01:籠の中の鳥
『あ゛ーー暇っっ』
平日のお昼時、部屋に引いてある万年床でゴロゴロする女。
名前を空野 ひかり。
歳は23歳、職業は無職…引きこもりがちなニートである。
一年程前に病気の為、退職。
以後彼氏と同棲をしながら、養ってもらっている。
引きこもりがちな為、新しい仕事もせず主婦業のみ行う。
が、本人は働きたいと思っている。
アルバイトで構わないから働きたいのだが、彼氏は許さない。
ただ単に束縛心が強い。おかげで、ひかりの携帯には男の番号は一切入っていない。
ちなみに、女の番号は入っているが教えてはいない。
連絡をとると怒られるので、携帯を変えても教えてないのだ。
友達はいるが連絡をとれない。
ひかりにとって友達なんていないに等しかった。
ひかりは、籠の中の鳥だった。
『別にさ、幸せだよ?ダーリンと暮らせて、養ってもらって。幸せ、なんだ…』
別に不幸とは思っていなかった。
ただ、たまに寂しくなった。
テレビなど女の子同士で仲良く遊びに行ってる場面や、同窓会で昔話を楽しそうにする場面を見ると、(なんで自分だけ…?)と考えてしまってる。
『こんなに良くしてもらってるのに、我が儘だよね』
独り言を喋る私はきっと末期症状。
独りに慣れていき、きっとこのまま死んで逝く。
変な考えを持ったまま、静かに瞳を閉じた。
そして、夢を見た。