接触、親不孝娘
なかなか絶対王制マンがこないので私は紅茶を飲みながらクッキーを食べていた。
「おいしい」
ほっと一息ついた時だった。
『やっぱり来たんだな、くそアマ』
ばっと大げさなリアクションで振り返ると、爽やかに笑う絶対王制マンがいた。
爽やかな笑みも今ではどす黒く見える。
『俺様に謝る気になったか?』
白々しい奴め!!!!
「なんで私が謝るのよ!!人の親のクビ切っといて!!!」
絶対王制マンはあははははとお腹を抱え込んで笑った。
苛々する。
『俺様に楯突いたお前が悪い』
笑みは崩さないままニヤリと笑った。
そしてドアのほうから私の方へと向かってくる。
『お前みたいな貧乏人が、俺様に逆らうなんておかしいんだよ』
絶対王制マンはとうとう私の目の前にきた。
『おとなしく俺様の言うことを聞いていればいい』
ブチっと何かが頭の中で切れる音がした。
「ふざけるなぁ!!!!」
がばっと絶対王制マンに掴み掛かった。
ほんのりと甘い匂いがした。
「あんたねぇ、まだ親のすねっかじりの鼻垂れ小僧の分際でなにいってんのよ!!偉いのはあんたじゃなくてあんたの親なのよ!!悪いけど私はあんた見たいな奴は死ぬほど嫌いだ!!」
そういいながら絶対王制マンに思い切り平手打ちを食らわせた。
絶対王制マンは頬を押さえながら目を見開いてこっちを見ている。
「もう好きにすれば!!?これでもうお父さんが社員じゃないから私も関係ないし!!!もう関わらないで、さようなら!!」
呆然としている絶対王制マンを無視して走って部屋から飛び出した。
気付いたら家の前にいて、がむしゃらに走って帰ってきたものだからどうやって帰ってきたのか不思議だった。
俯き加減で玄関の戸を開けた。
「ただいま…」
『おかえりなさい』
出迎えてくれた母の目はまだ潤んでいた。
「ごめんなさい、私…」
『聖夜のせいじゃないわ』すべてを話しても、それでも母は笑っていた。
それが痛々しくて仕方なかった。
結局絶対王制マンには謝れなったよ。
しかもおまけにあんな啖呵まできっちゃった。
ああ、私はなんて親不孝娘なんだろう。