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#004 人は生まれた時は真っ白なはずなのにどこで黒く染まっていくのだろう

 拝啓お父さん僕は今、キッチンで新しい家族の為にご飯を作ってます。

いや、そこは母親じゃないのか?俺が11くらいの時に他所で男作って出て行ったぞ。

かまってもらった記憶なんてないし資産目当てか政略結婚だったんじゃないか?

(うち)、資産家だったし父親は俺が11歳の時に56歳。

そんな母親から産まれのに普通に育ててくれた父親には感謝している。

えっ?そんなよく育ててくれた親に対してニートやってたお前は親不孝者じゃないのか?いやそれは親父死去後の話だ。

23の時に親父死んだら見知らぬ親族ワラワラ現れて遺産の話ばっかで終い(しまい)には、ちょっかいをかけてきたのでちょいと早目にいろいろやって潰してあげました。

それで遺産はお世話になった使用人達に多目に分配して処分したけど、弁護士に任せたから分配額は知らんが結構だったらしく驚いたり取り乱していたそうだよ、弁護士さんの話だと。

俺の取り分?必要なかったし貰って無いよ。

高校辺りから23の時までの間でいろいろやって人生2回くらいやり直せるレベルで稼いでいたし…株が一番旨かった(笑)。

それから億ション買って下地が整ってからのニート生活だし……それをボケ神にリセットされて今に至るのだがな。

まあ過去話は置いといて、何でご飯製作中至るかの前にあのサンドイッチ状態がしばらく続いた後、この世界にきて何も胃に入れていない俺のお腹が…可愛らしく鳴ったのであるが、それで離れてくれた妹、張りついたままの姉の状態だった。


「久姉、抱きつくなとは言いませんが人目を考えず、本人の意志を尊重しない一方的なことするなら嫌いになっちゃいますよ。」


離れようとしない姉を引き寄せて耳元に小声でちょいと脅して告げると慌てて離し泣きそうな顔で謝ろうとした。


「大丈夫。そう簡単に嫌いになったりしませんので僕や周りの事も考えて行動して下さいね。」


なので泣かれる前に素早く軽く抱き締め耳元に近づきそう言い体を引き離した。

久姉は“うん”と頷き一連が終わったようなので自分のお腹を擦り


「そういえばお腹すきましたね。ご飯にしませんか?」


……こうしてリビングに到達する事になるのだ…外道?黒い?いやいやこういうことは早めに対処しておかないと後々がめんどい事になる。

許される=何をしてもこれは自分の愛情だから…などと自分勝手な理論を建てられたら危な過ぎる。

完全体のヤンデレくらいならまだ時間は掛かるが矯正(きょうせい)できる。

しかし進化して、話し合いすらならない究極体の“私と●●だけの世界(隔離型)”や“●●に近づく者は全て敵(殺人型)”などの危険思想に成ったら完全に詰みになる。

詳しいな?あぁ…稼いでいたときの知り合いの彼女が末期だったんたよ…襲われたし…で、返り討ちにした。

まだ生きているのなら隔離病棟に住んでいるだろう…。

暗い話で逸れたが、話を戻すけどリビングに到達してから


「何食べたい?」

「あっ、僕が作るよ。」


久姉が聞いてきたので自分が作ると言った。


「えっ郷耶が?」

「お兄ちゃんが♪」


そして、分かりやすい反応が返ってきた。

まあ、自分が作ると言い出したのには理由がある。

①日常系のスキルを1ランク上げるとどうなるか無難なもので試して確認しておきたい。

②ステータスは開けても詳細情報表示はタップが必要になる上に、詳細確認での目線の不自然さを誤魔化して、早めにスキルの確認を済ませておきたい。

③スキルをOFFにするには詳細を開いた状態で詳細欄にあるON、OFF機能にタッチが必要なのだ。

そんなわけで久姉を説得して冷蔵庫を物色したのだが酒と冷凍食品が多い…。

鶏肉、卵、冷凍した米があるので簡単なオムライスにでもするか…そしてスキルを1ランク上げてみる。


料理 レベル6

[レベルに応じて材料に手を加えて食べ物をこしらえうまく処理する調理を含むスキル。“プロの料理人”]

     ↓

調理 レベル7

[レベルに応じて材料に手を加えて食べ物をこしらえうまく処理する調理を含むスキル。スキル効果で更に美味しくなる。“伝説の料理人”]


………まずいことになった気がするが取り掛かることにした。

調理しながらスキルを確認していく


艦長の魂

[全自動。エネルギーを溜めて最大出力で解き放つ。]

索的

[任意。自分が任意指定した物、人などを射程内にあるか検索をかける範囲1キロ。]


まず解らなかった先の2つを調べる、何で会得したのか不明の艦長の魂は攻撃補助のようであり、索的に姉2人が掛からなかったのは任意指定がされてなかったからのようだ。

あと追加されてたものを含むスキルは


高速思考

[脳内での情報処理を高速化する。学力に比例して能力UP。]


演技 レベルMAX

[レベルに応じて対象や周囲に芝居をして本心を隠して見せかけの態度でだます手段に長けたスキル。]


目測 レベルMAX

[レベルに応じて対象を目で見て、おおよその高さ・長さ・広さなどをはかるに長けたスキル。]


詐術 レベルMAX

[レベルに応じて対象1人をだます手段に長けたスキル。]


調教 レベル1

[レベルに応じて目的に応じた訓練をすることに長けたスキル。あなたがおもうがままに。]


今回入手したスキルは[詐術][調教][地雷収集家]の3つで“詐術”はボロを出さないように直ぐ上げたが、“調教”はできるなら使いたくないので上げていない。

久姉の事もあるから貰うなら“調教”でなく“矯正”が欲しかった…。

それで本日のメインディッシュだが…はい、どん。


地雷収集家

[半自動。人生においていたるところに地雷は転がっている、それを察知することが容易(たやす)くなる。地雷エンカウント率大UP。]


『………………。』


予想はある程度していたが固まった。

我に返って直ぐにOFF(封印)


『危な!!早めに確認して封印できて良かった…。しかし、まさかのメリットとデメリットの両方乗せとか…この察知がどうしても必要な切羽詰まった人に対しての嫌がらせ仕様だな。』


そんなことをしながら料理は完成して皿に盛りつけテーブルに置いていく。

オムライスは半熟オムレツ乗せにしたのでテーブルを周りナイフで線を入れライスを覆うようにしてあげて、だし汁を混ぜたケチャップソースをかけて完成。

席に座ると妹がこっちを見て早く食べようと目をキラキラさせているから思わず苦笑しそうなった。

俺が手を合わせると二人も手を合わせた。


「「「いただきます。」」」


「「!!!」」

「郷耶、美味しいわ。」

「ん〜♪お兄ちゃん、美味しいね〜♪」


食事を開始し、久姉と詩音が笑顔で絶賛してくれたので“そうだね”と笑顔で相づちをうったが、ポーカーフェイスがなかったら酷い表情をしていたと思う。

なぜなら実際の心境は………。


『ありえない。どうやってもあの材料ではこんな味になるわけがない。スキル効果ありとなっていたが、効果でここまで変わるなんて逆に怖すぎる。最大までするとゲームのようなステータス上昇もありえるな。日常系のレベルはいじらないほうが無難だな。』


もしも、攻撃力などの追加効果がつくのならヤバい事にしかならないのがめにみえている。

権力者に知れて……食事スキル効果で無敵の軍隊とか…。

そんなスキル追加効果の危なさについて俺は危惧(きぐ)していた。

ちょうど12時を過ぎた頃の話である。


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