第一話 会敵
読みにくいと思いますがよろしくです。
「離さないで」……銃声の鳴り止まない戦場で彼女は俺にそう言う。
「俺ももっと君といたかった、けれどもうこするしか…散って行った奴らのためにも。」
彼女はただ「ありがとう」とだけ言い、ボディガードに囲まれながら王宮に姿を消した。
そして俺は周りを包む業火に倒れて灰になる同胞の如く焼かれるのであった。
「またこの夢か…」と俺は言い、目覚めた。
そしてこの残酷な世界で今日も魔導師として生きなければならない運命に退屈しながらベッドから立ち上がるのだった。
俺はそのままテレビをつけると例の事件のニュースを報道している。そのニュースとは連日にわたる変死体の発見だ。首が一回転させられた死体、指10本を切断され被害者の口と鼻に突っ込まれている死体、そして今日は眼球がえぐられ、四肢がもげている死体ときた。朝のニュースはどこもこの報道でいっぱいだが、これは真実ではない。どうやら「ニホン」という国は徹底的にこの情報を統制したいらしい、報道という真実によって。
ただ被害者は実際にいる。これ以上被害を広げないためにも今日、俺が「ヤツ」を仕留めなければならい。
被害者3件の現場は同じ区であり、住宅街だ。おそらく次の被害者もそこから出る可能性が高いとなると、今日にでも俺の自己領域を展開し、ヤツを迎撃する必要がある。
今までのタイプから察するにおそらくヤツも夜行型。
そうとなると俺はまずは現場に向かわなくてはならない。なぜなら俺はまだ「ニホン」の「トウキョウ」という場所に来たばかりなのだから。
早速俺は例の住宅街へ行くため「デンシャ」というものに乗り込む。
黒いズボンに黒いジャケット、黒ずくしだが、周りの乗客も「スーツ」とやらをきたやつらばかりでただ黒かった。今にものみこまれそうなほど…
「デンシャ」はよく揺れる、ニホンの人間も何か大きなものに揺られ感覚を狂わされていく。狂った感覚に慣れたのだ、と自分を錯覚させ、又は本当に錯覚しているものが適合者として、晴れて世間一般常識人として身分を確立できる。そうでない者はこの国の常識、モラルとして「オワリ」らしい。
そんなことはこの国に来る前に調べていたことだから知識として入れていたがこの「ノリモノ」に乗ってはっきりと分かった。何せスーツでさえみんな黒色なのだから…
「没個性…」 小さい声で俺はつぶやく
彼らには感情がない。安定した未来を築きたいという思いからどんなに安い賃金であろうと、恋人、あるいは家族のためにと必死になって自分を殺す。
この国では殺人はいけないらしいが、殺した自分はその範囲内には入らないらしい。殺めた自分に気がつかないまま、また何度も同じことを繰り返す。だから彼らには感情がない。
俺はデンシャを降り、目的地まで歩く。時間は現在午前9時23分、人気はあまりない。駅はボロくなかなかに気味が悪かった。
とりあえず駅に俺が感知できるよう、ただの人間なら気づかないほどの薄く透明な自己領域を展開する。駅が例の住宅街を地図上からみた四隅のうちの一つだからだ。同様に残りの3つの点に自己領域を展開する必要がある。
「さて、始めるか、」俺は残り3つの場所に向かった。
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「来たね、待っていたよ、アサギ君、おれのおもちゃは通用するかなぁ?どう思う?プセルゥ?」
「まだ実験段階の魔人では少々厳しいでしょう。ですが浅葱色が何魔人の相手をしている隙に私達が奇襲を行えば、、」
「そうだね、それもいいね、それがいい!そうしよう!どうなるかたのしみだね、決行は午後6時!前は全部12時に決行だったけど今回はアサギ君の裏をかくよ〜、」
「了解しました。アオニビ、、」
時刻は現在午後5時51分、四隅に領域を展開した俺は住宅街のど真ん中の地下下水道に身を潜めた。真下から敵の魔力を特定し、その位置を把握するためだ。
だが、ヤツは単独行動ではなくヤツを操る奴らがさらにいる。なぜなら街はすでに奴らの領域に染まっていた。目撃者もなく事を済ませられたのは目撃した住民の記憶を消した、あるいは住民の行動すら操れる術を領域を使い行使した。いや、考えても複数の相手をしなければならないことを前提に戦わなければならないということだ。
そうこう考えあるうちに6時、「あと6時間か」とつぶやいたその瞬間ーーーーー
俺の真上に魔力反応!ヤツは地面を破壊し、俺のいる下水道にやってきた。!
「なるほど、時間をずらすことで俺の計算を狂わす作戦…お前の主人さまはどこだ?」
顔は人のものとは思えないほどグロテスクで口が裂け、目が6つほどあるバケモノ、、魔人……!
「ウウウァァァー!!」ヤツは太い声で吠える
「そんなこと聞いても無駄か、とっとと終わらせて楽にしてやるから、まっていろ…!」
「自己領域自己領域展開!」
俺が囲った四隅の範囲分の面積を異空間にする。
俺の異空間のイメージは水と緑の融合、浅葱色の世界、
「さぁ、かかってこいよ、」俺はヤツにそう言いヤツと対峙するのだった。




