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第2回 魔法使い(あるいは魔女)

魔法使いを目指す人へ

勇者となれば次に来るのは、魔法使いであろう。


魔法使いは、主に『魔法』と呼ばれる超常(ちょうじょう)の力を使って戦う職業である。

その本質は遠距離戦闘にあり、近距離戦闘には向かない。

ごく(まれ)に、近距離戦闘もこなす魔法使いがいるが、その場合は結構疲れると言っておく。何しろ自らの身の安全を捨てて前に出るわけであるから、それなりにキツイのである。

だがまぁ、その分得られる成果も増えるのではあるが。



魔法使いが使う魔法にはいくつか種類がある。

まずもっとも基本的な魔法は、火(炎)魔法・水魔法・風魔法・地(土)魔法だ。これは人々の生活に密接に結びついている魔法と言えよう。


火魔法は火を扱う魔法だが、その用途は攻撃や生活に限定されることが多い。稀に、火魔法に回復の要素を結びつけることがあるが、これはおそらく不死鳥などの限定的な不死を()した物ではないかと思われる。


水魔法は水を扱う魔法であるが、用途は何も生活だけにとどまらない。中世ヨーロッパでは治療を(ほどこ)す際に清水を使って患部を洗った。その部分が関係しているのだろうが、水魔法には回復・攻撃・支援の要素が含まれることが多い。これも稀に防御の要素を含む場合があるが、おそらくそれは火事の時などに水をかけて消すというシーンがあるからなのだろう。


風魔法は風を扱う魔法であるが、その用途はもっぱら生活や攻撃に関する物が多い。その理由は、おそらく日本の妖怪話などだろう。例えば鎌鼬(カマイタチ)、すっぱりと何かに切り裂かれたような傷が残る現象だ。今でこそソニックブームのような衝撃波の影響であると分かっているが、昔はかなり怪奇だったに違いない。また台風もこの要因の1つだろう。荒れ狂う嵐と風と雷雨のコンボは、どんな子供でも怯えるものだ。


地魔法は地面に関する魔法だが、稀に陰陽五行の金を含むこともある。それは鉄や銀などの金属が土の中から出るという事を前提としているからなのかもしれない。用途的には、攻撃や防御に重点が置かれることが多い。それはおそらく、地震や防火壁(土壁)など身近な存在が土からできていたことを知っている日本人ならではなのだろう。



さて、これら基本魔法以外に、以下の魔法が含まれる場合もある。

光(神聖)魔法・闇(暗黒)魔法・無属性魔法だ。


光魔法というのは、信仰などを基礎として発動する神聖魔法と、それ以外の魔法に分けることができる。要素的には攻撃・防御・回復・支援の全てを含む場合が多い。それはキリスト教の聖典などにおける()()()()が一枚噛んでいるのだろうと思う。


それとは逆に闇魔法というのもある。おそらくは光魔法だけだと対にならず、単体優位性が高まってしまうためであろうと考えられる。要は互いに牽制し合う存在とする事で優位性を無くすのが目的であろう。


無属性魔法とは、火や水などの属性を持たない魔法の事だ。生活魔法と称する場合もある。その名の通り生活に根差した内容が多いが、肉体強化などの魔法も含まれることがある。



ここまで魔法の種類に関して話をしたが、ではその魔法の使い方についてだ。

魔法は、異世界に於いてはマナ或いはMPを使用して使うというイメージがある。しかし、このイメージは主に錬丹術(れんたんじゅつ)、それも内丹術(ないたんじゅつ)から来るものが多いと思われる。よく言われるのは『自分の中に循環する力をイメージしてその力を一点に集める』とかだ。


さらに、多くの魔法には【詠唱】という段階がある。詠唱は、要は自らのマナの動き方を指し示す指標の様なものだと思ってもらいたい。早い話が目的地までの地図である。この詠唱という段階を踏み呪文を唱える事により、魔法を魔法として行使できるようになるのだろうと思う。

この詠唱という段階の次に出るのは無詠唱、つまり呪文を声に出さず心の中で唱える方法だ。だが、実はこの『無詠唱』は言うほど楽ではない。

呪文を唱える詠唱が目的地までの地図なら、無詠唱というのはその地図を暗記して目的地まで行くという事だ。それはつまり、暗記する地図が複雑になれば(つまりより長い詠唱が必要な高度な呪文になればなるほど)それだけ道を覚えるのが難しいという事であり、最悪目的地に着かない場合がある(魔法が失敗する)という事である。



もし魔法使いとして立派になりたいなら、その部分をしっかり覚えておくことをオススメする。

そしてもう一つ、大事な要素を教えておこう。

詠唱は先ほども言ったが、目的地までの地図の様なものだ。

しかし目的地までに困難が降り注ぐこともある。それがいわゆる対抗呪文(対抗魔法)である。対抗呪文は、詠唱をするという段階においてのみ効果があると思ってもらっていい。というのも、詠唱の段階でどんな呪文を唱えているかが解れば対抗しやすいからだ。

だが無詠唱になった場合、対抗呪文というのは非常に難しい段階になると言って良い。何しろ相手も自分も無詠唱ならば、どんな呪文を唱えているかは解らないからである。したがってその場合は単純に、魔法の威力勝負になる。威力が強ければ相手の魔法を飲み込んでくれるが、弱ければ逆に食われるわけだ。


だから『無詠唱ができる魔法使いが優秀』と一概には言えない。

本当に優秀な魔法使いとは、覚えている魔法が豊富で、相手の呪文を読み解くだけの理解力を持ち、魔法自体の威力も高い魔法使いなのである。

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