プロローグ
時は江戸時代後期の江戸………
与三吉は両国橋の傍にある飯屋の次男であり、兄弟は姉のイチ、弟の家仁左衛門がいた。
母はヤエ、父は権右衛門である。
今年与三吉は14歳になり元服を前に、飯屋を継ぐため権右衛門から厳しく指導されている。
権右衛門「まずはたくあんを切れッ!」
与三吉「やってやらあ!」トントントン…
ザクッ
与三吉「痛ぁっ!」
与三吉「おとっつぁん…飯屋なんてやんなくていいだろぉ…」
与三吉「飯なんて家で食えやいいだろ…」
権右衛門「てやんでい!べらぼうめ」
権右衛門「この両国大飯店は何代にも渡って受け継がれる大人気の店なんだぞ、てやんでえ!」
権右衛門の怒声が轟く。
与三吉「最近は向かいに寿司屋ができてそんなに来ねえだろ!とっとと畳んじまえよ」
権右衛門「べらぼうめぃ!!」
与三吉「おとっつぁんはそればっかだな」
権右衛門「今日は両国花火があるんだよぉ、山ほど人が来るからなあ!」
与三吉「勝手にしろぃ!」
その時、チャルメラの音が鳴り響いた。
与三吉「飴売りが来たぁぁぁ!」タタタタタ
権右衛門「待てべらぼう!………」
権右衛門「あいつに継がせるのは無理だな…」
与三吉「飴うまいなあ…噛んじゃおっと!」ガリガリバリボリ
与三吉「……ん?」
与三吉「おっ!屋形船がたくさん!今日は両国花火だからなあ〜乗りてえなあ…」
屋形船で楽しそうにする人々…与三吉はボーッと眺めていた。
与三吉「俺も花火みてぇなあ…でもおとっつぁんの手伝いしなきゃ怒られるし…」
与三吉「めんどくせぇ」
与三吉は家業にうんざりしていた。