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確かに俺は最強だった。  作者: 空野 如雨露
第二章 王都編
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第二章 86 どうにかなる事、どうにもならない事



俺は眠い目を擦りながらレーヴの部屋に向かっていた。

昨夜は悶々と考えてしまってなかなか眠ることが出来ず、結局外がうっすらと明るくなった頃に少しうとうとした程度で朝を迎えてしまったのだ。

おかげで食事中もあくびが止まらず、朝っぱらからリアのお叱りを受ける羽目になってしまった。

まぁ俺ほどの達人ともなれば、そのお叱りもただの激励にしかならなかったのだがな。


「っふぁ~あ、にしても少し早く来すぎたやもしれんな…。」


もしレーヴがあのままの勢いで薬を調合し続けたのだとしたら、気がついたら朝だったという可能性もあるだろう。

そしてさすがに休憩しようと思ったのなら、丁度今ぐらいに眠りに入るんじゃないだろうか?

うーむ、なんだかそんな気がするなぁ。

折角来たのに、寝てるから何もやることありませんじゃ意味ないじゃないか。

変に気を使わずいつも通り昼ごろに来るべきだったか…?


「…まぁ来ちまったもんはしょうがないし、返事がなかったら適当に本でも読んで時間を潰そう。」


今後の方針が決まったところで、俺は部屋のドアをノックする。

すると、少しラグはあったものの比較的すぐに部屋の主が顔を出したのだった。

どうやら俺の予想は外れたようだ。


「よぉ、おはようさん。起きてるとは思わなかったぜ?」


「あぁ…まぁ起きたばかりなのは否定しないよ、実際君がドアを叩く音で目が覚めたしね。悪いけど少し待っててもらえるかい?さすがに何か腹に入れないと…。」


「おぉ、悪いな早く着ちまって。俺の事は気にせず食ってくれて構わないぜ?俺は外でも眺めて時間潰してるから。それにしても、ちゃんと寝てたか。てっきり徹夜でやってるかと思ったぜ。」


「出来るものならそうしたいけどね、さすがに眠らないと危ないから最低三時間は寝るようにしてるよ。」


「あー、やっぱ年齢を重ねると徹夜は辛くなるよなぁ。俺も二十台になってからは栄養剤がないとやってられなかったわ。」


「まぁそういうのもあるけど、僕の場合は魔力の問題が一番だね。大喰らいな奴がいるせいで、眠らないと魔力が足りなくなるんだよ。」


「あ、そういう事か…。うーん、それって寝れば何とかなるもんなのか?」


「まぁギリギリ、ね。今回の報酬で魔鉱石をいくらかもらえるっていうから、僕も必死になってるってわけさ。」


そう言いながらレーヴはサンドウィッチの様なものを持ってきて食べ始める。

図体がでかい割には食べる量が少ないな、と思いつつ俺は開けた窓に座り話を続けた。


「魔鉱石…そう言えば時々聞くけど、それってどういうものなんだ?」


「おや、ナユタさんは魔鉱石を知らないのか。術式を刻んで物に特殊な機能を付けたり、自身の魔力を回復したりも出来るんだよ。自然界で稀に発見されるもので人工的には作れないから、とても稀少で高価な物なんだ。街に出回る事もあるけど、そういうものは大抵小ぶりなものか使い終わりの物ばかりさ。」


「へぇ…そういう効果があるもんなのか。ん、って事は魔力の回復って魔鉱石じゃないと出来ないのか?」


「そうだね、自然に回復する以外は魔鉱石を使うしかない。でも滅多に手に入らないから、実質自然に回復するのを待つしかないんだよ。」


「なるほど、だからレーヴにとっては死活問題なのか。」


「そういう事だ。さ、食事も済んだことし今日もキリキリ働こうか。」


「りょーかーい。」


「…あれ、ナユタ君?」


「え?」


外を眺める為に開けていた窓に手を伸ばした時、覚えのある声が戸惑いがちに聞こえてきた。

驚いた俺が声の方を向くと、そこには同じように驚いた表情を浮かべるエルちゃんの姿があった。

なんでこんな時間に!?


「どうしてナユタ君がそこに…?」


「あ、いや…今日はたまたま…。」


「そう…なんだ。」


「う、うん。」


「………。」


「…えっと、エルちゃんはどうしたの?今日はまたやけに早いみたいだけど…。」


「うん。今日はいつもの時間に抜けられないから、それで…。」


「そ、そうなんだ…。」


「………んー、よしっ!せんせー、おはよう!!今日はこれから夜までずっと調合の手伝いがあるから今来たよ!昨日もたくさん調合したけど、一度も失敗しなかったんだ!先生に教えてもらった通りに、きちんとできたんだよ?だから先生、ありがとう。私先生のおかげで誰かの役に立ててる!それと、昨日ね…。………。」


あれ?続かないのか?

エルちゃんが話しはじめたので思わず隠れるように屈んでいたが、突然沈黙するエルちゃんの様子が気になりこっそりと下の様子を窺う。

するとエルちゃんは俯いたまま何かを考えるように自分の手をいじっていた。

どうしたんだろう、俺が居ると言いにくい話なのかな?

しかし今更退出したところでエルちゃんには伝わらないだろうし、かといって降りていくわけにもいかないし…どうしたもんか。


「…ごめん、なんでもない!そろそろ市場が開く時間だからもう行くね。それじゃ先生、体には気を付けてね?ごはんちゃんと食べてね?…ナユタ君も、またね!」


「えっ、あ、うん!また今度!!」


急に名前を呼ばれたので思わず顔を出してしまった。

エルちゃんは恥ずかしそうな何とも言えない顔で笑うと、元気に手を振って帰っていく。

俺もそれに応えるように手を振るが、内心申し訳なさでいっぱいだった。

何か言い淀んでたみたいだし、今回は完全に俺が邪魔したよなぁ…。

次に会った時は正直に言ってちゃんと謝ろう、俺は深く反省してそう心に決めた。


「レーヴも悪かったな、朝だからってちょっと油断してたわ。…エルちゃん、何を言いかけたんだろうな?」


「………ずいぶん、仲良くなったんだね?」


「へ?仲良くって、俺とエルちゃんの話か?」


「他にいないだろう?傷を労わったりお菓子をもらったり…挙句に”ナユタ君”か。いつの間にかずいぶん親しくなったじゃないか、前は話したことも無かったっていうのに。」


「…レーヴ君、男の嫉妬はみっともないという言葉を知っているかね?」


「変な事言わないでくれるかい?これのどこが嫉妬だって言うんだ。僕はただ…、ただ………。」


「うむ、気づいて頂けたようで何よりじゃよ。して、レーヴ君?俺に何かいう事はあるかね?」


「…忘れてくれ、頼むから。」


「やれやれ…これは貸し一だな。」


頭を抱えてため息を零すレーヴの肩に軽く手を置き、にやりと笑ってみせる。

それに対して何のリアクションも無かったので『まったく余裕がないから嫉妬なんてするのよねー」と追い打ちを掛けると、流石に怒ったのか肩に置いた手を払いのけられ舌打ちをされた。

それからレーヴは無言で作業を始めてしまうので、慌てて調子に乗ったことを謝罪し、俺も作業を開始する。

と言っても薬が出来上がるまでは暇なので、すでに出来上がってる瓶を箱に詰める作業から始めるとするか。



――――



男二人がただ黙々と薬を作り続ける事、六時間。

途中で各々休憩を挟みはしたものの、さすがに心も体も悲鳴を上げ始めていた。

俺はまだいいだろう。

薬を瓶に詰めるだけではなく、鍋を洗ったり瓶を移動させたりと他の動きがあるのだから。

しかしレーヴの作業は違う。

ただひたすらに材料を切り、擦り、煮込むということの繰り返しだ。

まして薬によっては手順や注意点が違うので、それらを気に掛けつつぶっ通しで作り続ける…という事がどれだけストレスになっている事か。

俺なら早々に投げ出しているだろう。

それだけ過酷な事を、この男は黙って続けているのだ。


「なぁ、レーヴ。あとどのくらいあるんだ?」


「………。」


「…レーヴ?」


「うん?あぁ、すまないね。集中していて聞こえなかったよ。何の話だい?」


「…うん、これはちょっと長めの休憩を取った方がよさそうだな。レーヴ、お前仮眠して来いよ。どうせ今日も深夜まで作業するんだろ?このままだとぶっ倒れるぞ?」


「うん…それはありがたい提案だけど、残念ながらそんな時間はないよ。思っていたよりも進みが悪い、ここからは本気で頑張らないとダメそうだ。」


「いやいや、さすがに限界だろ。効率よく作業するためにも適度な休息は必要なんだぜ?他ならぬ元社畜が言うんだから間違いねぇって、いいから少し休んで来い。」


「そういうわけにもいかないよ。…さ、できた。次の鍋を取ってもらえるかな?」


「…はぁ、わかった。じゃあこれを作ったら休めよ?」


「あぁ、善処するよ。」


しかし、結局夜になってもこの男が仮眠を取る事はなかった。

ランナーズ・ハイというものなのかは知らないが、凄まじい集中力を発揮したレーヴは恐るべきペースで次々と薬を完成させていく。

本気で頑張るという言葉は伊達じゃないようだが、果たして体力の方は大丈夫なんだろうか?

気のせいか薬が出来ていくにつれ、レーヴの顔色が悪くなっていっているように見えるんだが…。


「お、おい…本当にそろそろ休んだ方がいいって。」


「うん、もう少ししたらちゃんと休むよ。ナユタさんは僕の事なんて気にせず帰ってくれて構わないよ。あぁそれと、明日は早く来なくていいからね?このまま作り続ければ間に合う計算だから。」


「…わかった。いいか、くれぐれも無理は禁物だぞ?」


「分かってるって。それじゃ、また明日。」


「あぁ、また明日…。」


不安要素は残るが、俺はレーヴの言葉を信じて部屋を出る。

レーヴも自分の限界はちゃんとわかっているだろうし、何より魔力の回復の為に眠らなくちゃいけないと言っていたから最低限でも休息は取るつもりだろう。

もう少し自分を労わって欲しい所ではあるが、明日の納期に間に合わせなければいけないというのも事実だし、ここは俺の方が目を瞑ろう。

明日俺がここに来る頃には薬が出来上がっているようだから、完成を祝う用に街で何か摘まめるものでも買ってから来るとしようか。


「あ、ナユタ様!今日はもうお帰りですか?」


考え事をしながら書庫を歩いていると、またしても成長したホンに声を掛けられた。

最初は手の平にすっぽり収まりそうなサイズだったのに、今となっては人間の赤ちゃんくらいにまで成長してる。

たった数日でここまで成長できるホンがすごいのか、それともここにある本がすごいのか…。


「よぉ、ホン。俺はもうお帰りだけど、お前は読書の真っ最中か?」


「ですです!今は人間の創る魔道具についての本を読んでいるのです!」


「魔道具か…。この城には稀代の天才魔具師が居るから、その手の本は多かったりするのかもしれないな。」


「なるほど!確かにたくさんの種類があってとても興味深いです!特に魔鉱石を使うことで万人にも使えるようにすると言う発想は面白いです!人間は魔鉱石を自力で作れないのに、よくここまでの道具を創ることが出来ますですね!!」


「ん…人間、は?なんだかそれだと人間以外は魔鉱石を作れるみたいに聞こえるな?」


「もちもち!精霊はもちろんですが、アヤカシの中にも魔鉱石を作り出せるものがいますよ!私やミラのような弱いアヤカシには到底出来ない業なのですが…。」


「え、え!?それ本当か!?魔鉱石は自然界で稀に発見されるだけって話を、今しがた聞いたばかりなんだけど!」


「アヤカシ界では常識ですよ?あぁ、でも人間は私たちと意思の疎通ができませんから、伝わっていないのかもしれないですね。同じ世界に住んでいるというのに、不思議な話です!」


アヤカシ界というパワーワードに一瞬気圧されたが、思わぬ情報に俺の胸は高鳴っていた。

精霊や一部のアヤカシに作れるというのなら、いずれは人間も作れるようになるかもしれないじゃないか!

そうすれば世界で魔導具の流通が盛んになるかもしれないし、邪竜との戦いだって優位に立てるかもしれない。

なんたって魔鉱石があれば魔力を回復できるわけだから、実質無尽蔵に魔法が使えるようなものだ。

そうなったらいくらカンストモンスターでも、時間をかければ倒せるだろ!

俺は興奮を抑えることが出来ず、読書に戻ろうとするホンを掴んで詳しい話を聞かせてもらう。


「とりあえず精霊やアヤカシはどうやって魔鉱石を生み出しているんだ?まずはそこから教えてくれ!」


「ふむふむ、ナユタ様は魔鉱石についてお知りになりたいのですね!では最初に魔鉱石とは何かというお話をしましょう!魔鉱石とは本来流動体である魔力が何らかの原因で結晶化したものをさします。人間が自然界で見つけるというのは、おそらく星の魔力が吹きだまり何百年と時間をかけて結晶化したものの事でしょう。常に一定数の魔力がその場にとどまると、それは少しずつ少しずつ結晶となって物理的に触れるようになるのです。ここまではよろしいですか?」


「うん、わかりやすくて面白い!言うなれば石炭みたいなものなんだな、魔鉱石っていうのは。」


「おぉ!ナユタ様は石炭をご存じなのですね!ならば精霊やアヤカシが魔鉱石を作る原理もお話ししやすいです。石炭は植物などが地面に埋もれ熱と圧で炭化したものを言いますが、それを魔力で行うと同じように結晶化する場合があるんです!精霊なんかは膨大な魔力を圧縮して簡単に魔鉱石を作ってみせますが、アヤカシは星の力を借りながら自らの魔力と織り交ぜて結晶を作るのです!どちらも膨大な魔力とそれを使うだけの技量が必要なので、アヤカシの中でもそれが出来るものは少ないのです。」


「なるほど…魔鉱石ってのは単純に魔力の結晶体なわけだな?うーん、話を聞く限りだと人間にもできそうな気がするんだけど、どうしてそれは精霊やアヤカシにしかできないんだ?そんなに絶望的な差があるのか?」


「ありますとも!人はそれぞれレトワルと言われる魔力を生成する器官をもっていますが、精霊に関してはその存在自体がレトワルその物みたいなものなんです!例えるなら、朝露と滝くらい違いますよ。その力の差はどんなに才能を持った人間でも埋められません!一匹の蟻がこの城を建てようと思うくらい無謀な話なんです!魔力の質だって、雲泥の差があるんですよ!」


「そ、そんなにか…、そう言われると絶対無理って気がしてくるな。でも、なんで単純に魔力の圧縮じゃダメなんだ?…こうやって、魔力をギュッとしたらさ…。………ん?」


「………え?」


何気なく手の平に魔力を集めておにぎりを作るくらいのイメージで圧縮を試みたところ、コロッと何か石のようなものが出てきた。

俺は上から何か落ちてきたのかと思い天井を見上げてみたが、特に何かが崩れてくるような気配はない。

じゃあこれはいったいどこからやってきたのだろうともう一度手の上に転がっているそれに視線をやると、それを食い入るように凝視しているホンの姿が目の前にあった。

というか、ホンが近寄りすぎて俺が見えないんですけど…。


「えっと、ホン?」


「だ、だ、大発見です!新事実です!前代未聞です!!きっとどの本の虫も持っていない知識を、私はいま手に入れました!!」


「お、おう…それはおめでとう。あー…それで、これはなんなんだ?」


「魔鉱石です!紛うことなく魔力の結晶です!すごい、人間でこんなことが出来るだなんて…どうやったのですか!?人間程度の魔力じゃ質も量も足りないはずなのに!!」


「ど、どうって言われても。単純に魔力をこうして集めて…ぎゅっと。」


そう言いながらもう一度、今度は魔力量を増やして圧縮してみる。

すると先ほどの物よりも大きな、百円玉サイズの石が手の上に現れた。

それを見たホンがまたしても興奮し、くるくると飛び回り始める。

この反応からして、どうやらこれも魔鉱石なようだ。

しかしそうなると新たな疑問が生まれる。


「なぁホン、これって間違いなく魔鉱石か?」


「はいはい!間違いないです!どこをどう見ても魔鉱石ですよ!」


「でもこれを作れる人間はいないんだよな?」


「えぇえぇ!ナユタ様以外には見たことも聞いたこともありません!素晴らしいです、ナユタ様は新種の人間なのかもしれませんね!」


「新種って…。でもなぁ、そんなに難しいことしてないぜ?ほんとに魔力を集めて固めただけだし…これが他の奴に出来ないなんて、どうしても思えないんだが?」


「うーん、そうですね…もしかしたらナユタ様の在り方が精霊やアヤカシに近いのかもしれません!祖先にアヤカシと交わった者がいたというのなら納得も出来るのですが、お心当たりはありますか?」


「いや…どうだろうな?」


もしこの体がアヤカシの血を引いていて、それが理由で魔鉱石を作り出せると言われてもそんな事確かめようがない。

もしかしたらユエルの家に行けば何か分かる事もあるかもしれないけど、現時点で魔鉱石を作れる人間の報告がない以上その線は薄いだろう。

だとするなら、心当たりは一つだ。

俺がこの世界とは別の、異世界から来てる事が関係しているんじゃないだろうか?

確証があるわけではないが、俺が他人と違う点があるとすればそのくらいなものだ。

まぁそれに関しては、次にユノに会った時に聞いてみればいいだろう。

これでユノも魔鉱石を作りだせたのなら、異世界人なら魔鉱石を作り出せるという結論を出すことが出来る。

だがもし作れなかったら、その時は…。


「ナユタ様、ナユタ様!もっと作れますか?どのくらいまで出来ますか?後学の為にもぜひ検証してみてください!!」


「あ、あぁ。とりあえず倒れない程度にな?」


その後はホンにせがまれるまま魔鉱石を作り続け、六つ目を作ったところでさすがにギブアップさせてもらった。

これ以上やったら倒れる自信がある。

それを聞いてホンは残念そうに肩を落としたが、それも束の間でどこからか紙とペンを取りだすと一心不乱になにやら書きとめ始めた。

どうやらこの事実を正確に記録するつもりのようだ。

さすがは本の虫、知識に対する探究心が桁違いだな。


「…さて、俺はそろそろ帰るかな。久しぶりに魔力を消費したせいか、妙に腹が減ってしょうがないし。」


「そうですか、残念です。ではまた魔鉱石を作る機会がございましたら、ぜひ私もご一緒させて下さい!まだまだ情報を取りたりないので!」


「はいはい、了解しました。…記録を付けるんなら実物もあった方がいいか?ほら、最初に作った小さい奴だけど、これで良ければお前にやるよ。」


「え、え、よろしいのですか!?わぁ、ありがとうございます!貴重な実例として大切に致します!」


「はは、んな大げさな。それじゃまたな。」


「はい、今日は色々ありがとうございました!また!」


こうしてホンと別れ、俺は怠くなった体を引きずるようにして家路を急いだ。

道中、試しに作った魔鉱石を使ってみるとそれは手に乗せただけで溶けるように体に吸収されていき、先ほどよりは体の怠さが軽減されたような気がした。

これが無尽蔵に使えれば言う事なしなんだが、現状作れるのが俺だけとなると稀少な事には変わりないんだよなぁ。

まぁ作れるだけマシだと思って、これからもちまちまストックしていこう。



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