔もまぁまぁ面白かったぞ」

 こいつ。

「......なぁ今井、俺の前って誰かいなかったか?」

「ん?前から、そこは誰もいなかっただろ?」

 誰も、いなかった。誰も?

 そんなことがあるのか?

 だってあい えお順の6×5のど真ん中だぞ?

 じゃぁ、前からっていつからだ。いつ、空になったんだ。

 何か──おかしい。それに苦しい。


「おい今井、前からっていつの──」

「あぇ!!」

「なんだ?」

「このあんぱんぜんぜん甘くねぇんだ」

「へぇー」

「こんなあんぱんを置いておくたぁ、ゆるせねぇ。売店のおばちゃんに文句言ってくる」市販品のあんぱんについての文句を、売店のおばちゃんに言っても仕方ないんじゃないかい。

「っていないし、はぁ......」

「今、いいかな?」

「ん??」

「えっと、何かな小鳥遊」

(なんで高嶺の花である小鳥遊が俺に?な、なんだ。まさか、小鳥遊もこの違和感を感じて)

「えっとね。わざわざ心配する問題でもないかなって。でも、もやもやしちゃって」

 今井、お前はマブだし無二だ。それはこれからも変わりない。しかし俺は新たな青春、男女の春なるものを手に入れたいんだ。お前なら背中を押してくれるだろ?

「別に遠慮する間柄でもないだろ?」

 ここから始まるんだ。

「確かに!えっと」

 灰色から青へと──

「バッテリーがレッドで──。心配してたんだ」

「......あ」

 ヘッドパーツ側面には生命維持バッテリーの明示があり、小鳥遊はそれを心配してくれていたのだ。機械の

「徹夜したんだった」

「なるほど、それで。あんまり無理しないでね。じゃ、それだけ」


「あぁ──」なんだか、力が抜けた。

「何残念がってんだ」

「わ!」

「小鳥遊だろあれ?お前、何話してたんだよ。」

「......」

「いや、別に......」

「......」

「言え!吐け!!」

「いやだ!」

「このぽんこつジャンク!!どんな手ぇ使った。ファイルか!マクロか!それともワームか。まさか直接メモリをつないで──」

「ぶん殴るぞ」

「じゃあ吐きやがれ、さもないとお前の頭の中、直で覗くぞ!」

「ふ、ふざけんな」

「なら吐け!」

「い、いやだ!!」

「吐けぇ!!」

 べつに何も甘い展開はなかったのだが、今井にこの思い出だけは。

 二人でだけの思い出は──

 俺はマブで無二からの尋問に黙秘を貫いた。


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