Episode 1 — 死刑執行
初投稿です!
俺は佐藤孝介34歳。都内のボロアパートに住んでいた中卒の元ニートだ。
俺は今、処刑台の上に立っている。
なぜ俺がこんな薄汚い一枚板の上にいるかって?
単純なことさ。
俺が日本で一番の凶悪殺人犯だからだ。
Episode 1 — 死刑執行
時は驚異的な猛暑が続く夏の頃。
コンビニエンスストアの如く24時間365日ニート生活をしている34歳独身。
容姿だけはイケてる中年男性だ。
そんな俺は膨れ上がるドス黒い借金と共に生活している。
因みに彼女は1回だけできたことがあるが、その日のうちに別れた。
そんな俺にも趣味の一つはある。
それは筋トレだ。
筋トレ後の達成感、筋肉の収縮したあの感じがたまらなく好きだ。
最近では腹筋500回を3セット、腕立て500回を3セット、背筋500回を3セット毎日欠かさず行っている。
イマドキの言葉でいうとルーティーン? なのだろうか。
ある日、近くのスーパーに買い出しに行くために、家を出て横断歩道を渡ろうとした矢先、信号無視で飛び出してきたトラックが闘牛のように突進してきた。
その瞬間、目の前が一瞬にしてスローになったのち、重い衝撃とともに聞こえる骨の砕ける音、最後に覚えているのは辺り一面血の海になっていたことだけだ……
目が覚めるとそこは真っ白な天井。
どうやら俺は病院にいるみたいだ。
数分経ったら担当の医師が口を開いて状況を話してくれた。
なんと相手は俺を引いたままその場を去っていったとのこと。
さらに驚くことに医師曰く、俺は数日生死をさまよっていたらしい。
そのうえ右手、右足が骨折して退院後も一生スポーツはできないと来た。
俺はそんな担当医の言葉を聞いて絶望を感じていた。
「一生ですか?」
俺は問いかける。
「残念ながら治療するのにも多額の金額が必要となります……」
知っての通り、俺に金銭的余裕はまったくもってないわけだ。
ならどうする?
俺の唯一の趣味は泡のように消え、相手からは一銭も吸い取れず、生きる意味を失った俺に何が残るってんだ。
これを機にニートを辞め、就職活動に専念する?
めんどくさっちゃありゃしないし中卒の俺を雇ってくれる待遇のいい会社なんてどこにもありゃしない。
——俺は決めた。シャバで平然と幸せに生きている者を道ずれにしようと……
まずは手始めにレンタカーで車を借りた。
免許なんて持ってるわけが無いから知り合いの伝で乗り心地最悪の3.5トン車を1台。
今時どこでも買える長包丁を1本買った。切れ味とかはどうでもいい。少しでも苦しみながら逝ってほしい。
あとはいつどこで実行するかだが、人が多い渋谷のスクランブル交差点に14時ごろを予定している。
俺は前日に渋谷のパーキングにトラックを止め、すぐ行動に移せるよう準備をした。
普段の俺はこんなに要領のいい働きは見せない。
決行当日ーー
俺は早速渋谷に向かった。
向かってる最中は感情的になっていて、よく覚えていない。
到着したら13時27分だった。
少し早いが俺はパーキングへと向かい、衝動的にトラックのキーを取り、エンジンをかけて急発進させた。
目の前はポインセチアのようなドス黒い赤色で染まり、時々バキバキと言う音も聞こえる。
途中でトラックが止まり、これ以上進めない所まで来たら、長包丁の出番。
リュックに詰めた長包丁を手に待ちゆく人に片っ端から切りつけた。特に陽キャ共をメインとした残虐ショーを人々に見せつけた。
俺にも良心があったのか、女子供は狙わなかった。いや、何故か狙えなかった。
そんなこんなで10分ほど経つとようやく警官が駆けつけてきた。それにしても遅い。
俺はその10分間の間に38人もの命を奪ってやった。
これで未練を晴らせるーー
これが今までの出来事ってわけだ。
そりゃあ、38人もの命を奪えば軽く死刑になるだろうよ。
俺に向けられるのは世間からの冷たい視線ばかりで寂しいものさ。
さっさと逝って地獄タクシーにでも乗りたいものだ。
俺がそんな事を思っていると急に下が開きそのまま刑が執行された。
走馬灯が見える。
それは小さい頃のものだ。
両親は帰りが遅く、帰ってきたら帰ってきたで殴る蹴るなどの暴行を受けた。
学校ではコミュ障でまともに話せず、友達を一人も作らなかった。
俺が中学に上がると両親はもっと暴力を振るった。
やめて欲しくても、親共はやめなかった。
結局、中学を卒業したら当然家もなく、障害者だと偽って生活保護を受けていた。
今思えば俺は誰かに愛されたという記憶がない。
母にも、父にも。誰一人として俺を気にかける奴なんていなかった。
そんな俺がこの世にいなくなってもーー
やっとこの苦痛から解放される……
〇
「……………ここは……どこだ? 知らない天井……?」
次に目を覚ますとそこは地獄のような薄暗い部屋だった。
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次回はいよいよ…!!