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HR(ホームルーム)。

 俺の住んでいる街《緑ノ(みどりのまち)》は基本的には普通の街なのだけれど、街自体がパワースポットな上、街の各所にパワースポットがあるらしく不思議現象が度々起こる事で有名なのである。

 天狗が出たり、河童が出たり、忍者が居たり、ネタみたいな出来事が沢山あるのだ。

 そんな不思議現象が度々起こるので、セリアが現れた時も驚いて咄嗟に一一〇番しなかったわけだ。まぁ、確かにビックリはしたけど。


 ――学校中に朝のHR開始の予鈴が響き渡る中、駆け足で校門をくぐり抜ける。この時、自分が「疾風になったんじゃないのか?」と思える程、速く走っていた気がする。

 急いで靴を履き替え、二年F組の教室を目指し疾走する。

「間に合った!」

 声を上げ、教室に入った瞬間にHR開始のチャイムが鳴り響く。

 あぶねー。遅刻するところだった。一安心してふう、と息を吐く。とりあえず、教室の入り口で突っ立っている訳にもいかないので自分の席に向かう。

「お~。涼介おはよう」

 声の聞こえた方を見ると、そこには見慣れた顔があった。その顔の人物は、吉原純一(よしはらじゅんいち)。髪は短く背が高く、ガタイが良くてスポーツ選手の様な体格をしている。

 中学校の三年間は諸事情で少し離れた学校に通っていたものの保育園と小学校六年間、そして高校一年とずっと一緒だった男だ。まぁ、幼なじみ&腐れ縁的なものだな。

 俺は純一の近くまで歩み寄って話し掛ける。

「今日も純一さんは素敵な顔立ちですねー(棒読み)」

「オレの顔見て、そんなに照れんなよ」

「どこが照れてるように見えるんだ!」

「ツンデレだな」

「どこがツンデレだ! 俺は今日はお前にツンな面しか見せてねぇよ」

「自分の気持ちに素直になれよ」

「いいのか? 今はお前をぶっ飛ばしたくてたまらないんだが」

 このやり取りで多少は解って頂けたと思うが、こいつはボケたがりでいちいち突っ込まなくてはならない面倒な男だ。 

「まぁまぁ、とりあえず席に着けって」

 純一は着席したまま少し腰を上げ、俺の席の椅子を素早く引いて、執事のごとくエスコートしてくれた。

「何か仕掛けてないだろうな?」

 俺は用心深くなる。

「大丈夫だって――」

 純一の言葉を素直に信じて、ゆっくり椅子に腰を降ろす。

「――画鋲しか置いていないからな」

 尻に痛みが走る。

「痛ぇよ! バカじゃねぇの! 大丈夫の意味が解らんわ! お前の頭が大丈夫か!?」

 純一とそんなやり取りをしていたら、学年主任の臼井先生が入って来た。クラスメイトから『あれ、なんで中井先生じゃないの?』と声が漏れてくる。

「はーい。皆、席に着いて。え~っと、突然ですが、中井先生が産休に入ることになりました。そこで、新採用の佐々木先生が来る予定だったのですが、諸事情で遅れているので私が代理で来ました」

 臼井先生は一年生からの持ち上がりで、今年も俺達の学年主任の先生だ。

生徒の立場になって物事を考えてくれるので生徒の間では信頼は厚い。厳しいのに、少しユーモラスなのが人気だったりする。ちなみに、四十歳の独身。生徒から好かれるのと、男性から好かれるのは違うみたいだな。

『え~! 新しい先生ですか』

『男ですか女ですか』

「女性です」

『可愛いんですか!?』

『何歳なんですか?』

 みんな、興味深々で質問が飛び交う。

「それは本人が来たら聞いた方が早いかもね。まぁ、ひとつ言えるのは私よりは若いです」

『当たり前だろ!』

『新採用で、臼井先生より歳だったら困るわ!』

「よーし、私のチョーク投げをくらいたい奴はもう一度言え」

 クラス中に笑いが起こる。

「佐々木先生が遅れていて、まだ来ませんので私が代わりにHRを始めます。まず始めに、突然ですが転校生を紹介したいと思います」

 突然の出来事にクラス中がざわつく。

「それじゃ、入って来て」

 臼井先生が廊下に呼びかけると、小柄な女の子がドアの敷居をまたいで教室に入って来た。すぐさま目に入って来たのは見慣れない制服。見慣れない制服なのに、最近どこかで見憶えのある制服な気がする。

 ――あ。今朝曲がり角でぶつかったポニーテールの女の子だ!

 俺は、勢い良く立ち上がり指を差し叫んだ。

「あ~! 朝の女の子!」

「…………」

 スルーした! 華麗にスルーしやがった! 俺だけ指差して叫んじゃって、すんげぇ恥ずかしいんですけど! あぁ、勢い良く立った俺への皆の冷たい視線が痛いぜ。

 臼井先生は仕切り直すかのようにコホン、と咳払いをした後に話し始めた。

「自己紹介をしてください」

「諸事情で転校して来た服部志乃(はっとりしの)です。よろしくお願いしますなの」

『可愛いな』

『ちっちゃくて可愛い~!』

『今、語尾おかしくなかった?』

『可愛いからそんなのどうでも良くね?』

 ざわざわと勝手に声を上げるクラスメイト達。

「あ! 朝の人ですなの」

 志乃は俺を指差す。あ、思い出したみたいだ。しかし、もう少し早く思い出して欲しかった。

『え、宇佐美とどんな関係なんだ』

『こんな可愛い子と知り合いのか……許せんな』

「あの、朝……その……私の(撒き菱)を、強く鷲掴みに……してきたなの」

 いや、大事な所が声小さくて聞こえないんだけど! それだと誤解が生まれそうな台詞になってるから!

『お前、何してんだ』

『ただじゃおかねぇ』

 ほら、言わんこっちゃない!

 ……いやいや、男子諸君! なぜ、皆シャーペンを振りかぶっているのかな? ちょっ、そこっ、コンパスは針がヤバイって!

「最後には……私の(鞄の)中に手を突っ込んで来て……(手から)すごい出血したなの」

 だから、所々声を小さくして誤解を生むような台詞は止めてくれ!! 大変な事になるから!

『よし! 一斉、総射!』

 痛い痛い痛いっ! ほら、大変な事になったでしょ! シャーペン、意外と痛いって!

 その直後冷たい何かが俺の頬をかすめて、地面に落ちて金属音が鳴った。……うわっ! マジでコンパス投げやがった!

「コンパスは洒落にならねーって!」

『いや、洒落じゃなくて本気で狙ったから』

「怖い事を言うな!」

 俺に向けられた男子生徒達の攻撃が終息した頃、再度質問が飛び交った。

『趣味はな~に?』

『特技はあるの~?』

『今日の下着は何色ですか~?』

 皆、可愛い子には興味出るよな。ちなみに、最後の質問は俺が顔を机に伏せてバレないようにしたと言う事は内緒だ。

「趣味は暗殺で、特技は忍術なの」

 この子、暗殺とか怖い事をさらっと言うな。しかし、忍術はどんなものか興味深い。

「その……下着は……今日は着けてないです、なの」

 そして、スカートの中身はもっと興味深い。もう、興味津々でございます。

『忍術見たいです~』

 クラスメイトのリクエストに応えようと志乃がどこからともなく巻物を取り出し、口にくわえた。

「にぃんほぅ、かぁとぉんのひゅつ!」

 それ、くわえる必要あったのか?! そのおかげで何て言ってるか良く解らん。

 志乃は、おもむろに巻物を口から離し床に投げ捨て、両手を縦に重ね人差し指を立て再度唱える。

「忍法、火遁の術!」

「言い直した! 言い難かったんだ! ってか、その巻物投げ捨てちゃっていいの!? 巻物の意味なくね!?」

 俺がツッコミを入れた次の瞬間、志乃の前に小さな火の玉が現れた。

『すごーい!』

『本当に出た!』

『マジで忍術なんてあるんだ!』

『スカートの中身見せて!』

 クラスメイト達は驚きを隠せない。そして、俺はスカートの中への興味が隠せない。

「私のスカートの中身なら見せてあげなくもないわよ」

 と、臼井先生が冗談だか本気だか解らない顔で言った。

「興味がないので隠せ。むしろ、見せたらブッ飛ばす」

 顔面に無数のチョークが飛んできて地味に痛いぜ。――しかし、本当に忍術があるなんて驚きだ。キャンプとかで居てくれると便利そうだな。

 世間一般の教室だったら、とんでもなくビックリする出来事なのだろうが、この街では不思議な現象が起こるのは日常茶飯事なので、普通に驚く程度で留まっていた。

「じゃあ、服部さん。そこの空いている席に座ってもらえるかしら?」

「は~い」

 志乃が俺の隣の空席に着席し小声でつぶやいた。

「朝の人、これからよろしくなの」

「服部さんだっけ? 俺は宇佐美涼介。よろしくね」

「志乃でいいですよぉ」

「じゃあ、俺の事は――」

「宇佐美だから……ウサさんですね!」

 いや、その呼び方は結構恥ずかしいんですけど。

「ウサさん! よろしくなの!」

 めちゃくちゃ笑顔で言われたので、嫌だとも言えなくなってしまった。……もう、それで良いです。

 さてと。俺は確認しなくてはならない事があった。――それは、志乃の『下着は着けてない』発言の真相だ。

「あー。シャーペンを落としてしまったぞー。拾わなくちゃなー(棒読み)」

 わざとらしく志乃の近くにシャーペンを落として、拾う際に屈む動作を利用してスカートの中を確認しようという、画期的そして変態的な作戦だ。いや、変態とか言うな、自分。

 俺はシャーペンを拾うために席を立ち、志乃の近くで屈む。

 よし! この高さなら顔を横に向ければスカートの中が見えるはず!

 心拍数が上がっているのが自分でもよく解る。俺は、心を踊らせスカートの中を見ようと勢い良く振り向く!

 ――ガシッ! 

 黒だ。いや、真っ暗だ。ってか、『ガシッ!』って何よ?

 視界は真っ暗になり、両側のこめかみに痛みと何かが刺さっている感触が。

「痛ってええぇっ!」

 痛みと絶叫と共に顔に張り付いていた何かをひっぺがす。それに伴い出血する。

 そこには手の平を広げたくらいの大きさのリスが居た。いや、リスにしては前足から後ろ足にかけて不思議な飛膜が付いてるんだけど。そして、こめかみに刺さってたのはこいつの爪か。

「あ、その子は志乃のお友達のモモンガの『モンガちゃん』なの。志乃のお友達で、ピンチの時とか困った時に助けてくれるんだよぉ」

 モンガちゃんは、俺の手を離れて志乃の肩に飛び乗った。

「モモンガのお友達なんだ」

 やっぱり忍者は色々すげーな。そして、このモモンガはこれから先、色々と俺の邪魔をしてくれそうな予感がした。

「あとね。モンガちゃん人間の言葉が理解できて筆談が出来るんだよ」

「筆談?」

 俺と志乃の肩の上に居るモンガちゃんの視線が激しくぶつかった。

 この時、モンガちゃんは【志乃にエロイ事させないからね。この変態!】と言うメッセージボードを掲げていた。

 ――こう言うことか!

「宇佐美。あんまり騒ぐな」

 そして、俺を注意した臼井先生の携帯電話の電子音がクラス中に鳴り響く。

 いきなりモモンガに爪で刺され出血させられて、騒ぐなって方が無理だと思うんですけど。

「もしもし。あ、着きましたか。じゃあ、教室の前まで来させて下さい」

 ちょっとキツイ口調だった。着いたってのは新採用の先生の事だろうな。

 それから志乃へのちょっとした質問タイムが設けられ、その途中で再び、臼井先生の携帯電話の電子音が鳴り響いた。

「皆さん、ちょっと待っていて下さい」

 一旦廊下に出て、すぐ教壇に戻ってくる臼井先生。

「それでは、新しくこのクラスの担任になる先生を紹介します。佐々木先生、入って来て下さい」

「はい」

 クラスの視線が一斉に集まる。俺もどんな先生か気にはなるからな。

 ドアから佐々木先生の姿が見えたと思ったら、敷居に足を引っ掛けてしまいよろけて教壇に激突した。

『『『――――!』』』

 クラス中が唖然とした。

「大丈夫ですか!?」

 佐々木先生の激突に臼井先生も心配をして声を掛ける。

「大丈夫です。私、ちょっとドジな所がありまして……すみません」

 恥ずかしそうに頭を下げて臼井先生に謝る佐々木先生。

「えっと、今日からこのクラスを担当することになった佐々木絵里香(ささきえりか)です。みんな~、よろしくねっ」

 今時の若いお姉さんって感じだな。ん~。そして、普通に可愛いな。こりゃ男子の間で人気出そうな気がする。

「好きな食べ物はいちごパフェですっ」

『いちごパフェとか可愛い~!』

 ん? なんだか見たことある顔な気がするぞ。

 ――あ。今朝曲がり角で俺を車で跳ねた(殺人未遂)お姉さんじゃないか!

 俺は、勢い良く立ち上がり指を差し叫んだ。

「あ~! 朝のお姉さん!」

「………」

 スルーした! 先生までも華麗にスルーしやがった! 俺だけ指差して叫んじゃって、すんげぇ恥ずかしいんですけど! またもや、俺への皆の冷たい視線が痛いぜ。

「あっ! 朝の男の子!」

 佐々木先生は少し遅れて思い出したようだ。それにしても何故、皆すぐに思い出してくれないんだろう。

「佐々木先生。宇佐美とは知り合いなんですか?」

 不思議そうに尋ねる臼井先生。

「はい。今朝、車で(跳ねて)…キス(で示談)…しましたっ、きゃっ」

 いやいやいや! 志乃に引き続き先生も大事な所が声が小さくて聞こえないんだけど! それだと誤解が生まれそうな台詞になってるから! しかも、きゃっ、とか言うな!

「え!? 何!? 佐々木先生、今なんて言ったの?」

 すごい勢いで佐々木先生を問い詰める臼井先生。そりゃそうだわな。

「えっと、好きな食べ物はいちごパフェですっ」

「それじゃないわよ!」

 佐々木先生、さては天然か? 少々笑えたがちょっと心配にもなったりして。

「はい。今朝、車で(跳ねて)…キス(で示談)…しましたっ、きゃっ」

「だから大事な所はちゃんと大きな声で言いましょうよ! あと、きゃっ、はやめて!」

「佐々木先生。ちょっと、廊下に出ましょう」

 あ、連れて行かれた。そりゃそうだよな。聞こえた言葉だけで判断すると車の中で俺とキスしたって事だからな。大変な事になりそうだ。

『宇佐美。ベランダに出ようか』

「え?」

 クラスの男子達に首根っこを掴まれて、またもや連れて行かれる。

「いやいや!誤解だってば!」

『俺達の佐々木先生と羨ましい事しやがって!』

『変態のくせにいい思いしやがって!』

『皆! シャーペンとコンパスを出せ!』

 必死に弁解しようとしても聞いてもらえない。

 なんか、俺まで大変な事になりそうだ。


 クラスの男子達から鉄拳制裁&文房具攻撃を受け、ベランダから戻ってきたボロボロの俺は自分の席の椅子に腰を下ろす。

 ふ~。みんな手加減してくれよ……。ここまで、ボッコボコにされるとは思わなかった。

 純一が笑いながら話し掛けてくる。

「素敵な顔だな」

「からかうな。誤解でボコボコにされんのはいいもんじゃないぞ。痛いし。そう言えばお前はベランダに来てなかったな」

「親友を傷つけて何の得があるってんだよ?」

「お前……もしかしたら良い奴なんだな」

「その言い方、なんか引っかかるけど褒め言葉として受け取っておく」

 しかし、なんかまだ頭に痛みがあるな。――あ、頭に何本かシャーペンが刺さってた。こりゃ痛いわけだ。ある一本のシャーペンをふと見ると『吉原純一』と名前が書いてあった。

「お~ま~えっ!」

「悪い悪い。つい面白そうだったからシャーペンを思いっきり投げちまった」

「さっきの言葉は嘘だったんだな! しかも、投げるにしても思いっきり投げんな」

 そんな親友とクラスメイト達の対応に俺はちょっとふてくされて、机に頬杖を付く。空いている方の手で、さっき引っこ抜いたシャーペンでなんとなくペン回しを始めた。

 教壇に目をやると臼井先生にこってり絞られたと思われる、しょぼんとした佐々木先生の姿が。

「えっと、改めまして。佐々木絵里香です。気軽に『ササエリ』って呼んでくれてもいいだぞっ」

『ササエリ~』

『ササエリ先生~』

 クラスメイト達は早くも先生を渾名で呼んでいる。若いから親近感が湧くみたいで、すぐに打ち解けられそうな感じだな。

『先生は何歳ですか~?』

『先生は彼氏いるんですか~?』

『好きなタイプは~?』

 男子生徒からの質問が飛び交う。

「私は今年、二十三歳になりましたっ。えっと、彼氏は居ません」

 男子生徒達が嬉々としたのが雰囲気で解った。

「好きなタイプは……」

 ――カタンッ!

 佐々木先生が喋っている途中で、回していたシャーペンを落としてしまい音が鳴った。その音に反応した佐々木先生はこちらをチラッと見る。

『宇佐美、またベランダに行こうか』

『今度は爪でも剥がすか』

『志乃、忍者流の良い拷問知ってるなの』

「いやいやいや! 今のは、どう見てもシャーペン落としたからこっち見たんでしょ?! しかも、爪剥がすとか怖いこと言わないで! あと、拷問に良いとか悪いとかないでしょ! 拷問は全部苦しいから!」

 ――ってか、何で志乃まで入って来るんだよ!


 佐々木先生は、ベランダでボッコボコにされ終わり戻って来た俺を確認すると、特に言葉もかけてくれず自己紹介を再開した。

「涼介の事、二回目にしてスルーしたな」

「あぁ。順応性が高くてびっくりだ」

 純一と冷静に分析した。それにしても二回もボッコボコにされて身体が痛い。

「え~っと、先生の好きなタイプは、私の授業を真面目に受けてくれる人ですっ!」

『俺、先生の授業を真面目に受けます!』

『僕は、授業中寝ません!』

『拙者は授業中に切腹しません!』

「先生嬉しいなぁ~っ」

 佐々木先生、天然と見せかけて意外と策士なのかも知れない。

 そして、最後に発言したやつよ。いつであろうが切腹はしないでくれ。

「それじゃ改めまして。みんな、これからよろしくねっ!」

『『『よろしくお願いしま~す』』』

 さて、これからこのクラスはどうなって行くんだろうな。佐々木先生だと、ちょっと心配だったりする。

「佐々木先生。宇佐美くんの件が誤解だったのは解りましたが、遅刻のお説教がまだなので、一緒に職員室に行きましょうね」

「みんな~。助けて~っ」

『『『…………』』』

 臼井先生のお説教に関しては、誰も助ける事が出来ないので誰一人言葉をかけられなかった。


『どうか……ご無事で』


 ――誰だ。不吉なことを言う奴は。

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