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ちび神様の楽園ダンジョン  作者: もちもち物質
第二章:ダンジョンは国を平和にした!
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避けられない、酒*7

 ……そうして、一週間後。

「アスマ様!できたぜ!見ろ、この虹のような輝きを!こりゃあ間違いなく聖女様に相応しい装飾品だ!」

「うわあ!すげえ……!」

 職人さん達がにっこにこの笑顔で見せてくれたのは、大粒の水晶をチタンで装飾した装飾品一式。えーと、ティアラとネックレスと、あとこれ何?飾り帯?そういうのあるんだね。成程ね。

「火で炙ると云々ってのをアスマ様から聞いたんで色々試してみたが、炉の火で炙るより、魔法の火を使った方が安定してこの発色にできた」

 職人さん達がにっこにこなのは、装飾品が完成したこともそうなんだろうけど……『成功した』からなんだろうなあ。

 そう。チタンの酸化被膜づくりに。


 チタンは、そのまま地金として使うにはかなり地味な金属だ。銀より暗い銀色というか、暗めのグレーっぽい色をしている。

 が、火で炙って表面を酸化させていくと……その酸化被膜に光が干渉して、様々な色合いになる。さながら、シャボン玉のように。

 酸化被膜の厚さによって色が変わるので、均一に酸化被膜を付ければ、例えば『全体的に青い金属』にできる。逆に、微妙に厚みが変わっていくように酸化被膜を付ければ、『シャボン玉のような虹色の金属』にできるって訳だ。

 ……このチタンという金属と、焼き入れによって酸化被膜を生じさせた結果虹色になる性質とを職人さん達に見せたところ、『これでいく!』『真新しいからこれでいく!』『面白そうだからこれでいく!』『新技術!』と大興奮で採用してくれた。この人達いいなー。新しい物好きは俺、好きよ。


 で、そうして完成した、こちらの『チタンと水晶の装飾品一式』。これ、デザインから全部やり直して作ってくれた奴なんだけど……中々綺麗なもんだよ。

 水晶が色の無い宝石だから、その分の色味を金属部分でカバーできるのは中々悪くない、とのことだ。虹色が派手になりすぎないように、本当に繊細な造形のフレームで水晶を囲むだけにしてあって、メインはやっぱり水晶。

 ……ん?水晶?

「あ、おっちゃん達。もしかしてこれ、『なんか水晶じゃない透明な石』で作った?」

「おう!なんか異様に硬い石だったなあ!だがなんとかやり切ったぜ!完璧な加工だろ!?」

 ……どうやらこれ、水晶じゃなくてダイヤモンドでできてるっぽい。道理でなんか、キラッキラすると思ったよ。屈折率が違うんだもんよ。

 でもそのダイヤモンドをどうやって加工したの!?やっぱりすげえなファンタジー力!

「聖女様のご衣裳はどうせ白一色なんだろうし、だとしたらこの装飾品を合わせると丁度よくなるだろうな!」

「いやあ、いい仕事したぜ!」

 ダイヤモンドの加工はさておき、おっちゃん達は満足気である。うーん、早く聖女様にお届けしたいもんだなあ。

 ……これで聖女様がパニス村に味方してくれると、ありがたいんだが。




 ということで。

「聖女様に献上するブツはできた。ラペレシアナ様から聖女様に渡してもらえるようにお願いもできた。これからも職人さん達はここの宝石とチタンで特産品となるような装飾品を作ってくれる。よし、全てが順調、順調だ……」

「緊張するわよねえ。でも大丈夫よ、アスマ様。そんなに震えなくても……」

 俺が緊張のあまりバイブレーションモードになっていたところ、エデレさんが、ぎゅっ、とやってくれた。あっ、緊張も何もかも溶ける……溶けちゃう……。

「後はラペレシアナ様がやってくださるわ。のんびり待っていましょうね」

「うん……あの、エデレさん、そうされてると眠くなってきちゃう……」

 しかもエデレさん、俺を抱きかかえたまま、ゆらゆら揺らし始めた!やめて!寝かしつけないで!抱きしめられて温められて揺らされたら寝ちゃうから!この小学生ボディ、こういうところままならないんだから!ねえ!

「寝た方がいいわ、アスマ様。最近ずっと、醸造所の方にも詰めていたでしょう?」

 あ、うん……。まあ、そりゃ、最近は結構忙しくしてたけど。

 何せ、職人さん達がチタンとダイヤモンドでアクセサリーを作る間、俺は暇してたからね。醸造所の方で『ワインができたよ!』という話を聞いて、『じゃあブランデー作ってみる!?』って話をしに行ったり、『ワインの味どうなの!?俺飲めないから分かんない!』って食堂に持っていったり……まあ、色々酒の方でも動いてたよ。

 宝石関係が駄目だったら、酒がこの村の産業の主軸になるところだったしな。一応、掛けられる保険は掛けておくに限る。

「でも、スライム薬草を使った薬草酒ブランデーの話をしに行きたい……あと、品種改良してフルーツトマトと化したトマトの確認と、あと、瓶の製造の様子も見て……それから」

「ダメよ!ちょっと働きすぎ!ここでお昼寝していきなさいな!」

 ……が、まだまだ働きたかった俺もここまでのようである。

 エデレさんは凄まじい手際の良さでそこらへんにあったタオルケットをシュバッと取ると、器用にも俺を抱えたままくるくるとタオルケットで包み、そして俺をまた抱きかかえて、ゆらゆら揺らしつつ寝かしつけに掛かってきて……。

 ……なので俺は抵抗空しく、寝ちゃった。しょうがないだろこんなん。寝るしかないよもう……。




 その日はひたすら『休め!』ってあちこちから言われまくってしまったので、休むことにした。下手に働くとまたエデレさんに寝かしつけられてしまうので、おちおち働けねえのである。

 仕方がないので、食堂でのんびりしつつ、冒険者達にできたてのワインやブランデーを振る舞っては味の感想を聞いたりして過ごすことにした。

 尚、ワインの味は『中々いいんじゃないでしょうかね』というところだった。いや、まあ、冒険者達、ワインの味とかあんまり分かんなそうだからね。どうなんだろうね……。俺、ナイフに蜂蜜塗って舐めてる人の味覚はあんまり信用しちゃいけない気がしてるんだけど、どうなんだろうね……。

 ……が、ワインはそれとして、ブランデーの評判は凄まじかった。

『香り高く、そしてめっちゃ強い!』と評判のブランデーだったが、まあ……本来はこれ、樽とかに入れて熟成させるものだからな。多分、『めっちゃ強い!』のかんじがまた色々違うんだろうとは思う。俺も酒飲んだことないから分からんが、多分、アルコールの角が取れてないというか、まあ、悪い意味でパンチの強いお味なんじゃないかと思われる。

 ただまあ、この世界、まだあんまり蒸留酒ってもんが無さそうなので、それを考えるとブランデーの度数の高さが滅茶苦茶話題を呼ぶ可能性もあるんだけどね……。だが、だとしたら猶更、『蒸留酒ってのは強いばっかりで美味しくはない』みたいな認識になられると困る。一度付いちゃったイメージって、変えるのが難しいからな。最初からクライマックスでいきたいところなんだが……。




 ということで、ミシシアさんとリーザスさんを召喚。悪いな!付き合ってもらうぜ!

「えーと、こちらができたてワインです。そしてこちらができたてブランデーです。どうぞ」

「わー!すごくいい香り!いただきまーす!」

「昼間から酒を飲むことになるとはなあ……」

 2人とも、反応に違いはあれども、まあ試飲してくれるらしいので、ありがたくよろしくすることにする。

 ……そして。

「んー……ワインね、これ、本当に美味しいよ。元々の葡萄がすごくいいからかな。濃厚なかんじがする。香りもすごくいい!」

「そうだな……これは悪くない。王城で出しても問題無いんじゃないか?」

「よし。品種改良した甲斐があったぜ!」

 ワインについては、良い評価を頂けた。やったぜやったぜ。……いや、ワイン用の葡萄は生食用の葡萄より水分量が少ない品種、っていう知識だけはあったし、水分控え目、その分甘さと酸味が濃厚な葡萄を使った方が効率いいよな、ってのも理屈で納得できたんで、そういう風に品種改良したんだよな。

 尚、生食用の葡萄は生食用に品種改良済みである。こっちはこっちで、大粒で味が濃くて瑞々しくて美味い、ともっぱらの評判。


 ……で、問題のワインは好評だったんだが。ブランデーはというと……。

「で、こっちは……わー!おいしい!キツいかんじがあるけど、これはこれで悪くないよアスマ様!」

「がっ……な、んだこれは!喉が焼ける!」

 喜ぶミシシアさんの横で、咳き込むリーザスさん。うん。まあ、蒸留酒ってものに慣れていない人は、こうなるってことなんだろうなあ。俺には分からないけど……。いや、ミシシアさんはミシシアさんで、なんで大丈夫なんですか?

「アスマ様!これは一体何だ!?」

「えーとね、蒸留酒といいまして……ワインの3倍ぐらい強い酒になってると思われる。寝かせたらもうちょっとマイルドになるんじゃないかとは思うんだけどね……」

「そ、そうか。恐ろしい酒だな……!」

「えー、美味しいお酒なのに……アスマ様ぁ、もう一杯貰ってもいい?」

 ……俺とリーザスさんは、『これ、酒より酒がまるで堪えていないミシシアさんの方が怖くないか?』と目くばせし合ったんだが、当のミシシアさんは気づいていない。うん。あなたはそのままで居てください。


「まあ……その、何だ。こういうものだと分かっていれば飲める、かもしれないが……いや、すまない。俺には強すぎる」

「そっかぁー……」

 冒険者達は『これはこれでいい!』みたいな反応してくれてたりもするんだけど、多分、一般的な感性はリーザスさんの方だからなあ。となると、ブランデーの普及は熟成後、最低でも1年か2年か3年か……それくらい後、ってことになるかなあ。いや、それでも普及は厳しいか……?王侯貴族向けじゃなくて、冒険者向けの酒として販路を伸ばしていくべきか……?

 或いは、なんか町とかで熟成させた酒とそうじゃない酒を買ってきて、その成分の違いを分解吸収で確認して、パニスブランデーにも同じ作用をダンジョンパワーで与えるとかはどうだ……?

「んー……ねえ、アスマ様。ちょっとそのトマト貰ってもいい?」

 俺が悩んでいたところ、ミシシアさんがそう、声を掛けてくれた。

 尚、ここでの『トマト』は、最近の品種改良で滅茶苦茶甘くなったフルーツトマトである。なんかこれはもう、トマトじゃない。なんか別の……果物!

「どうぞどうぞ。おつまみが無いとキツいもんね……ん?」

 が、『フルーツトマトをつまみにもう一杯いくんだろうなあ』と思って見守っていたら……ミシシアさん、フルーツトマトを潰して、ブランデーのグラスに入れ始めた。

 ……ほう?

「このトマト、すっごく甘くていい香りでしょう?これを合わせたら、お酒のキツさが和らぐと思うんだ!それに甘さとか風味とかが出て、きっと飲みやすくなるよ!」

 あー……成程ね?ブラッディーマリーもどきの経験がここで生かされる、と。成程……?

「うん!やっぱり美味しい!ちょっと味が多いかんじがするけど……あっ!だったら果実酒にしちゃうのはどうかな!きっと美味しいと思う!」

 ……うん。

 持つべきものは、一般的な感性の仲間と、特化した感性の仲間。

「そうだ!だったら、この間、ジェネリック君のあれこれで見つけた、『美味しい魔法』!あれ掛けようよ!ね!」

「それはちょっと……変な依存性とか出たら嫌だし……」

「いや、しかし、話題に上るという点では間違いないのではないか……?」

「ええええ……リーザスさんまでそういうこと言うの……!?」

 ……そして、俺という常識のある人間。大事。これ、大事だよ。じゃないと麻薬みてえな酒ができかねねえよ!


 ということで、新しくできたブランデーは一旦、フルーツトマトや葡萄を漬け込んだ果実酒にされることになった。トマトと葡萄が上手くいったら、他の果物も町で買ってきて試してみたいね。

 ミシシアさん曰く、『1日漬けるだけでも結構違うと思うから明日また飲んでみようね!』とのことでした。リーザスさん、ブランデー一杯でかなり酔ってるけど明日もこれになるのか。大変だな……。

 まあ、ブランデーについても活路が見えてきた……っぽいかんじなので、今後とものんびり頑張っていきたいね。




 ……と、思っていた、そんなある日。

「リーザスは居るか!」

 その日その時、俺達は食堂で飯食ってたんだが、突如として食堂の空気を裂く凛々しい声に、誰もが食堂の入口を見た。

「ラペレシアナ様!?どうなさったんですか!?直接お越しになるとは……!」

 そう。ラペレシアナ様!ラペレシアナ様がいらっしゃったんだなあ!びっくりだよ!いきなり直接来るとは思ってなかったよ!


 さて。

 ラペレシアナ様も一緒に、一旦場所を移して……他に人が居ないということで、俺の仮の住まいにお越しいただいた。いいのかなあこんな場所にお姫様が居て……とは思うがしょうがない。スライムも居るので許してください。

「さて。例の装飾品だが、非常に好評でな」

「よっしゃ!」

 そしてラペレシアナ様は開口一番、微笑んでそう教えてくれた!やったぜ!

「誰よりも、聖女様ご本人が大層お喜びだったぞ。大層、お可愛らしい様子であった」

 ほー。聖女様ってのは可愛い人なんだな?まあ、ラペレシアナ様が綺麗系の人だからな。比較しちゃうと大抵の人は全員可愛い系になると思うが。

「……大聖堂の中でも、『職人達がパニス村に拠点を移したのは悪いことではなかったのでは』といった声も上がっている」

「予想以上の成果だ!」

 更に更に、聖女様ご本人を越えて反響が!すげーなチタン!そしてダイヤモンド!何よりも職人のおっちゃん達のパワー!


「……が、厄介なことにもなっていてな」

 でも喜んでも居られないわけね。うんうん、そんな気はしてたぜ。

「聖女様が『パニス村に行きたい!』と仰っておいでなのは良いとして……やはり、『神の声の届かぬパニス村は危険だ』とする意見も出ている。粛清すべき、と宣う阿呆すら居る状況だ」

「あちゃあ……」

 粛清。粛清ね。そっか。……となると、いよいよこっちも完全武装しなきゃかなあ……。

「私も王族として、『罪を犯すでもなく、他者を苦しめるでもない、無辜の民の暮らす村をどのような権利があって貴君らが粛清するのだ』とは苦言を呈した。流石に最近の教会の動きは目に余る。政を行うのは王でなければならぬ。その原則すら、今の教会は揺るがそうとしているのでな。兄上……ああ、第一王子とも、前々からそのように話していた」

 ああ、やっぱりそこはラペレシアナ様から言っていただけた、と。

 ……うん。そうなんだよなあ。やっぱり、政教分離はしておいた方がいいと俺は思うよ。じゃないとヤバいことになるってのは、俺の異世界知識が証明してるよ。

 だが。

「だがその結果……奴ら、第二王子派閥になり下がってな」

 ……流石にそれは、予想外だったよ!


「勝ち目が無さそうなところにわざわざ落ちちゃったんですか!やだー!」

「まあ、味方になってくれる王族がそこしか無かった、ということだ。やれやれ……。それでも、教会の後ろ盾というのは厄介なもので……今後、第一王子側を勝たせるためには、第二王子のみならず、教会までもをどうにかする必要が出てきた」

 うわー!うわー!モロにラペレシアナ様にご迷惑かかってる!かかってるよ!ああああああああ!

 こうならないように、って思ってたのに!思ってたのに……あいつらやりやがった!本当にもう!あああああああ!あああああああ!




 そうして俺が『ああああああああああ!』とやっている間に。

「だが、丁度良い機会ではある。この機会に全てまとめて片付くというのならば、それはそれで良いことだ」

 ラペレシアナ様はそう言って、ミシシアさんが『どうぞー』と出した薬草茶を飲んで、ふう、と一息つく。

 ……その様子を見ていて、俺はなんか、思った。

「……教会も、片付けちゃっていいんですか?」

 するとラペレシアナ様は、ちょっと目を瞬かせて、それから、ふっ、と笑う。

「ふむ……難しいところだな。私としては、片付けてしまいたいところだ。奴らの扱う『祝福』は、奴らしか知らぬ。そしてアレ無しには暮らせぬ村も多い。よって、完全に消し去ってしまうことは、できないだろうな」

 あー、まあ、そうだよね。……いや、まあ、全ての土地でパニス式スライム農法を実践できるわけじゃないんだろうから、やっぱり教会の『祝福』は欲しいんだろうなあ。

 でも、その『祝福』に多額の寄付金が必要だったり、そもそも、教会の機嫌次第で『祝福』するかしないか決められる状態ってのは、間違いなくよくない。そういうことだ。

「だが……少なくとも『国教』にしてやり、王が後ろ盾になってやっていると、このように腐敗を招く。ならば、少なくとも『国教』の座からは外してもよいのではないかと思う。『国』を外すべきか、『教』を外すべきかは難しいがな」

「うん」

 そうね。国の後ろ盾を失って、つつましやかな『宗教の一派』になってくれるなら、それはそれでよし。

 逆に、完璧に国に取り込まれて、宗教としての性質を失って『単なる技術部門』になってくれるなら、それもそれでよし、と。成程ね。

「無論、その口実はまだ、無いがな。兄上が第二王子に勝ち、玉座に着かれたならば、真っ先にそれを片付けて頂きたいものだが」

 ……うん。


 つまり、口実があれば、いいんですよね?




「よし、ラペレシアナ様。お願いがあります!」

 俺は正座でラペレシアナ様に向き合った。ラペレシアナ様は『なんだその妙な座り方は……』と言いつつ、一緒に正座してくれた。この人いい人だなあ!

「腐ってる上層部をまとめてパニス村に送り込んでください。聖女様も一緒でもいいです。でも、監視役兼報告役の人も誰か一緒にお願いします。殿下ご自身でもいいです」

 が、正座はさておき、俺のお願いは至ってシンプル。『とりあえずこのパニス村を会場にして、ごった煮状態にしてくれ』ってことだ。

「ふむ……まあ、パニス村を見たがっている連中は多いからな。好意故か、はたまた悪意故かはそれぞれだが……」

「ですよね?やっぱり、悪意を持ってる奴ほど、ここに来たがりますよね?もうね、そういう奴は全員送り込んでください!」

 俺がお願いしていると、ラペレシアナ様は『ふむ……?』と首を傾げていた。だが……。


「で、不祥事が起きますんで、適当に処分していただければ……」

 俺がそう言うと、ラペレシアナ様、ぽかん、としてしまった。

「えーと……ちょっと美味しすぎる酒が、できる予定です」

「……は?」


 いや、まあ、そうなるよね。そうなると思うよ。俺だって、考えてもみなかったよ。

 ……ミシシアさんの案の、例の『美味しさ魔法添加ブランデー』を実装することになるとはな!

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― 新着の感想 ―
絵師を村に呼びましょう! やらかした姿を描いてもらって、脅は…大人のお話し合いの道具に。
見慣れた金より見たこともない虹色の金属のほうが宝物って感じがありますねえ。 酒自体が簡単に作れて合法なだけのオクスリみたいなもんだし…と思ったらえげつない活用法が出てきた。
邪神アスマ様を讃えるサバトで聖職者共を堕落させるのだ…!
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