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#012 上には上の変態がいる。

 ガタンゴトン、ガタンゴトン、ドア越しに見える外の景色が流れていく。

現在、電車に乗車している。

なぜ電車に乗っているのかといえば、スマフォで検索をかけたら3駅行った所にコーヒー豆を専門に取り扱う店舗があったから探索を兼ねての買い出しである。

ガタンゴトン、ガタンゴトン、時折、窓ガラスに映り込む自分の姿とハァハァと息遣いの乱れた女性。

あぁ、現在、後ろから黒髪でセミロングのスーツを着た女性に尻を触られて痴漢をされている。

初めは驚いたが、触られながら“こんなおっさんのケツなど触っても仕方ないだろう。”と思っていた。

しかし、ガラスに時折映り込む自分の姿を見て“そういえば今、外面(そとづら)は美少年だっけ。”と思い出して“美少年詐欺だよなぁ〜。”と心の中で苦笑していた。

ああ、そうそう、この世界でも痴漢という字の(かん)のままなのは、勇猛さ、大胆さ、潔さ、堅い信念など、古来より男たるものが持つべきとされている美徳を備えている男前という意味が悪い意味でそのまま使用されている。

余談だが、別読みで(おとこ)というこの字、前の世界ではそういったニュアンスを含んでいたが、この世界では純度ほぼ百%“ガチホモ”の意味になる。

男の中の漢などと言った日にゃホモ扱い…世知辛い世界である。


さて、尻を撫でられたままでいいのかという意見が出そうなので本題に戻そうか。

ぶっちゃけて言えば特に問題はない。

相手が男だっり脱がされたり直接な場合は流石に対処するが服の上からなのでバッチ来いの現在痴漢体験学習中である(笑)。

まあ、自分の結論なのだが相手やされた行為に嫌と思うか思わないの違いだと思う。

男性車両は無かったのか?あったけど久し振りの乗り物にテンション上がっていて切符の買い方からテンパッて完全に忘れていたよ…ちょっと恥ずかしかったのはここだけの話しだ。



構内アナウンスが流れて次の駅で下車かと思っていると脳内アナウンスも流れ、その直後、耐えきれずゴンと頭をドアにぶつけた。

後ろの痴漢のお姉さんが、びくっとしたが、こちらはそれどころではなかった。

頭をぶつけ意識を持ち直した状態で素早くステータスを開きスキルを封印した。

先程、唐突に入手したスキルがこれである。


超嗅覚

[犬の嗅覚の100倍の匂いをかぎとれる。]


これは俗にいう死亡スキルというやつである。

何故かというと犬の嗅覚は、人間の100万倍以上、刺激臭に至っては1億倍になる。

犬は嗅粘膜のヒダが多く嗅覚に関しては“強く感じる”というよりも、“嗅ぎ分ける”ことに優れている。

つまり、人より強い嗅覚なのに平気ということは、犬は人ほど匂いに敏感ではない。

そして人は逆に嗅ぎ分けることに強くなく匂いには敏感である。

ということは、密室(電車の中)でこんなもの取得するとどうなるか(おの)ずと答えが出ると思う。

…死ぬかと思った。

香水やら人の体臭やら色々な匂いが一気に来て。


『あ〜折角堪能していた後ろのお姉さんにフォローしとくか…。』


意識が飛びそうになったからにドアに頭をぶつけて気を持ち直すという突飛な行動をとった為に手を放した後ろのお姉さんへ“なんでもないですよ、続きをどうぞ。”と言おうかと振り返る。

しかし、俺は気付いてなかった。

一時的とはいえ、嗅覚能力の超上昇での匂いに耐えた為に涙目。

振り向いて自分を見たお姉さんから“あっ”という言葉が漏れる。

その反応に初めは、分からなかったが(ほほ)をつたう雫に自分がスキル(超嗅覚)に泣かされたことに気がつく。

結論、お姉さんはどうやら自分が罵倒(ばとう)したり、訴える為に振り向いてきたのだと思っている。


『こうゆう場合、自分が悪いことしてるの分かってるだろうし、表情から罪悪感や恐れが見てとれるから言葉で何を言っても疑心暗鬼だろうなぁ〜。』


だから俺は、行動で示す事にした。

彼女の手をおもむろに掴むとその手のひらを自分の股間にあてがった。

元来、動物は腹等の急所を見せて敵意が無い事を示すなので急所を掴ませてやった。


注]このアホの行為は、この世界でも強制猥褻(ワイセツ)罪になります。


一瞬、何が起きたか解らなかった痴漢のお姉さんは、状況を理解したと同時に顔を真っ赤にしていた。


『ほら、嬢ちゃん、敵じゃないだろ?こいつは詫びを含めた体験学習の謝礼だ。』


そんな状態も(つか)の間、駅に着いた構内アナウンスが流れてドアが開いたので彼女の手を離し下車してドアが閉まると同時にドアを背にして


「嬢ちゃん、()い夢見れたかい?」


ボソリと呟き、俺は駅の階段を降りて行った。


この日とあるサイトで(ささや)かれ、翌日から電車内で何かを探す女性が多出(たしゅつ)したそうだ。

伝説とは本人の知らぬ所で生まれるものである。

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