#016 俺が御輿を担ぎ上げる
目的地だったボーリング場に到着した俺らはバイクから降りることになるのだが、真那さんが腰が抜けて降りられない様なので降ろして立たせてあげた。
彼女は手を放すとプルプルとまるで産まれたての小鹿の様に踏ん張っていたが耐えきれず地面にへたり込んでしまった。
なぁ、足腰立たなくなるなんていったいどんな走行したんだ?普通に直進でMAX235、タイヤが出来る限りやられないレベルでカーブとかは170位まで落として走っただけだけど。
飛ばし過ぎ?たかだか最高235km/hで?
前世でのお前の平均速度と乗ってたマシンスペックを言え?普通に400かな、マシンは改造してるから最高速度680km/h、8300cc、今で言うV10エンジンを搭載、500ps、最終的に一億円くらいかかったよ(笑)………何で一斉に黙る?
おい、それ日本の公道で走れないだろ?そんな化け物マシン許可書降りるわけがないよなぁ?無許可か?………警察なんかにゃ捕まらんよ、男のロマンは法律ごときじゃ止まらないんだよ。
到着したした俺らを“あ〜やっと来た”とか“真那さんいきなりカッ飛ばして何処に行ってたんすかぁ〜”等と言いながら少女達がわらわら近づいて来た。
しかし、俺が幻影魔術で真那さんがへたり込む姿を入れて解除したら慌てて彼女に寄っていた。
仲間意識が強いのか、彼女の信頼度が高いのか、まぁ、慕われている様なので後者だろう。
なので矛先は当然こちらに向いた。
「テメー、何しやがった!」
「おい、お前!!」
そんな言葉がこちらに投げられた。
「警察が…」
俺がそう一言言うと視線が集まった。
人間とは言葉に反応する生き物である。
そして、族にとっては“警察”は聴き逃せないワードだろう。
なので“掛かった”と思った瞬間、畳み掛ける事にした。
「途中で真那さんが警察に気がついたらしく、警察を引き付けて走っていたんですよ。結構飛ばしてましたし、警察を相手にしていたから緊張の糸が切れたんじゃないんですか?」
当然そんな話を出せば彼女に確認を取ろうとする者も出るだろう、させないけど(笑)。
「いやー凄かったですよ、警察とのチェイス。」
そして注目を集める為に身振り手振りで彼女の武勇伝として語りながら移動する。
そして移動の際に真那さんだけが見える位置に来たときに彼女に口パクで“余計な事は、い.わ.な.い“と彼女のみに僅かに殺気を当てたりして“警告”を入れておいた。
それでも喋れる様なら大した玉だが、そんな人間は滅多にいない。
“真那さんスゲー”とか言われている中、彼女は聞かれても頷くしか出来なかった。
『ほら、出来ただろ。彼女の祭り上げられた世界が…。』
酷過ぎる?エグい?えっ……これでも結構オブラートに包んだんだけど。
………まぁ、あれだ…人生経験というやつだ。
人はそうやって大人の階段を上って行くのだよ。




