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―――…なんか、ようでもあったのかな…
[早くっ早くっ!!]
「ちょっとまってよ、コタぁ」
重いビニール袋を持ちながら、始めは真面目に走っていた私だが、せっかくかっていたタマゴが割れてしまうため、ほぼ早歩きみたいな状態になっていた。
コタは足がないからスイスイとスムーズに動けてしまうけど、私は日頃、あまり運動してはいないから動きにくい。
だけど、これでも運動神経とかは良かった…はず。
[湊ちゃんっ!!あともうちょっとだから走ってよー]
そんなくだらないことを考えていたせいか…
私は、コタの尋常ではない焦り方に気が付かなかった。
■ □
「ただいまー…」
[おかえり!!ミナト、ミナト聞いてくれ!!あのな、おれな、ホントは幽霊の世界のプリンセスなんだ!知ってた知ってた?やっぱ、おれのプリンセスオーラは隠せないよな!]
「あらぁ、そうなのぉ、よかったわねぇ」
[…ミナトっ、話を…おれの話を聞いてくれっ]
[キョーちゃん、湊ちゃん無視してるよ?]
[やっぱりっ!?]
―――うるさい。
そう言うまえにコタがキョーちゃんの暴走を止めた。
このうるさいちびっこは『キョーちゃん』というらしい。
最近、気が付いたら私の周りをまとわりついていたので声をかけて見たらあのザマ。
なにあれ、どんだけしゃべりたい年頃なの?
「幽霊の世界って何?……ついでに、キョーちゃんは男の子なんだから、プリンセスじゃなくてプリンスだし…。」
そして、キョーちゃんは頭が悪い。