#015 ネジって何本くらい飛んでるのだろう?
バイクとは速度を出すことで人が風と一体感を得られる乗り物である。
だが、バイクに限らず乗り手には、ただ乗っているだけの者とエンジンのトルクを上げて速度を楽しむ者の二者に別れる。
カテゴリーで別けると自分を乗せてる少女は前者で自分は後者になるだろう。
何が言いたい?バイクの後ろに俺を乗せた少女、名前は“真那さん”というのだが、族なのに皆でちんたら走るものだから…つい出来心で彼女から操縦権を奪った。
計画的だろう?心外な(笑)、目的地に連れてく迄の間に恐がらせる為に危ない運転やスピード出すと思って楽しみに大人しく乗ったのに40〜50くらいしか出さなくて安全運転…つまらなかったんだもん。
ハンドル届くのか?彼女を前に押し込めば奪えるだろう。
いや、それでもお前後ろに乗ったのなら足元のチェンジぺダルには届かないだろう?問題ない、これ作った。
インビジブルハンド+Я
[魔力による使用者以外に見えない触手を作り出す。意志疎通可。最大数10触、射程2㎞]
おい!何作ってる!!こんなもの作ってる時点で計画的だろう?そんなことないのに酷いなぁ〜。
ハンドなのに触手か?触手の件は俺に言われても、Я(やー)の部分に変な可能性が添付されてるんじゃない、意志疎通できるらしいし…。
まぁ、こんな内容だが走行中に内容だけ、ある程度決めて色々制作した中では一番まともなのだ。
色々制作してる時点で計画的じゃねぇーか!?そんな昔の事は忘れたよ(笑)。
まともって言ってるけど一番酷いのは?知りたいのか…13番目に出来たやつでこれになる。
インビジブルキラー近藤さん+FА
[対男性又はオス用。魔力による使用者以外に見えないコンドームを作り出す。獲物を発見次第、あらゆる遮蔽物を透過して喰らいつきバイバイさせる。最大数1000匹、射程300㎞]
名前を決めずに制作したらこんなの出来た…。
バイバイだそうだ…某映画のように酷いだろ。
これ完全に“息子狩り専用”だし、透過してくるから服を着てようが関係なしな上に文面の“獲物を”の前に“使用者意外の”とかが入っていないから俺もターゲットに入る可能性が物凄く…いや、これまでの経験上確定だろう。
FとAが逆だった場合、後ろも危なかった可能性がある一品である。
で、色々作ったせいか、こんなのを覚えた。
思考発動
[思考で発動可能、本人の承認無しや寝ている時は誤作動防止で発動しません。]
いちいちスキルや術等の名前を言わなくても使うことができる優れもの、近頃の中で覚えたものではいい物件だった。
それと、索的も進化した。
索的
[任意。自分が任意指定した物、人などを射程内にあるか検索をかける範囲1キロ。]
↓
3D索的@
[任意。索的範囲を3Dで表示。自分が任意指定した物、人などを射程内にあるか検索をかける範囲3キロ。複数を色分け表示できる。]
索的がやり易くなりご都合主義のようになり…ん、何?ちょい待ち!進化する程に使用している状況なのか?……良く感の働くことで。
はい、今現在、ちょっとスピード出しただけなのにパトカーに追い回されております。
*
*
<<そこの2人乗りの族!!止まれと言ってるだろうがぁ――――さっさと停車しやがれ!!>>
「はっ!停まれと言って捕まるのに止まる馬鹿なんて要るわけないだろ(笑)!!俺らを捕まえたいなら体当たりでも何でもして実力行使で止めてみせろよ!!ねぇ、真那さんもそう思うでしょ!?」
俺が大声で彼女に訪ねるが少女は既に余裕が無く自分の名前を呼ばれたことで反射的にビクッと身を震わせた。
『おや!あれだけ“殺す”とか喚いてたのにちょっとスピード出したらすっかり大人しくなって…。それに比べ、このパトカーの運転手はやるなぁ〜♪最低速度を80キープしてるのに喰らいついてきてるし………面白い。励ましの応援でもしてやるか♪』
俺は左腕を後ろに伸ばして中指を立てて“頑張れ(笑)”と応援してあげた。
<<族が!!警察舐めんじゃねぇ―――――!!>>
加速してパトカーが突っ込んできたが難なく回避すると手を振ってから加速してパトカーを引き離した。
加速する際に真那さんの“ひっ”と引きずった声とパトカーから喚き声が聞こえた様な気がするが正直、風音であんまり聞こえんし(笑)
「アハハハ!!どうやら元気が出たみたいで何よりだ。」
既にバイクを抑え込む為に肉体強化を最大にし、足らない部分は触手でカバー、警察を撒く為に少女に聞いた道順とは違う方向に走ったりして、ここら辺りを2周目に突入していた。
警察は俺等を“族”と一括りで呼んでいる。
それは、操縦権を奪う直前からバイクを覆うように幻影魔術を展開してお仲間から引き離し、途中から他者には族にしか見えないように切り替えたからである。
擦り付ける気満々だなぁ?吹っ掛けてきたの相手の方だし、そういった相手にいちいち遠慮しないことにしてる。
それに乗り物はたまにエンジンのトルクを全開にしてあげないとマシンが可哀想だろう。
そんな戯れ言を言うのはスピードジャンキーだけである。
但し、このアホに当て嵌めた場合は、更に頭のネジが飛んでる仕様であるが…。
「さて、そろそろ本気出して撒きますか…。」
その言葉が聞こえたのか少女は後ろを振り向き嫌々と首を振るがその瞬間、奴はスロットルを全開にした。
「――――――――!」
少女の声に成らない悲鳴が上がった。
だが、少女はこれから知ることになるだろう…スピードキ○ガイの恐ろしいさを。
何故ならこいつにとってまだ余裕で対応できる序章なのだから。
少女よ強く生きろ。
私から言えるのはそれくらいである。




