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アクアテラリウム  作者: 真島 悠久
4章 『Whether to be Sanity or Not?』
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4章27「正義の証明」

 「――間違いない。此処ここだ」


 ギギィッと錆びついたドアの音。


 立て付けの悪くなったそれを蹴破るように押し開き、中を覗いた凛月りんげつは一目見た瞬間、そこが目的の部屋である事に気がついた。


 「場所が変わっててもおかしくねぇとは思ってたが、まさか一緒とはな。地下から探して良かったぜ」


 カーマンジュネディ姉妹の異能力により現在、この塔の部屋は1Fも2Fもごちゃまぜになってしまっているはずだった。


 目的地が移動している可能性も高いため、とりあえず部屋の少ない地下から調べ始めたのは僥倖ぎょうこうだったらしい。


 「…んじゃあ時間も無いし、さっさと探すか」


 上階では恐らく千里とアリシアが踏ん張ってくれているはずだ。


 その手前、自分だけがチンタラしているわけにはいかない。


 そんな思いを抱えつつ、彼は部屋の中央部へと、障害物を掻き分けながら進んでいく。


 切羽詰まった戦況の中で彼がわざわざ離脱し、こんなところに居るのは勿論理由がある。


 それは以前、敵であるルミーナ・エストアリスから聞いた言葉が関係していた。


 「機械族オートマタの悲願…無限という可能性の中で、たった1つ排斥された事象…?」


 投げかけられた言葉が脳を反芻はんすうする。


 彼女はこう言った。


 ――空より飛来した謎のエネルギー物質により、人間の生活は一変した。


 個人色カラーと言う名の能力ちからに目覚め、国は潤い、全ての技術が留まることを知らず向上していく。


 そんなまさに無限の進歩の最中、機械族のただ1つの悲願のみが達成されなかった。


 それは…一体何だ?


 その答えを知る事は、この戦いにいて大きな意味を持つ。


 直感的にそう理解していた凛月は、今こうして手掛かりを求め、部屋を漁っているというわけだ。


 しかし…数分漁ってみても、何の成果も得られなかった。


 「おっかしいな…まさか…見当違いか?」


 確かに、ここにカギがあるという証拠も無い。


 なら自分は今、全く以って無意味な事をしているのだろうか?


 そんな不安に駆られた凛月の、左右へと彷徨さまよう瞳は徐々に自信無いものへと変わっていく。



 「ここまでやって油売っただけのオチは勘弁してくれよ…何か、何かねぇのか…?」


 遂に彼は、手当たり次第にそこら中にあるものを触り始めた。


 地面に転がる機械族オートマタの残骸を蹴飛ばしつつ、目を皿にして手掛かりを探す。


 壁際に積み上げられている得体の知れない箱も引っ張り出し、中身を覗き、適当にそこら放り投げる。


 そんな無茶苦茶をしているうち、遂に杜撰ずさん極まりない彼の行動に不幸が襲った。


 「ちょっ、うお――――!!」


 ――積み上げられた箱の山が決壊したのである。


 上から襲い来る質量に耐え兼ね倒れ込んだ彼の身体に、容赦無く箱が降り注ぐ。


 全身を殴打されるような質量の応酬に堪らず彼は叫び声を上げた。


 「痛ってぇ!つーか…ゴホッゴホッ!ほこりが半端ねぇな!ちゃんと掃除しとけよ…ゴホッゴホッ!」


 文句もたらたらに何とか危機から脱した彼は、今度は部屋中に舞い上がった埃に悩まされていた。


 前から思っていたが、この部屋はどうにも埃が多い。



 とても管理が行き届いているようには思えない。


 機械族オートマタは呼吸をしていないから平気なのかもしれないが、それにしたってこれは酷すぎるだろう。


 量を見るに、数日とかそういうレベルで放っているわけではない。


 完全に数年数十年と放っておいたそれだった。


 …とそこで。


 「ん…?ちょっと待てよ…」


 涙目になりながら口元を押さえる凛月の動きがピタリと止まった。


 今自分は何と言った?


 この埃の量は…数年数十年と放っておいたそれ…?


 もしその見立てが正しいのであれば。


 ――自分は1つ、大きな思い違いをしていたのではないか?


 「まさかこれ…予備じゃないのか?」


 この機械族オートマタ部品パーツの残骸は、損傷した時用の予備の部品パーツ、もっと言えばそれを作る過程で廃棄された失敗作だと思っていた。


 もしそれが全くの見当違いで、本当の目的は全く別のところにあるとしたら。


 だが資源のとぼしいこの世界で、まだ使い用など山程ある部品パーツをそのままの状態で何年も放っておくだろうか?

 答えは否だ。


 そもそもここが部品パーツを作る場所だとして、何年も出入りが無い時点で不可思議な話だ。


 機械族オートマタの都合など知った事ではないが、彼らがそんな非合理的な事を好むとは考えにくい。


 なら、此処ここはそもそも部品パーツを作る場所ではなく、別の目的のために使用されていたとすれば。


 「てことはつまり…そういうことなのか…?」


 凛月の頭の中にある1つの仮説がよぎる。


 同時に、ルミーナ・エストアリスのある言葉が鮮明に蘇ってきた。


 ――「魂はドコに宿ると思う?」


 気づくと凛月は無意識のうちに駆け出していた。


 向かう先は、先程までゴミのように扱っていた部品パーツの残骸の山。


 その中に自分が求めるものがあると確信し、一心不乱に山を掻き分け始める。


 「何処だ?何処にある…?」


 …腕。違う。…脚。違う。首でも肩でも背でもない。


 「…これだ!」


 やがて山の中から目当てのものを掴んだ凛月は、勢い良くそれを引き抜いた。


 形はやや歪な、楕円だえんにも似た球状。


 大きさは片手でギリギリ掴めるくらいの、バスケットボールと同じか1回り大きいもの。


 …彼が掴み上げたのは、機械族オートマタ頭蓋・・だった。


 それを勢い良く地面に叩きつけると、大きな破砕音と共に頭蓋の頭頂部が砕け散る。


 彼はその亀裂の中に躊躇ためらわず指を突っ込むと、更に頭蓋にひびを加えていく。


 やがて両手が入りそうなところまで亀裂が広がったところで、空いていた左手も差し入れ、遂に頭蓋は真っ二つに割れてしまった。


 その中に見えるのは素人目には計り知れない程大量に組み込まれた集積回路の数々。


 何度も修正が加えられた痕跡を残した、まさに改良中と呼ぶに相応ふさわしいものだった。


 「やっぱりそういうことか…」


 予想が的中した凛月の顔は浮かない。


 その表情は重要な何かを知った喜びよりも、知ってしまったことによる苦悩や葛藤かっとうの色の方が多分に含まれていた。


 人間の脳において、思考や記憶は電気信号によって保存、記憶がされている。


 それは奇しくも、機械族オートマタを始めとするコンピュータの仕組みと同じだ。


 いや、奇しくもどころか同じで当たり前だ。


 コンピュータを作ったのは人間なのだから。


 つまり人間の身体を機械に置き換えている機械族オートマタにとって、脳は集積回路であり、思考や記憶は電気信号として集積回路内でやり取りが行われる。


 そして今引きり出した頭蓋の中身は、新たな思考回路、記憶能力を持った「脳」そのものであるはずだ。


 なら、この部屋の本当の目的は…。


 「クソッ!汪我おうが大佐…葉崎大将…いや、誰でもいい!早くこれを伝えねぇと…!」


 凛月は焦り気味に立ち上がり、手に抱えていた頭蓋を放り投げる。


 一刻も早く情報を共有しなければならない。


 そのためにはこの塔に留まっていては仕方ない。


 一旦出るしかないだろう。


 彼らの居場所は分かっていないが、恐らく大規模な戦闘が行われている場所を探せば自然と行き当たるはずだ。


 そう考え、部屋を後にしようときびすを返す凛月。





 ――その背後の壁が轟音と共に吹き飛んだのは、部屋を出る数秒前の事だった。






 「な…!!…はぁ!?ここ地下だぞ!?」


 轟音に気づいた凛月が反射的に振り返ると、そこには衝撃の風景が広がっていた。


 先程漁り回り、散らかしまくった部屋の一部がゴッソリと消失している。


 代わりにパラパラと舞う破片は恐らく壁の塗装だろうか。


 地面に散らばっていた機械族オートマタ部品パーツはその破片に覆い尽くされ、今はもう見る影も無い。


 突然隣の部屋が爆発したような酷い有様だった。


 だが勿論もちろん…原因は爆弾などではない。


 「――ふぅ、やっと戻って来れたか。私は方向音痴ではないが、中々に骨の折れる帰投だったぞ!恐らくイタズラ好きの姉妹の仕業だな?地下通路までぐちゃぐちゃにされてしまうと、味方にも弊害へいがいがあって仕方無いじゃあないか。まぁ無事帰り着いたので良しとしよう。フハハハハハッ!!」


 饒舌じょうぜつな笑い声と共に、ゴシャリと足下のゴミを踏み潰す音が聴こえる。


 なびく金色の髪。


 顔は連戦からか汚れてしまっているが、瞳の鋭さや獰猛どうもうさは未だ失われていない。


 同じくボロボロの服、その袖から突き出ているのは特徴的なリール状の機械腕アーム


 行動の端々から常に余裕を放ち続けるその男が、やがてくるりと振り返る。


 そして――視線が完全に合致した。


 「やぁ、また会ったな。随分と久方ぶりだが、流石さすがにもう私の顔は忘れたか?」


 「お前は…ロイズ・フェデラー!」


 凛月の悲鳴にも似た叫び声を受け、ロイズは口の端を歪めてみせる。


 「先日の暗器使いと言い水使いと言い、随分と博識じゃないか。に落ちない部分は多々あれど、有名になるのは悪い気はしないな」


 「お前何しに来やがった?まさか俺を…!」


 「ん?何を言っている小僧?」


 ロイズは訳が分からないという風に両手を広げてみせた。


 固まる凛月をよそに彼は呆けた顔で言う。


 「私が此処ここに来たの偶然だ。恥ずかしい話だが、道に迷ってしまってなぁ。そしたら進路にたまたま貴様が居た。そういう訳だ」


 どうやら、秘密を知った凛月をほふりに来たというわけではないらしい。


 タイミングが良すぎてにわかには信じ難いが、ロイズが嘘をついているようにも見えなかった。


 「そうか…じゃあ俺はこれで」


 双方無用な戦闘はしたくない。


 それに今は急いでいるのだ。


 流れに任せさっさと退散しようとドアに手を掛ける凛月。


 次の瞬間、ドアが勢い良く吹き飛んだ。


 「うおっ!」


 原因はロイズが此方こちらへと飛ばして来た機械腕アーム


 それが寸分違わずドア中央部へと突き刺さったのだ。


 「待て待て待て。別に見逃すとは言っていない。貴様此処で何をしていた?」


 「…迷ったんだよ」


 「ふっ、それは嘘だな」


 ロイズは彼の返事を鼻で笑うと、ぐるりと部屋を見渡した。


 「確か此処ここは…成程なるほど。貴様まさか、()()()()()?」


 「ナ、ナンノコトデショウ?」


 「…ふん。まあ別にいい。だが貴様は侵入者。そして私は貴様の敵だ。一戦交える理由としては充分じゃないか」


 「それは嘘だろ。…お前はただ、戦いたいだけのイカれた戦闘狂だ」


 凛月の鋭い視線が飛ぶ。


 それが本質を突いた言葉だったのか、ロイズはきょとんとした後、その笑みを更に深めていく。


 「そもそも戦うのに一々理由が要るのか?それはまた随分と、程度の低い志だな」


 「戦うだけが志の示し方じゃねぇだろ」


 「そうか?私はこれしか知らんがな。是非教えてくれたまえよ」


 再び視線が交錯する。


 戦闘はもはや避けられない。


 腹を括って剣を引き抜く凛月の目の前で、ロイズは左手を天へと掲げた。


 にじみ出す「黒鳶くろとび」色の光。


 もやのように左手に絡みついたそれは徐々に細長く形を形成し始め、遂には漆黒の剣となる。


 恐らく、此処ここ黒騎士ナヴァルクヴィアを召喚するのは得策ではないと考えたのだろう。


 凛月が本気を出すまでもない相手と見縊られた可能性も無きにしもあらずだが、地下の崩壊を心配したと考える方が妥当だ。


 武器を構え、一触即発の空気になった2人の間に緊張が走る。


 だが…その緊張を破るように、ロイズが突然鼻をひくつかせ始めた。


 「…貴様、臭うな」


 「は?」


 「胸糞の悪くなるような不快な臭いだ。…貴様まさか、ルミーナ・エストアリスという名の女に会わなかったか?」


 その質問の意図が分からず、凛月は剣を構えたまま首を傾げる。


 「会った。けど、それがどうした?」


 「その様子では、奴の能力までは知らんのか?」


 「いや知ってる。端的に言やぁ、読心術の類だ」


 「その通りだ。貴様には「臭い」が付いている」


 「だからどういう意味だよ?」


 少しもどかしそうに語気を荒くした凛月に、ロイズは静かに淡々と説明を始めた。


 「奴は自分が気に入った相手に「臭い」をマーキングする。その臭いを付けられたものは顕在意識と潜在意識、その両方が奴にバレる。一応人数には制限があるようだが…奴に見入られるとは気の毒だな貴様も」


 「…は?あいつ発動条件は「名前を知ること」って言ってたぞ!思考がどうたらとか個がどうたらとか!」


 「それは出任せだろう。まさか貴様、本気で信じていたのか?敵の言葉を?」


 「くっそー!あの野郎絶対許さねぇ!」


 どうやら自分は他人に振り回されやすい性格であるらしい。


 それを知っていることには知っているが、それと騙されることはまた別問題だ。


 露骨に怒りを顕にする凛月に、呆れたようにロイズが溜め息をつく。


 「あんな狂人の言う事を真に受けるとは、随分とお人好しだな貴様は。足をすくわれるぞ」


 「…狂人っつったらお前もだろうが。人の事言えねぇぞ」


 「違うな。私はどこまでも真っ直ぐなだけだ。よく言うだろう?私が真っ直ぐで世界が歪んでいるだけだ。それが世界からすれば、私が歪んでいるように見える。そういう事だ」


 「そんな、変人の言い訳みたいな台詞セリフ…」


 今度は凛月が呆れる番だった。


 しかしロイズは大真面目らしい。


 「仕方ないのさ、その感覚は人間的に正しい。誰もが自分が正しいと思う。自分が悪だと信じる奴こそ狂人だ。どんな悪の敵キャラも、己の正義や信念を貫くもの。その時点で彼らは狂人ではなく、真っ当な人間だ」


 「…お前が言いたい事は分かった。お前にはお前の正義があるってことだな?」


 その問いに迷う事無くロイズが頷く。


 「そうだ。そしてその正義とやらは、貴様にも確かにある」


 「じゃあどっちがより正義なのか、証明する方法はただ1つだ」


 「その通り」


 もう一度満足げに頷き目を開いたロイズの眼光が鋭く輝く。


 それに相対する凛月の瞳も鋭さを増し、両者の周りには「群青」、そして「黒鳶」の個人色カラーが渦巻き始める。


 戦いとは正義と正義のぶつかりである。


 そしてどちらの正義が正しく、どちらの正義が間違っているのか。


 それを決める方法は…。


 「「勝った方が正義だ!」」


 ――刹那せつな。2人の振り下ろした剣が、激しく音を鳴らした。






 一方その頃…。


 「――うまくいってるみたいだねぇ…にゃははっ!」


 小さな部屋の大部分を埋め尽くす巨大なスクリーン、そこに映し出された凛月とロイズの様子を、ルミーナ・エストアリスは満足げに眺めていた。


 彼女の両脇では幾つもの機械が点滅を繰り返しており、スクリーンに繋がっているであろう2本のチューブは彼女の頭のもとへと伸びている。


 頭の上には何やら怪しげな半円状の被り物。


 その被り物に組み込まれたダイオードは時折、彼女の個人色カラーたる「翡翠ひすい」色に光る。


 「中々オモシロイ展開じゃないかぁ…アノ手コノ手で根回しした甲斐かいもあったってものだねぇ」


 そう言ってアリスは背後の機械へとドサリと倒れ込む。


 勢いが良すぎたためか、ギシギシと不穏な音を立てているが彼女が特に気にした様子は無い。


 実はこの凛月とロイズの邂逅かいこう…これは偶然ではなかった。


 何もかもが意図的に仕組まれた出来事だ。


 他ならぬアリスの手によって。


 「ロイズはボクの1番のお気に入りさぁ。ちょっと強すぎて、キミを壊しちゃうかもしれないのがネックだけどねぇ。そうなったらゴメンね…にゃはっ!」


 アリスは本当に楽しそうに、画面越しの凛月に向かって声を投げかける。


 「でも、そうでもしないと一生陛下には勝てないからねぇ。これが吉と出るか凶と出るか…どちらにせよ、ボクにとっては垂涎すいぜんもののバトルさぁ」


 アリスが行った事は2つ。


 まず1つは部屋の入れ替えだ。


 摩天楼の中核部、今凛月やグランガイル、そしてアリスの居る塔――「黒の巨塔(ファランクス)」の内部を、カーマンジュネディ姉妹に命じて、地下を除き滅茶苦茶に入れ替える。


 それに気づいた彼らはきっとこう思うだろう。


 もしや、自分が目的とする部屋も入れ替えられて何処か別の場所に移動してしまったのではなかろうか?


 そしてこうも思うはずだ。


 部屋の入れ替えに法則性が無いのなら、手当たり次第探すしかない。


 その手始めに…階層の少ない地下から潰していこう、と。


 ここで2つ目、カーマンジュネディ姉妹をぶつかるよう配置する。


 右も左も分からぬ場所に、迫る新手。


 時間も余裕もあったものではない。


 その狭窄きょうさくした思考の中で、一刻も早く目的を達するため、凛月だけ先に行かせるなんてのは、誰にでも考えられる手だ。


 そうして地下へと足を踏み入れた彼は、地下の配置が変わっていないことに気づくだろう。


 ならば目的地へと到達するのにさほど時間は掛からないはずだ。


 到達するまでの時間と、そこから更に部屋を捜索し、手掛かりを探す時間。


 …その間にロイズをピンポイントで部屋へと導く。


 一見難しいよう事のように思えるが、彼の思考を読んでいれば特に悩む事も無い。


 そのために、アリスは機械都市地下に広がる地下道にも細工をほどこしておいたのだ。


 結果、時間を稼ぎつつ完璧に誘導しきり、凛月が真実に気づく完璧なタイミングで引き合わせる。


 我ながら完璧な作戦だ…アリスは1人、そんな自画自賛にふけっていた。


 「まあ彼らの思考回路さえ分かってればお茶の子さいさいだよねぇ…だけどまぁ、全てが理想通りなん

て、そんなオイシイ話は無いっぽいねぇ」


 アリスはそうぼやき、脇に転がるキーボード状の機械へと右手を伸ばした。


 そのままカタカタと指で叩くと、スクリーンの真ん中に1本の黒い線が入った。


 先程までの凛月たちの映像は吸い込まれるように左側へ。


 左半分へすっぽりと収まると、空いた右半分に新たな映像が挿入される。


 そこに映っていたのは…カーマンジュネディ姉妹を撃破し凛月のもとへと急ぐ、千里とアリシアの姿だった。


 「せめて銀のコはたおしといて欲しかったんだけどなぁ…まぁ頑張った2人のコトは責められないけどねぇ」


 ヘラヘラと笑うアリスの瞳に、死した仲間をいたむ様子は微塵も感じられない。


 ただ次の瞬間真顔に戻った彼女の口からは、早口に次なる手の思案が漏れるだけだ。


 「…その先は分岐点だねぇ。急いでるなら2手に分かれる手が賢明さ。そこでどっちがどっちに進むか。金の娘はそういうのじっくり考えそうだねぇ。だけど銀の娘はせっかちだ。どうせ分からないならカンで行く、そういうタイプさぁ。金の娘は反対するだろうけど、結局銀の娘にまくし立てられて押し負ける。選択権を渡すだろうね。なら銀の娘はどうやって決める?彼女もまた確信を持って選ぶ術は持たない。左とも右とも決めづらいこの状況、全責任を担うのは気が重い。じゃあ金の娘にも責任の一端を担わせるような決め方をするはずさぁ」


 ルミーナ・エストアリスの真に恐るべき能力は、「匂いを付けた対象の思考を読む」ことだけではない。


 その天才的とも呼べる思考能力、異能力など関係無しに未来視の如き推察力で場を読み切る事にある。


 「加勢に向かうつもりだろうけど、邪魔はさせないよぉ。…キミじゃない。そうそうそっち、銀の娘の方。キミはこの物語には必要無いねぇ。ヒロインは1人。それ以外はモブなのさぁ。モブはモブらしく静かにして欲しいものだけど、どうやらその気も無いみたいだ。…じゃあ悪いけど死んでもらおうかなぁ」


 アリスはそう言って立ち上がる。


 そして頭に被った半円状の機械を無造作に地面へと投げ捨てた。


 ガシャンと音が鳴るが彼女は気にした様子も無い。


 そのまま部屋の外へと飛び出すと、カツカツとかかとを鳴らし廊下を歩き始めた。


 ユラユラと揺れるゴスロリ風のスカート。


 その中で互い違いで前へと動く滑らかな両足にはそれぞれベルトが装着されていた。


 そこに収められた2丁の金の拳銃をガシャガシャと鳴らし、彼女は何処か遠くへと消えていった…。






 「これは…」「岐路ね」


 時同じくしてアリシアと千里の2人は、アリスの予想通り差し掛かった岐路の前で立ち止まった。


 何となく嫌な予感がする…そう思ったアリシアが怪訝けげんな表情を浮かべて振り返ると、やはり千里も同じ考えだったらしく腕を組んでいる。


 「2手に別れて進んで下さい…って感じ?何にせよ、てのひらの上で踊らされてるみたいで気味が悪いわ」


 「同意見です。恐らく機械族(あちら)側に誰か、頭脳とも呼ぶべき参謀が居るのではないでしょうか」


 「あの姉妹を影で操ってる奴って事よね。確かにアイツらは頭足りてなさそうだったし、こんな手の混んだ事はしないでしょう」


 誰かが裏で糸を引いている、そう2人が結論づけるのにさして時間は掛からなかった。


 部屋を滅茶苦茶に移動したのはカーマンジュネディ姉妹。


 しかしそれを指示した別の人物が居て、更にその人物は無闇やたらではなく何らかの意図をって部屋を入れ替えたという推察だ。


 「なら敵の思うつぼにならないよう、別の道を模索すべきでしょうか?しかし凛月は…」


 「えぇ。間違い無くどっちかを選んだわ」


 千里の確信に満ちた言葉にアリシアは大きく頷いた。


 理由は明白。


 「アイツは逃げないもの。敵が手をこまねいて待ってくれてるって分かったら、迷い無く突っ込んでいくタイプよ」


 敵の策などむし此方こちらの思う壺。


 罠を仕込んでいるのなら、その先で待っていると言ってくれているようなものだ。


 なら何も無い道よりも罠のある道の方が正しい。


 凛月がそんな馬鹿な事を言う性格だと、彼女たちは知っているのだ。


 「…呆れます。彼はやはり此方こちらでもそんな感じなのですか」


 「まぁそうね。組み上がった性格なんて、環境如きじゃもう変えられないし」


 「ではわたくしたちも乗りますか。問題はどちらへ進むか…ですが」


 諦めたような溜め息をついたアリシアがキョロキョロと辺りを見渡し始める。


 それは恐らく、凛月がどちらに進んだのかの手掛かりや、もっと言えば何か印でも残してくれていないかという薄い望みだったが…結局何1つ見つける事は叶わなかった。


 こうなると完全に運だ。


 「2手に別れましょうか」


 千里の言葉にアリシアが少し迷いながらも頷く。


 「えぇ、敵の策に乗るならそれが正しいですね。…で、どちらがどちらに?少し私には決めかねます」


 アリシアは選択権を千里へと譲渡じょうとした。


 それを受けた千里がうーんと唸った挙句あげく、パチッと目を開く。


 そして、こんな事を言い出した。


 「――アンタ、利き腕どっち?」


 「…え?」


 「聞こえてない訳無いでしょ。利き腕どっち?」


 「…右です」


 戸惑いながら発された言葉に千里が大きく頷いた。


 「よし、じゃあアンタ右ね。私が左」


 「え!?そんなテキトーな決め方でいいんですか!?」


 「だってしょうがないじゃない。どうせ決めれないでしょ?じゃあテキトーでいいのよこんなのは。時間掛けるだけ無駄無駄」


 「確かにそれはそうですが…」


 ヒラヒラと手を振る千里を見てアリシアが不満げに口を尖らせる。


 だがそれの代替だいたい案があるわけでもなく、まして彼女の言う通り時間は短い方が好ましい。


 そう考えると素直に自分が右に進んだ方が正しい気もするが…。


 「何よ、なんか文句あんの?」


 「それは…無い…ですけど」


 「じゃあ決定。別にどっちだっていいじゃない。違うと思ったら引き返せばいいのよ」


 「その楽観主義と言いますか、大胆さはうらやましいです…」


 「尊敬していいわよ。…で?文句無いなら早く行きましょう」


 そう言って千里はスタスタと左の道へと歩いて行く。


 その姿に呆れた…というより、少し楽しそうな表情を浮かべたアリシアも慌てて右の道へとついた。


 「じゃあグッドラック」


 「貴女あなたこそ、ご武運を」


 ビシッと親指を立てた千里と、にこりと上品な笑みを作ったアリシア。


 2人は別れの言葉を残し、颯爽さっそうと闇の中へ消えていったのだった…。






 「――さて。じゃあ後は、どっちの道が合ってるのかって話だけど」


 道を1人駆ける千里は、そんな事を呟きながら歩を進め続ける。


 数分走っている気がするが、やたらと縦に細長いこの道の終わりはまだ見えない。


 こんなに広かっただろうか。


 少なくとも外観は普通の塔で、摩天楼まてんろうの中でも一際大きかった事は確かだが、体感ではあれよりもっと大きい建物の中に居る感覚だ。


 「まあでも、流石さすがに永遠に走らされる訳じゃないみたいね」


 そんな事を考えているうち、千里は遂に出口らしき場所を発見した。


 この道とほぼ同じくらいの長方形の口から光が溢れ出している。


 …間違いない。


 その光にあやかれる直前の位置で停止した彼女は、今度は慎重に出口へと近づいていった。


 そうこうしているうちに目も慣れて来たようで、次第に奥にそびえる景色も視界に入って来る。


 そこはだだっ広く、何だか殺風景な所だった。


 特にこれと言った遮蔽物も無く、更に奥へと進んだ先にまた別の出口が視える。


 どちらかと言うと部屋と言うよりもコロシアムのような出で立ちで、室内である事は確かだが何か吹き抜けたような涼しさがある。


 恐らく原因は白塗りの壁と床であろうか。


 コロシアムとは言ってもそれに全く似つかわしくない内装は、神を崇める純粋無垢の教会を想起させている。


 「…何だか不自然な場所ね」


 今まで進んだ道は全て灯りも少なく、陰鬱いんうつな色の内装の部屋ばかりだった。


 久しぶりの色に目がまだ少しチカチカするな…と千里は考えながら目を軽くこすっていたが、同時に少し落胆していた。


 …多分此処(ここ)に凛月は来ていない。


 人が通った形跡というのが全く無いのだ。


 ハズレを掴んだかもしれない。


 そんな事を考えながら念のため部屋の中を確認しておこうと一歩踏み出した千里。


 入り口に手を掛け静かにくぐり、辺りを見渡そうと首をぐるりと…。


 ――ガシャッ。


 「ガシャ…?」


 今まで無音を保っていた空間に突如、波打つような金属音が鳴り響く。


 同時に千里の眉間みけんに走る、何か硬くて冷たい感触。


 何が起きているのか分からない。


 しかし何故か、分かりもしないのにゾワッと全身に寒気が走った。


 その悪寒おかんに任せ反射的に瞳だけ向ける。


 するとそこには…。


 ――拳銃を突きつけ不敵な表情をしたルミーナ・エストアリスの姿があった。


 目が合うとアリスはもう一度ニコリと笑顔を浮かべる。


 そして一言。


 「バイバイ、迷い猫ちゃん」


 ――刹那せつな、引き金を引く音と共に爆音が響き渡り、辺りの物をバラバラに吹き飛ばした。






 破片が舞う。


 散る花びらのようにも見えるそれらを空いた左手で払い除け、アリスは銃口にフッと息を吹きかけた。


 銃撃はその小ささに似合わず随分と激しいもののようで、辺りには硝煙しょうえんがモクモクと立ち昇り、視界は少しばかり悪い。


 アリスは再度銃を構え直し目を細める。


 「死んだかにゃ?」


 するとそれにこたえるように、硝煙の中に「銀」の光がキラリと、ほんの一瞬だけ覗いた。


 「ありゃ」


 それを見た瞬間、アリスが急いでバックステップを踏む。


 しかし気づいた時点で既に遅かったらしい。


 硝煙を裂くように飛び出てきた銀の一閃が頬をかすめ、今度はアリスの金色の髪がフワリと宙を舞った。


 「お気に入りの髪型だったのに…まぁいいんだけどね、にゃはははっ!」


 斬られた部分を撫でさすり、アリスが愉快げに声を上げる。


 だが目は決して目の前の硝煙かららさない。


 やがて煙は波が引いたように晴れていき、中からはアリスと同じく左手を即頭部に当てる千里の姿があらわになった。


 髪がふわりと舞う拍子に、左手の指の隙間から鮮血が1筋流れ落ちる。


 「…アンタ誰?」


 「初めましてだねぇ、銀のお姉さん。自己紹介といきたいところだけど、実はボクはもうキミのコトは知ってるんだぁ。にゃははっ!不公平だよねぇ。あーそうだ!不公平と言えばさぁ、ボクの仲間にやたら公平公平五月蝿(うるさ)い男が居るんだけど、もしかしてもう会ったのかな?」


 「アンタがルミーナ・エストアリス?」


 「おや、その名前は誰から聞いたんだい?いやフツウに考えると才波凛月くんしか居ないかぁ。彼はまだ元気にしてるみたいで何よりだねぇ。何で彼の名前を知ってるのかって?それはね…」


 「うっさい。聞かれた事にだけ答えなさい」


 先程から表情の険しい千里が太刀の刃先をアリスの方へ向ける。


 それを見た彼女は冗談めかしたようにヒラヒラと両手を振った。


 「手厳しいなぁ。回り道は案外大切だよぉ。キミみたいに若いうちは気づかないモノだけど、そのうちきっとそう思える日は来るのさぁ」


 「その様子だとこっちの道はハズレって事?面倒ね…」


 「そうだねぇ。アリシアちゃんはともかくとして、キミはそもそもこの戦いでは邪魔なのさぁ。大人しくララちゃんとロロちゃんに殺られてくれたらハナシは早かったんだけど、うまくは行かないものだねぇ。だからボクがわざわざ出張って来たと言うわけさぁ」


 「その言い方だと、最初から私を狙って待ってた、って言ってるように聞こえるけど」


 怪訝けげんな表情を浮かべる千里にアリスは笑顔で返す。


 「端的に言えばそうだねぇ」


 「さっき別れ道あったわよ?」


 「まぁでも別れ道が何本あろうと、アリシアちゃんの利き腕はずっと右だからねぇ」


 その返事で千里は何かピンと来たようだ。


 「…いつから見てたの?」


 「見てないよ。見てないけどキミの考えなんてお見通しだよぉ。にゃはははっ!」


 「あくまでシラを切るつもりね」


 「いやぁ、見てないのはホントなんだけどねぇ。そもそも見るまでも無いよ。キミが左を選ぶなんて分かりきったコトだからね」


 「何か知らないけど気持ち悪いわ」


 「褒め言葉かな?それは生理的嫌悪ではなく、本来第三者が得るはずのない情報を識っているという事実から来る根源的な恐怖だよ。自分のプライベートが侵されていると窮屈きゅうくつだよねぇ?分かるよ。ボクだって嫌だもの」


 「アンタみたいな変態にストーキングされてれば、そりゃあ誰だって気分を害するでしょうよ」


 「キミはホントに褒めるのが上手だねぇ。もし仮にボクが変態だとすれば、その言葉はボクの歩みを止めるモノではなく、むしろ行為を助長する結果に至るコトに気づいていないわけじゃないでしょう?」


 「うっさい。こういう問答は嫌い」


 カチャリ、と静かだが鋭い音が鳴る。


 その音源は千里の持つ太刀。


 これ以上の問答は無駄であり、これより先は力ずくだと暗に告げているようだ。


 勿論もちろんそれに気づかないアリスではない。


 「随分と急ぐねぇ。だけど考えてもみてご覧よ、キミは才波凛月よりも弱いんじゃないのかい?そんな人に来られたって彼も迷惑すると思うけどねぇ。仲間の事を想うなら、信用してるなら、行かないという選択肢も考慮した方がいいんじゃない?」


 油断なく距離を取りつつアリスがそんな言葉を投げ掛ける。


 それに千里は腰を落としながら、静かに言い返した。


 「…そうかもね。でもこれはそういうんじゃないわ。…ただの私の我儘わがままよ」


 「うん?」


 アリスが不思議そうに首を捻る。


 その目の前で千里は深呼吸をすると、真面目な表情でこう言った。


 「1番最初にアイツを助けに行くのは私がいいもの。…負けたくないから」


 誰に?と、そんな事は聞くまでも無かった。


 それを聞いたアリスの顔に初めて、薄ら笑い以外の表情が浮かぶ。


 何だか面白いものを見つけたような、期待外れと思っていたものが思いのほか役に立ちそうだと分かったような、そんな怪しげな表情かおだ。


 「…へぇ、負けん気が強いんだね。キミに少し興味が湧いてきたよぉ。名前はなんて言うの?ボクはルミーナ・エストアリス」


 「千宮寺千里よ」


 「千里ちゃんね、覚えた覚えた」


 アリスがそう言うと同時、辺りを「翡翠ひすい」色の輝きが包み込む。


 警戒心を顕にする千里の前でアリスは両手に拳銃を構え、大きく手を広げた。


 「キミには試練を与えるよぉ。ボクはいっつも正義の味方だけど、たまにはこういう立ち位置も悪くないねぇ」


 「馬鹿な事言ってんじゃないわよ」


 「ボクは本気さぁ。生まれてから今まで天才だと、神童だと、そう言われて育ってきたからねぇ。キミたちは正義をさも崇高なもののように考えているけど、あれはそんなモノじゃない。正義の本質はベクトルなのさぁ。良し悪しなんてものは環境によって二転三転するだろうねぇ」


 アリスは快活に笑うと拳銃の先を千里の方へと向けてくる。


 「ボクの個人色カラーは「翡翠」。対象の顕在意識と潜在意識をる能力さぁ。…言ってる意味分かる?」


 「知らないけど、思考を読むとかその類でしょっ!」


 千里が大きく一歩踏み出し、一気に太刀を振り放つ。


 あまりに一瞬のスピードで行われた斬撃に、素人では目で追う事すら出来なかっただろう。


 ましてや普段、研究に没頭しもり切りの科学者になど。


 しかし…太刀は空を切った。


 それどころか、目の前に居たはずのアリスの姿が忽然こつぜんと消えていた。


 残っているのは薄い緑の色に光るアリス…の形をした別の何か。


 剣圧でユラユラと揺れるだけの映像(・・)だけだった。


 「――ホログラムって言うんだよ。キミらは識ってるのかなぁ?ストリング理論の性質として、空間における体積の記述は光的境界の上に符号化されているとみなすことが出来る。ならこういう手品のような芸当が可能なのも必然と言えるよねぇ」


 ガチャリと、耳元で音がする。


 聞き覚えのある音だ。


 それもついさっき。


 反射的に恐怖を感じて1歩下がる千里の横で、いつの間にアリスが拳銃を構えて立っていた。


 またも眉間に銃の先を押し当てて不敵に笑う彼女は。


 「見極めなければいけないのは、その有り様ではなく根本的な性質さ。そこを見誤ると簡単に間違える。こんな風にね。…言ってる意味分かる?」


 ――千里目掛けてもう一度、迷う事無く引き金を引いた。

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