#001 神よ無用の長物という言葉を知っているか?
目を覚ますと体が痛かった。
“インストールを開始します”のガイダンスが聞こえた直後、いきなり大量の情報を流し込まれたものだから思考が遮断され意識がぶっ飛び、床に転がって居たからである。
「……夢落ちとかじゃなかったか。クッソ〜人の頭ん中に一気に大容量の情報なんて流し込みやがって、普通は廃人コースだぞ!!というか良く生きてたな俺。」
そう言って、ふらふらと起き上がるとベッドまで歩いていき腰をドスンと下ろした。
「あ"〜まだ頭がクラクラする。」
ベッド脇にあったスマフォを手に取り日付と時間を確認する。
溜め息をつき与えられた情報等をゆっくりと整理することにした。
メールの内容だか、体を用意したと書いて在った通り、元々この世界に存在していなかったということなのだが…。
『世界そのものを改竄。あたかも初めから存在していたことになっているとか。それって“俺が関わったことになっている過去”の内容はガラリと変わっただろうから正直ヤバいな。それに“気がつくのが遅れた”と言った割りには、手際が余りにも良すぎるのもおかしい。まるで初めから用意してあったようだし。まぁ、多分だが一度や二度ではないのだろ。内容も一方的だったし、隠蔽だろう。』
そんなことを考えながら自分の得た情報の整理を進めていく。
名前は、篠宮 響耶【しのみや きょうや】、歳は15、中学3年で一人称が僕の何これレベルの美少年、家族構成が母、姉2人、妹1人だということなのだが、問題はここから先の内容である。
まず、言葉使いや立ち振舞い方が以前の自分と違うこと。
次に人物像なのだが、プロフィール等の情報は在るが画像が無い状態、つまり今は家族の顔すら判らない状態でなのである。
『まぁ人物に関しては、本人に会えば自動で合致するらしいが。自分の名前が一緒なのは救いだな。呼ばれる名前までいちいち意識を向けておくのは正直きついし。ただ、37のおっさんが、僕とか言って女の子みたいに立ち振舞わないといけないとか“どんなプレイだ!”とは言いたい。まぁそんな男の娘プレイをするつもりはないから、当然却下だな。一人称は仕方ないとして、立ち振舞いは普通にしよう。どうせ演じてもボロが出るだろうし、見る側なら嬉々(きき)として楽しむが、自分で演じる(やる)となると嫌だし。そういえば家族を避けている設定も在ったから、そこら辺も改善していくか。』
なので、この世界での自分の設定はある程度無視する方向で行くことにした。
何か抜けてないか?
あぁ、なぜ家族構成に父親が入って居ないのかと言うことか。
それは、人口の2割しか男性がいないから精子バンクでの子供が多く父親が居ない家庭がほとんどなのだ。
つまり、現代世界なのだが男女比が2対8の“異世界”だから“この世界”なのである。
やったな!ハーレムじゃないか?
冗談はよせよ!この世界では向こう側より女性の性欲が強い上に色々逆転している。
だから厄介なのに加え、一夫多妻が推奨されている。
一応、法律で守られているとはいえ、獣の檻の中に放り込まれた気分である。
少しこの世界情報について説明しよう。
まずここは日本では在るが、俺の知っている日本ではない。
県名までは、全く同じなのに市等が全く聞いたことも無い名になっている。
そして極めつけが世界地図なのだが、知らない大陸や国名がある始末。
次に男性と女性についてになる。
話したと思うが、世界全体で男女比率が2対8で女性が圧倒的に多く男女の価値観とかが、所々反転している。
こっち側の女性は、基本的に性欲が強く男性に飢えていて、身体能力が向こう側の男性より高い。
男性は基本的にこの世界では女性嫌いが多く汚いと云うイメージを持っていて…危険物が割りと多く、引きこもりが多い。
おい、誰だ今“よかったな”とか“受けか…しっかり御手入れしとけ”と言った奴、前に出てこい!!
*
…話を続けるが、なぁ、男性が2割しか居ない状態で、国に保護されて囲われていないなんて事はおかしいと思わないか。
それは、世間体の事もあるが、一夫多妻を法律で国が定めた時に多数の男性自殺者が続出したからである。
その多妻の割合は最低で1対50だったそうだ……そりゃ別の意味でもどのみち絞り採られて死ぬ。
そんな訳でその後、男性には一定年齢から精子バンク提供を義務化にして、法律では男性を優遇した内容が多くなり一夫多妻を“推奨”しているに変更された。
で、ここまでがこの世界の表の話、そしてここからが裏の話になる。
男性が2割しか居ないのに大丈夫なんて、種として絶滅するかもしれないのに在る訳が無い。
なので、法の外に逸れた者を死亡した事にして、囲っていたりする。
まあ、囲うといっても、まともな内容ではないのだが…。
男性の重犯罪者が死刑が無い代わりにこれになる。
他の例えならば、多大な借金を背負った債務者。
生活保護法は在るが、この世界の男性びいきで、我が儘好き放題に育った男性は大体金使いが荒い。
そして、自分で稼ぐ処か女性の紐にもなれない女性嫌いの男性は生活保護だけで生活出来る訳もなく、国から借金をすることがほとんどで一定いくとある日、拉致られ生活破綻した男性は犯罪男性と同様に国の機関の生殖研究や金持ち共の人間牧場の仲間入りという構図が俺の持っている情報である。
戸籍上死亡扱いで帰ることも出来ず、この世界の男性にとっては、さぞ地獄だろう。
人権は?世間的には在るけど世界が抱える人類存亡と比べたらものすごく軽いから裏の事情としてはそんな感じで、そんなものは無いと思え。
まあ、よっぽどの事にならないとそんな末路はた辿らないが、人間というのは欲しいと思うものに労力を惜しまない人が多いから俺の容姿はかなり不安である。
以上のことを踏まえた上での今後の方針なのだが、まず
①家族と友好的な関係を築く。
②何事にも対応可能なコネクションと資金を作る為のパイプ作りと資金作り。
③この世界のゲームを味わう。
④最終目標は以前同様の生活ステータスを築き、引き籠って楽しく遊び暮らす。
以上が俺がリア充になる為の今後の活動方針になる。
③要るのか?当然だろう、俺の楽しみなのに。
それよりも彼女が居ないのにリア充なのか?だと。
それは結局、居ようが居ないだろうが、本人がリア充と思うかどうかだと俺は思うが、まぁ人それぞれだ。
最後に一番問題の特典。
ステータスと思考するだけで言葉にせずとも開けるのだか、開けたとほぼ同時に閉じた。
「おいおいゲームかよって思ったが。それよりも…喜べねぇ。現代社会で持っているだけでも異端なのに…。見ただけで、危険物指定で出来るものが在りやがる。」
その内容は、以下の通りである。
【ステータス】
《名前》篠宮 響耶
《年齢》15歳
《性別》男
【ギフト】
完全特殊記憶
[NEW]
魔法使い〔仮免〕
スキルランダム自動作成
スキルポイント∞振込
スキル∞使用
極悪絶倫
【スキル】
学習能力 レベル9
学力 レベル7
格闘術 レベル6
短剣技能 レベル5
直感 レベル6
閃き レベル5
料理 レベル6
策略
計略
精神耐性 レベル6
[NEW]
ヒール〔壊れ性能〕レベル9999
肉体強化 レベル1
ポーカーフェイス レベル1
「とりあえずは、一応順番に見ていくか。」
【ギフト】
完全特殊記憶
[完全記憶能力の変異版。記憶領域∞拡張済み。目で視た画像、映像を記憶して脳内でフォルダ分けできる。本人が要らないと思う内容を処分も可能。ファルダ引き継ぎ済み。]
魔法使い〔仮免〕
[童貞35歳を逝った貴方に送られました。術なら自分の思い通り作り放題、その上、無詠唱のおまけ付き。60歳で仮免解除。]
スキルランダム自動作成
[自動でスキルが作成、何が出るかは、出てのお楽しみ。]
スキルポイント∞振込
[任意。制限?無いよ。スキルにぶち込めば、あっという間にMAX。]
スキル∞使用
[術等の精神ポイントが必要なものから使用制限のあるものまで対応、リスク無しの使い放題。]
極悪絶倫
[ハーレムを目指す貴方に最適。その性欲は宇宙、まさに極悪。]
【スキル】
学習能力 レベル8
[レベルに応じて物覚えの速さ、応用力に関するスキル。“化物クラス”]
学力 レベル7
[レベルに応じて頭のよさに関与するスキル。“学者クラス”]
格闘術 レベル6
[レベルに応じて近接戦闘に特化したスキル。“達人クラス”]
短剣技能 レベル5
[レベルに応じて短剣の扱いに長けたスキル。]
直感 レベル6
[レベルに応じて知識や経験の中から本能で判別するスキル。知識や経験がない場合、はたらかない。]
閃き レベル7
[レベルに応じて考えなどが瞬間的に思い浮かぶスキル。直感に大きく左右される。知識や経験がない場合、はたらかない。]
料理 レベル6
[レベルに応じて材料に手を加えて食べ物をこしらえうまく処理する調理を含むスキル。“プロの料理人”]
策略
[目的を達成するために相手を陥れることに長けたスキル。持ち主の知識と閃きの影響大]
計略
[目的が達せられるように前もって考えておく手段を作るスキル。持ち主の知識と閃きの影響大]
精神耐性 レベル6
[レベルに応じて精神が受ける異常効果やダメージ等を軽減させるスキル。]
ヒール〔壊れ性能〕レベル9999
[初めに、これはヒールであってヒールでありません。死んでいなければ欠損部位も含め全回復させます。ついでにどんな状態異常、病気、ウィルス等の完全除去ができます。]
肉体強化 レベル1
[レベルに合わせて2倍づつ肉体を一時的に強化、解除も可能。最大20倍]
ポーカーフェイス レベル1
[レベルに応じて心理状態等に干渉されず表面上を欺くスキル。各耐性で更に強化。]
『…………………………………………………………………………見るんじゃなかった。言いたい事は色々あるが群を抜いて特にヒールがまずい、こんなのバレたら教祖誕生か一生研究所のモルモットだ。しかも9999でカンストしていないようだし、更に上がる可能性ある。間違えて使用なんて嫌だし、えーっとOFF機能、OFF機能……。』
*
なんとか封印に成功。
ただし、スキルはOFFに出来きたが、ギフトは封印する事が出来きなかったという問題点を残したままで。
スマフォを見ると、9時をとっくに過ぎていた。
『情報整理も終わったことだし家族の顔でも見に行きますか。』
そう思い、俺は部屋から出ることにした。
現在は、9月17日、土曜日、俺が2度目の生を受けた日である。




