表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

初めての依頼

朝になり机で寝落ちしてしまっていた冬利はまだ覚醒していない中、自分を呼んでいる様な声が聞こえた



「……り…ん!……と…りさ…!」



徐々にその声はハッキリと聞こえてきた


「冬利さん!起きてください朝ご飯が出来たみたいですよ」


ティアナが起こすために揺すりながら声をかけていた

そこでようやく意識が覚醒した


「おはようございます、ティアナさん…」


目を擦りながら挨拶をしティアナさんを見た


「おはようございます、おばさまが朝ご飯だから降りて来なさいって」


「ん…了解…じゃあ顔洗ったら行くから先に行ってて…」


ん…と頷き、ティアナさんは先に降りていったので、木桶に組んである水で顔を洗って1階へ向かった


「やっときたね!さぁ食っちゃってくれ」


おばさんに言われ、朝ご飯を食べる

今日はパンにスープ、サラダに目玉焼きとシンプルな朝ご飯だったがパンにスープを染み込ませると美味しかった


「じゃあ今日は昨日言ってた通り依頼を受けに行こうか」


部屋に戻り、今日の予定を話したらティアナさんがジト目でこちらを見てきていた


「ところで…その腕輪とローブはなんなんですか?鑑定したら色々とすごい事になっていますけど…」


「うん、昨日ティアナさんが寝た後に色々試してたら出来ちゃった」


「出来ちゃった…じゃないですよ…何したんですか」


「昨日買ったクズ鉄で錬金術が出来るか試して、出来たから錬金を繰り返してたら…錬金術がSになりました」


「なりました…って、普通Sランクは才能のあるものが長年研鑽を積んでなれるかわからないぐらいなんですよ!なんで一晩でそんな事に」


そんな事を言っているティアナさんから目を逸らすと、何かを察した様に問い詰めてきた


「なんですか…まだ何かしたんですか」


「実は、魔法もSになりました…あと寝てる時ティアナの胸元が危なかったです…」


「なっ…なっ……何を見てるんですか‼︎」


どうやら驚きよりも恥ずかしさの方が勝ったようで顔を赤くして叫んできた


「ま…まぁチラッとでしたから…だからこのローブはティアナさんにあげようと思って作りましたから着てもらえれば嬉しいです」


そう言ってローブをティアナさんへ渡す


「……はぁ、あまり見ないでください…見ても嬉しいものではないでしょうし」


そう言ってローブを受け取り着てくれた


「少し大きめですけど問題なさそうです、ありがとうございます」


笑顔でお礼を言ってくれているが、実は元の素材はゴブリンの腰巻きだなんて言えない…


(それにティアナさん、大きいわけじゃないけどちゃんと女の子を主張してきてるから個人的にはすごく嬉しいです)


「じゃあ早速ギルドに行きましょうか、この腕輪もギルドで買い取ってもらえるか聞こうと思ってますし」


「えぇ、頑張りましょうね」


(よし…魔法の件は誤魔化せたな)




ギルドに入ると受付にライナさんがいたので軽く会釈をして依頼の掲示板を見に行く


「ん〜、とりあえずゴブリンの討伐か薬草とかの採取ばっかりですねひとつ上のランクだとボアの討伐辺りが丁度良いのかな?」


「ライナさんに持っていって相談してみる?正直3つ4つ上の依頼でも余裕なステータスしてるけど…」


「あんまり目立ちたくないですから…それにまだ全然街の周りとか把握出来てませんしね」


そういって依頼書を持ってライナさんのところへ向かう


「おはよ〜トーリさんティアナさん、早速依頼受けにきたの〜?」


「はい、だけどこの街の周りの事をあまり調べたりしてないんで街付近で出来るだろう依頼を持ってきたんですけどアドバイスみたいな事ってありますか?」


「ん〜ゴブリンと薬草はね〜屋台通りの方の門を出てまっすぐ行った森近くで発生してるね〜」


(俺たちがこの世界に来た時に背後にあった森の事だな)


「で〜ボアはその森のもうちょっと奥に行くか〜北門から出た先の森で少し出てきてるみたいですね〜あっ屋台通りの門は東門です〜」


「でもボアの方は無理なさらないですくださいね〜」


「ならとりあえずゴブリンと薬草の方にします、同時に受けられたりします?」


「大丈夫だよ〜あんまり長い間放置されちゃうとキャンセル料とギルドから警告受けちゃうからね〜」


「はいとりあえず頑張ってみます、あと…ライナさんギルドで装備の買取ってしてますか?ゴブリンとかの武器じゃなくて」


「物によるけど出来るよ〜ちなみにどんな装備〜?」


「俺の爺さんから売れば金になるからって持たせてくれたんですけど…」


流石に昨日作りましたなんて言えないので、家族から持たせて貰ったものだと言い腕輪を見せる


「ん〜…え〜?え〜‼︎なにこれ〜」


ライナさんは首を傾げたと思ったら急に驚いたようにこちらを見てきた


「これ〜龍装級レベルの腕輪だよ〜‼︎買い取ったらギルドの金庫が吹っ飛んじゃうんだよ〜‼︎」


「龍装級?」


聞き慣れない言葉に首を傾げるとティアナさんが教えてくれた


「えっとね?装備には一定以上超える能力が付いてると

魔装級 妖精級 龍装級 伝説級 神話級ってランクがあるんだけど…その中で真ん中のランクなんだけど、そもそも伝説級以上は危険なダンジョンとかの奥深くにあるとかないとかで…ほとんど出てこないの、それに比べたら龍装級はまだ出回るからかなりの金額になっちゃうらしいの」


知識の図書館で調べてくれたみたいで、すぐに教えてくれた


「そうなの〜だからこれはわたしの一存じゃ決められないの〜お昼以降ならギルドマスターが来るから〜ギルマスと相談するね〜これは預かってもいい〜?」


「それなら預けて依頼の方に行ってきますね、帰ってきたらまた聞きにきますね」


「わかりました〜じゃあ依頼の方はトーリさんとティアナさんで受けますね〜くれぐれも無理はされないように頑張ってくださいね〜」


「じゃあいってきます」


ライナさんに腕輪を預けて、2人で東門へ向かった


「ん?なんだお前たちか?冒険者にはなれたみたいだな、これから依頼か?」


初めて街に来た時の衛兵さんが声をかけてきた


「はい、これから初めての依頼でゴブリン討伐と薬草採取に行ってきます」


「無茶して死ぬなよ?ゴブリンなんかは弱いが数の暴力にやられるやつがたまにいるから、無理だと判断したら手遅れになる前に引けよ?」


「気にかけてくれてありがとうございます、身の丈に合った働きをしますよ」


「別に…ただの忠告だ、街に入る時はギルドで貰ったカードを見せろよ?ルールだからな」


そう言って俺たちを送り出してくれた


「何が身の丈に合った働きですか、今の冬利さんならたとえゴブリン1000体が集団で来てもあっという間に消し飛ばせるじゃないですか…」


門から離れたらティアナさんが皮肉気味に言ってきた


「あはは…やらかしたのは自分だから何も言い返せないですけど、備えておいて損は無いですからね」


そうして話しているうちに森に着いた、が正直地球にいた時も森に入ることなんて無かったから何が何処から出てくるか不安だった


「そんなに不安そうにしてるなら、探知スキルでも使ってみたら?冬利さんならすぐ使えるようになるんじゃないですか?」


そんなに不安そうな顔をしてたのかティアナさんが呆れた様に言ってきた


「そっか…ちょっと試してみるね」


意識を集中して周りの気配を探ってみた

すると自分の周りを見下ろした様な風景が脳内に浮かび、俺たちの少し先にゴブリンと思われる反応が3つ見えた


「この先100mくらい先にゴブリンっぽいのが3体いましたね、他はとりあえず反応は見えないですね」


「ほんとに使えちゃうんだ…」


改めてティアナさんはため息を吐いていた


少し進み様子を窺うと、ゴブリンが3体、木の実の様な物を食べていた


「当たるか分からないけど…私が弓で先制攻撃するわ」


彼女はそう言って弓を準備し始めた


「あっ…ティアナさんちょっと待って、その前にちょっと試してみたいことがあるんだ」


そう言って彼女を止め、彼女に手を向け意識を集中する

自分の持っているスキルを他の人に譲渡するイメージを行う

すると、なんとなく出来た気がしたのでステータスを確認したら弓術が消えていた


「ティアナさん、ステータス見てもらえる?」


「えっ…なんで弓術があるの」


ステータスを見ながらこちらを見てきた


「スキルを譲渡出来るかなって思ってたから試してみたら出来たね、これで大分楽になるんじゃ無いかな?」


「…はぁ、もう驚きませんよ?冬利さんが何をしても…」


そう言ってティアナは弓を番えゴブリンを狙い始めた


「矢を放ったら、俺が1体を奇襲するからまた次を準備して」


「わかった、やるわ」


そう言って彼女は矢を放った、矢はゴブリンの頭を捉え1体を沈め、残った2体は驚いた慌てていたため冬利に気づかず奇襲を受けて首を剣で切り飛ばす、残った1体が棍棒を持って飛び掛かって来たのを盾で受け、ゴブリンを弾き飛ばす、ゴブリンはすぐ起き上がりこちらの様子を見ていると横からティアナの第二射を頭に受けて絶命した


「ふぅ…上手くいきましたね」


「冬利さんがゴブリンの注意を引いてくれましたから落ち着いて狙えました」


「数次第だけどこれでどうにかなりそうだね、ティアナさん…大丈夫?」


ゴブリンの魔石を取りつつティアナさんに話しかけると彼女は口元を抑えていた


「ごめんなさい…モンスターと言っても初めて殺したのでちょっと気分が…」


「無理せず休んで下さい、水入りますか?」


「ありがとうございます、もう大丈夫です」


そう言って彼女は立ち上がるがまだ少し肩が震えていた


「これから冒険者として生きていくんだから頑張って慣れるわ」


「わかった、近くにゴブリンはいないみたいだから薬草を調べてみるね」


薬草をイメージして探知をしてみると、周りにぽつぽつと反応があった


「うん薬草も所々にあるから先にそっちを集めようか」


探知しつつ2人で薬草を10束分採取しアイテムボックスに収納した、依頼分は5束だが錬金術の素材として少し多めに採取しておいた


すると探知にゴブリンが5体反応するが、その中に1つ強い反応があった


「あれは…ホブゴブリンですね…」


様子を窺うとティアナさんが教えてくれた


「全体的にステータスが上がっていて、側にいるゴブリンに指示を出して行動してきます、どうしますか?」


「これは安全にいこうか」


そういってゴブリンに向けて魔法を放つ


「ファイアランス」


5本の火の槍を同時に放つ、突然の魔法にホブゴブリン達は反応出来ず直撃し魔石だけを残して灰になった


「よし」


「よし…じゃないです‼︎森の中で火魔法なんて危ないじゃないですか‼︎」


「水魔法もあるから大丈夫…きっと」


「はぁ…これで依頼のゴブリン5体は終わりです…帰りましょうか」


魔石を拾いつつティアナは言ってきた


「そうだね、最後にもう一個試したいんだけどいいかな?」


「今度は…何を試すんですか…?」


「じゃあとりあえず手を握ってみて」


手を差し出すとティアナは躊躇いなく握ってきた


「じゃあいくよ『転移』」


新しいスキルを発動すると、一瞬の浮遊感があり視界が切り替わった


「今度は転移ですか…もうほんとなんでもありなんですね…」


今俺たちがいるのは、初めてこの異世界に来た森の側だった


「これも大丈夫そうだね、これで帰りは楽になったね」


「そうですね…じゃあ帰りましょうか…」


もう何かを言うのも疲れたのかティアナは先に歩きだした


「置いてかないで下さいよ〜」


2人で門に向かうと衛兵さんが話しかけてきた


「随分早いな、ゴブリンが見つからなかったか?」


「いえ、依頼はこなしてきましたよ?割と浅い所に出てきたので早めに狩れました」


カードを見せながら話すと


「近くに湧いてきやがったか…ギルドへの討伐依頼が増えるかもな、お前らも受けるのは良いが気をつけろよ」


そう言って衛兵さんは通してくれた


「あの衛兵さん絶対良い人よね、こんな私達に忠告とかしてくれるし」


「なにかあったら手伝ってあげようか」




そんな事を話しながら2人はギルドに向かった





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ