ショートショートと因数分解
「バカじゃない?」
あるバラエティ番組を見て、吐き捨てる。
歴史と数学、社会に出て、どっちの授業が役立っているか、
というアンケート結果に対するコメントに。
ショートショートを書く自分としては、もちろん・・・
数学だ。
歴史好きだが、授業で身に着けたことはほとんどない。
ほとんどの知識は司馬遼太郎の作品からだ。
志望大学に落ちて、生き方に迷っていた時によく読んだ。
そういう人にお勧めは、幕末モノがいい。
価値観が一変した、幕末。
その中で、人々がどう生きたかを知れば、自ずと自分の生き方が見つかる。
一番のおススメは、日露戦争が主題の『坂の上の雲』。
ただ、これを読む前に『峠』、『翔ぶが如く』、『燃えよ剣』、『竜馬がゆく』
『花神』、『世に棲む日日』などを読んでいて欲しい。
歴史上の人物の生き方を知れば、自分の生き方の参考にできるが、
歴史の授業を受けただけでは不十分だ。
話が逸れた。
そのバカなコメンテーターは言った。
『因数分解が何の役に立つか』と。
「因数分解の本質が全く分かっていない。
因数分解この分析の基本だ」と彼に言ってやりたかった。
例えばこうだ。
X^3+aX^2+bX^2+abX=0
という複雑そうな式があるとする。
だが、これをよく見る(分析)すると、Xという共通点があることが分かる。
共通、差異を見つけることは分析の基本だ。
X(X^2+aX+bX+ab)=0となり、
さらに、
X(X^2+(a+b)X+ab)=0となる。
これは見たことがある形だろう。つまり、
X(X+a)(X+b)=0となる。
結果、Xの解は、0、‐a、‐bとなる。
何が言いたいかというと、
共通項を見つけ、解を見つければ、
複雑な式(世の中)も意外とシンプルということだ。
だからッ?って言う人がいるだろう。
これが真髄なのだ。
さきら天悟流ショートショートの書き方の。
複雑な世の中のことを分析し、共通点や差異を見つけ、
答え(解)を出し、極端化し、シンプルにする。
その共通点や差異や答え(解)が、ネタとなり、オチになるのだ。
さらに、そのネタとオチを展開し、作品に仕上げる。
ネタ=‐a
オチ=-b
(X+a)(X+b)=0を展開し、
X^2+aX+bX+ab=0となる。
この式は起承転結を表すようも見える。
つまり、真の因数分解の意味が理解できれば、
ショートショートのネタは困らず、
たくさん書くことができるということなのだ。
さきら天悟の主張でした。