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だけど、馬鹿な子ほどなんちゃら、というように私はそこまでキョーちゃんの事を嫌ってがいないようだ。
[ミナト、ミナトっ!!なんで、ミナトの胸はそんなに小さいんだっ!?]
…多分。
■ □
「出来た。」
ほかほかと机の上に一人用の小さい鍋を置く。準備している間、ひとときも離れなかったコタはきゃーきゃーと叫び始め、ソファで寝っ転がっていたキョーちゃんも興味深そうにこちらへと寄ってくる。
[コタ、この鍋の中身はなんだ。]
[すき焼きだよ!!]
語尾が異常に上がり気味のコタの返答に、キョーちゃんは摩訶不思議のモノを見たように目を大きく開ける。
[す、すき焼きだって…!?あの、未知なる食べ物のことかっ!!]
…そっか。キョーちゃんは昔の幽霊だから、すき焼きも知らないんだっけ?
「そうだよ。これがすき焼き。我が家のご馳走です。」
ほへーとなんとも締まりのない顔でみているキョーちゃんに、目をキラキラさせているコタ。
どちらも幼い容姿なだけに微笑ましく見えてしまう。