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夕凪と朝顔が咲くのを待つ日々  作者: 尾仲庵次
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『買い物に付き合ってくれない?』


 母親がそういうのであたしは一緒に近くのショッピングモールへ出かけることにした。

 午後の時間に行くことにしたので学校から帰ってきた夕凪(ゆうな)も一緒。

 彼女は買い物となると喜んでついてくる。

 何か買ってもらえると思っているのだ。

 アパートで暮らしていた頃は、我慢させることも多かったのだけど、実家に帰ってきてからはちょっとしたお菓子や安価なおもちゃぐらいなら買ってあげるぐらいの経済的な余裕ができてきた。

 それに、母親は孫がかわいいのか、夕凪(ゆうな)に言われるとなんでもかんでもほいほい買ってしまう。


 ダメだと言いたいところなんだけど……


 夕凪(ゆうな)というよりは母親の嬉しそうな顔を見ると、あたしはとても『ダメ』とは言えずにいる。


 車の運転席に座ってシートベルトをする。

 夕凪(ゆうな)が赤ちゃんだった頃にとった車の免許はたまに仕事で運転するぐらいで、あまり活躍することはなかった。

 アパートに住んでいる時は、買い物は自宅近くのスーパーで済ましていたし、どこかに行くときも歩きやバスで移動することができた。

 そうやって移動するのはもしかしたらすごく不便なのかもしれないけど、今までそれでなんとかやってきて、それが変わらないだけであり、どの辺が不便なのかが分からない。


 実家に帰ることを決めたとき、両親が『車を買おう』と言い出した。


 車には維持費というものがある。

 車庫に停めているだけで、任意保険や税金などのお金が必要なのだ。

 自分の車を持つということはなかなか贅沢なことなのである。

 あたしは反対だったのだけど……


 両親はとても楽しそうに車のことを話していた。


 だから、反対できなかった。

 まあ、お金を出すのは両親なのだから反対できるわけもない。


 ちなみに……

 我が家(うちの実家)には車庫はあっても車がない状態がもうあたしの子供の頃から続いている。

 そして免許を持っているのもあたしだけ。

 父親は……というと、この家を購入する時に車の免許をとるつもりだったらしいのだけど仕事が忙しく、先に先にのばしているうちに結局、取得せずに現在に至っている。

 まあ、日常生活で必要でなかったし、仕事でも車の運転はしないということだから、そうなると時間をかけて教習所に行くのも大変だし、なかなか敷居も高くなってしまうだろう。


 あたしが帰ってくるにあたって……

 免許を持つ人間がいるわけだし、ちょっとした買い物にも使えて、場合によっては旅行とかにもいける小さな軽自動車を購入しようということになったのだ。


 購入したのはピンクで両側がスライドドアの四角い形をしているけど、角は丸みのある可愛い車だった。


 買い物に行くためにあたしは運転席に座っている。

 何せあたしもほとんどペーパードライバーに近いのだ。

 実家に帰ってきて1ヶ月ほどだけど、まだ車の運転は少し慣れない。


 でも車はとても便利だ。

 ちょっとした買い物でも帰りは荷物を持って帰らなければならない。

 あたしはそんなのは慣れっこだけど、母親にはそういうことはちょっともうしんどい年頃なのかもしれないな、と思う。

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