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生きたがりと死にたがり

久しぶりの投稿で感覚が取り戻せず変な小説になってしまいましたが是非読んでください。友達の死を聞いた少年は何を考え、どう思ったのでしょうか。

生きたがりと死にたがり

「もう俺一週間しか生きれないんだ」

幼馴染みの宣告を受けた時、僕の思考は現実味を帯びていなかった。

彼奴は‘生きたい’といつも口から溢していた。

僕は‘死にたい’と思っていたが彼奴の‘生きたい’という感情に似ていると思う


毎日僕は彼奴の入院室へ向かった。

僕や彼奴の親が入院室へ行った時はいつも笑顔らしいが一人になるとすすり泣いているとナースの人から聞いた。


「はあ、俺、後三日しか生きれ無いんだ。」

彼奴の病気は詳しくは知らないがそうとうヤバイ病気らしい。この病気は死の直前まで本当に苦しさを感じることが無い病気と聞いた。彼奴は元々体がそうとう弱く、昔から小学校も休んでばかりだった。

彼奴は笑顔が取り柄だった。だがその笑顔も見る回数が減った。

「死ぬ実感が無いんだよね」

彼奴は笑いながら呟く。

「もっと生きたかったな」

僕達は他愛の無い話や思い出話をした。普段はいつかは死ぬと考えているけどいざ死に直面するとこんなに恐怖が無いものなのか。と、僕は正直に彼奴と話して実感した。


6時を過ぎた頃、僕は家に帰った。お母さんは7時を過ぎた頃に仕事から帰ってくるだろうし、お父さんも恐らく残業で帰ってくるのは夜中だろう。

僕はいつも‘死にたい’って思っていた。

彼奴には本当に申し訳ないのに死にたいという感情は募っていくばかりだ。

こんな世界に飽き飽きしていた。

生きる意味が分からない。なのに


“自殺が怖いのだ”


次の日も日曜なので彼奴がいる病院へ向かった。

「今日も来てやったよ」

「死ぬまで来るって約束したろ。来なかったら罰ゲームって言ったからな」

「お前こそ、早くに死んだら罰ゲームだぞ」

何故か他愛の無い話は尽きなかった。僕が来て数分後に彼奴のお母さんが来た。果物を持ってきてくれた。

「いつもありがとうね。死ぬまでずっとついていてあげて」

お母さんは優しい声で言う。

「良いよな。お前のお母さん優しくて」

「全然優しくないよ。家じゃあ鬼だからね」

こんな話も後2日しか出来ないことに僕は奥歯を噛みしめ、泣くことを耐える。彼奴のお母さんは病院の先生に話があると病室を離れた。

昔から僕と彼奴はずっと一緒だった。小さい頃から小学校に要っても何故かずっと同じクラスで中学生の今を同じクラスだ。もしかしたら彼奴の体が弱いことを考え先生が仕組んでいたのかもしれない。


昨日と同じように6時過ぎに僕は帰る。

いつもは話す事無くなる時があるくせに、何故かこういう時に限って話す事は尽きない。

いつものように外に出ている両親はまだ帰ってこない。土日出勤もあるから会う機会は最近はまったく無い。その点は本当に彼奴が羨ましい。 

僕は帰るのが遅い両親を待たずコンビニで買ったおにぎりとカップラーメンを食べて寝た。


今日は学校で彼奴の病室に行く時間が遅くなる

はずだった。

僕はいつものようにつまらない授業を聞いていた。時々彼奴の席を見ながら。彼奴のいないクラスは何処か淋しい感じがした。それもその筈だ。彼奴はクラスから好かれていたのだから。僕と違って

授業を聞き流していると担任が真っ青な顔で走ってきた。そして僕を見て言う。

「今すぐ彼奴の病室へ行け!」


嫌な予感が頭を過る。クラスがざわつきだす。

僕は彼奴のお母さんに呼びだされたらしく、僕は学校を早退した。彼奴のお母さんが僕のお母さんに早退の許可をとってくれたのだ。

いつもなら早退は喜べるはずなのにそんな余裕は今は一切無い。


彼奴のお母さんはもう病院にいるらしく、僕は急いで家に帰り、狂ったように走って彼奴の病室を目指した。

病院の階段を駆け登る。途中「走るな!」とすれ違いさまに注意された気がするが耳に入らない。 


彼奴の病室の前に着いた。

一呼吸置き僕は扉を開ける。

其処には

    彼奴の親族と病院の先生がいた。皆悲しげな顔で彼奴を見ている。ふと彼奴のお母さんだけが怪訝そうに僕を見た。

僕は状況察した時には叫んでいた。

「なんなんだよ!ウソつき!早くに死なないって約束したじゃん!罰ゲームって言ったじゃん!」

涙が溢れ出た。

「なんで、なんで一週間もしない内に死んじまったんだよ」

涙は止まらない。こんな恥ずかしい姿なのにそんなことも気にならないほど涙が溢れる

死ぬ前苦しかっただろ

心で思う

病院の先生は一言

「ご臨終なさりました」


彼奴が死ぬはずだった日

教室の空気は重く淀んでいた。

だれの笑い声もましては話し声も聞こえない。

時間になり教室に先生が入ってくる

「今日は皆に話がある」

静かな声で言った。もう皆分かっていた。

彼奴の机には菊の花が花瓶に差して置いてあった。

「〇〇は」

先生は涙を堪える声で言ったせいか彼奴の名前は聞こえない。

「病気で亡くなってしまったんだ」

クラスの女子は泣いていた。周りの女子は慰めるように話している。男子達も涙を堪えているように見える。

この状況で僕は異質に見えたと思う。

僕も自分で異質だと思う。

昨日現実を受け入れたらもう涙が出てこない。

自分でも分からない。涙が枯れてしまったのかもしれない。


帰り道、僕は寄り道になるが彼奴の家へ行った。お母さんが出迎えてくれた。

「あの子、貴方にウソついた形になっちゃったね。ごめんね。」

お母さんは泣いていた。人一人いなくなるとここまで世界が変わるのかと実感した。


少し彼奴について雑談をしているなか教室に忘れ物をしたことを思い出し取りに戻った。校庭では幾つかの部が活動をしていた。


世界が変わったのは僕だけなのかな。


部活動をしている人は皆いつものようだった。何か変わった様子が無い。


教室に戻った時、どうしてもあの花瓶が見える。

これ以上悲しまないよう、僕は花瓶から現実からも目をそらした。

忘れ物のプリントを鞄に入れて教室のドアを閉める時、

     あの花瓶

が目に入った。だけど其処には彼奴が見えた。此方に気付いて僕の事を見ると彼奴の取り柄の笑顔でニコッと笑いスッと消えてしまった。

残ったのは笑っているように見える菊の花が残っていた。


また涙が出てきた。

知らない内に後ろに先生が立っていた。


「今日は家に早く帰れ」


ぶっきらぼうな声に押され家に帰る。いつも一人で暗いのだが今日は一段と暗さと寂しさが目立った。

僕はこの暗い部屋で一人考える

僕は彼奴の代わりにはなれない。だけど彼奴を忘れないために。

彼奴の早い死をムダに出来ない。

僕は彼奴のためにも

     

    生きていきたい。


僕は時折‘死にたい’と思っていたが彼奴の‘生きたい’とは比べ物にならないほどのモノだった。

どうでしたか?面白くなかったらスミマセン!作中の病気は実在しない(ハズ?)です。なんか変な病気ですね。是非評価お願いします。ここまで読んでくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] こういう透明感のあるお話好きです。 描写を抑えているのに、頭の中には情景が浮かびました。 生きていきたい 最後の少年の心の叫びはぐっとくるものがありました。 良い作品を読みました!
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