ope5.たかが一ミリ、されど一ミリ。
倉庫改め、異世界美容整形クリニック。
その中央の手術台には──
エルフの女性、リリアが横になっていた。
周りにはオークたちが集まっている。
「エルフが整形するのか……」
「族長の時みたいに骨折るのか?」
「顔なくなるんじゃないのか?」
ざわざわと不安そうだ。
しかし須高は落ち着いていた。
「……野高くん」
「はい、先生」
「鏡を」
野高が手鏡をリリアに渡し、須高は言った。
「……自分の顔をよく見ろ」
リリアは鏡を見つめる。
「はい」
須高は鼻筋を指でなぞる。
「……ここだ。
ここが一ミリ足りない」
リリアは真剣な顔で頷く。
「やっぱりそうですよね」
オークたちは困惑している。
「どこが?」
「わからん」
「全部同じだ」
須高は腕を組んだ。
「…….素人にはわからないだろう」
そして言った。
「……だが美容とは、一ミリの世界だ」
須高の言葉に、野高が小声で言う。
「先生、かっこいいです……」
須高は鍛冶屋が作った器具を手に取った。
「……今回、骨は触らない」
オークたちが安心する。
「よかった……」
「族長の時怖かったもん……」
須高はリリアに言う。
「少し痛むぞ、耐えられるか?」
リリアは微笑んだ。
「エルフは痛みに強いです」
須高はゆっくりと頷いた。
「……始める」
オークたちが息を呑む。
須高は鼻筋を確認しながら、慎重に処置を進める。
しばらくして──須高は言った。
「……終わりだ」
「え?」
リリアが驚く。
「もうですか?」
「鼻は一ミリ上がった」
オークたちはざわつく。
「早すぎないか?」
「本当に変わったのか?」
須高は鏡をリリアに差し出した。
「……見てみろ」
鏡を見たリリアの目が輝いた!!
「うそ……信じられない」
「……どうだ?」
リリアは震える声で言った。
「先生……完璧です……」
オークたちが身を乗り出す。
「本当か!?」
「何か変わったか!?」
そんなオーク達を他所にリリアは嬉しそうに笑った。
「鼻筋が通ってて前より綺麗だわ!!」
須高は腕を組んだ。
「……これが黄金比だ」
そして完成されたリリアに向け一言。
「"パーフェクトだ"」
オークたちは理解していないが、とりあえず叫んだ。
「すげえええ!!」
「人間の医者すげえ!!」
リリアは深く頭を下げた。
「ありがとうございました」
そして言った。
「このこと、エルフの里にも伝えます」
須高は少しだけ笑った。
「……好きにしろ」
そこからリリアは村を去っていった。
───────────
それから数日後。
オークの村には、十人のエルフがやってきた。
「鼻を高くしたい」
「目を少し大きくしたい」
「顎のラインを整えたい」
そんな依頼に、須高は腕を組んだ。
「……忙しくなるな」
こうして
異世界美容整形クリニックは
エルフの間でも大人気になり始めた。




