セレブとパンピー
あれから名前は決して言わなかった。
そしていよいよ新しいクラスメイト達とご対面!!
それなのに…
何故みんな私と目を合わさないのですか??
その時、ふと絶対王制マンの言葉を思い出した。
『俺様に逆らった事きっと後悔するぜ』
あ い つ か。
今更事の重大さに気付いた。
みんなの事を愚民呼ばわりするくらいだし、みんなも何も言わないという事は、何かがあるという事だ。
きっと親が金持ちで〜とかそんなところだろう。
しかし私はこの時忘れていた。
重大な事を。
絶対王制マンのせいで今だに誰も話し掛けてくれない。
話し掛けようとしてもにげられる。
私が何をしたというのか。あんな理不尽な態度をとられて黙ってなんていられるわけがない。
おかしいのは私じゃなくてみんなの方だ。
そんな事をもんもんと考えていた。
『おい、くそアマ』
「うるさい黙ってて。今考え事してるのよ!」
『少ない脳みそで何考えてるんだ?』
「どうしたら絶対おうせ…ぎゃほっ!!」
絶対王制マンがいきなり現れるから変な叫び声あげちゃったじゃないか!!
私を変人にしたてあげようという作戦か!!?
『くそアマ、お前、栗栖聖夜とかって名前なんだな?』
「だったらなんなんですか?」
ギロリと睨むもののまったく効果はないようだ。
『いや。たいした事じゃない』
絶対王制マンは何か考えるような仕草をしたあと、にっこりと笑った。
うっ!
笑顔が眩しい!!
『まぁ、俺様から言えることは一つだな』
「結構です」
すかさず断る。
『まぁ聞けくそアマ。お前が俺に頭を下げる日もそうとおくない』
いやいや、ありえませんから。
とは言えずにじとーっと絶対王制マンを見る。
『頭からっぽのお前に一つヒントをやろう。俺様の名前は火向井彰だ』
そう言いながら絶対王制マンは帰っていった。
一体何をしたかったんだろうか。
絶対王制マンが私のところへ来たせいでさらにクラスからは浮いたようだ。
ちくしょう。
絶対王制マンは疫病神だ。
心のなかで絶対王制マンに一発おみまいしてやった。すると少しだけ気が楽になった…きがする。
「ただいま」
『聖夜!!』
声を聞き付けた母が泣きながらやってきた。
「ちょ、鼻水つくから」
そういって引き剥がそうとするがなかなか離れない。『聖夜…』
「お父さん…仕事は?」
『…った』
「え?」
『父さん、クビになった』
正直耳を疑った。
理解するのにだいぶ時間がかかった。
だって、昨日の今日で…いきなりクビ…?
「なんで?」
『父さんだって、なんでクビになったかわからないんだ!!社長が突然クビだっておっしゃったんだ…』
がっくりとうなだれるお父さん。
その姿はなんとも痛々しい。
その時ふと、あの言葉を思い出した。
“頭からっぽのお前に一つヒントをやろう。俺様の名前は火向井彰だ”
「ねぇ、お父さんが努めてた会社…なんてところ?」
『火向井コーポレーションだ』
その瞬間すべてを理解した。
私がするべき事は一つだけ。