表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界美容整形クリニック  作者: ルーツ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/26

ope19 世界平和は二の次。

魔王が帰ってから数日後。


オークの村は、いつも通り平和だった。


オークたちは畑を耕し、ゴブリンはクリニックの掃除をしている。


野高はカルテを整理していた。


「最近すごい患者ばかりですね」


須高は椅子に座りながら言う。


「……患者は患者だ」


その時だった。


村の入口から、騒ぎ声が聞こえた。


「止まれ!」


「ここはオークの村だぞ!」


オークたちが慌てている。


次の瞬間──四人の人影が村に入ってきた。


輝く鎧。


巨大な剣。


白いローブ。


そして長い杖。


オークたちがざわめく。


「人間の戦士だ……」


「強そうだぞ……」


野高が外を見る。そして目を丸くした。


「先生……勇者パーティーです」


先頭にいた青年が言った。


「ここに医者がいると聞いた」


須高は腕を組んだ。


「……私だ」


勇者が須高を見る。


「あなたが?」


「……そうだ」


勇者は少し驚いた顔をした。


「もっと年寄りだと思っていた」


須高は答えない。


「……それで何かあるのか?」


勇者パーティーが少しざわつく。


戦士が言う。


「勇者に対して失礼だろ!?」


しかし勇者は真剣だった。


「相談がある」


須高は椅子を指した。


「……座れ」


勇者は座り、言った。


「魔王と戦う準備をしている」


オークたちがざわめく。


「魔王!?」


「でも、ついこの前来てたぞ……」


しかし勇者は続けた。


「だが最近、問題がある」


須高は聞く。


「……何だ」


勇者は少し言いづらそうに言った。


「俺の顔が……」


一瞬沈黙。


「地味だ」


クリニックが静まり返る。


野高が聞き返す。


「地味?」


勇者は真剣だった。


「勇者なのに威厳がない。そう村人に言われたんだ」


少し悔しそうに言う。


「『普通の人みたい』と」


後ろの僧侶が小声で言う。


「実際ちょっと普通ですよね……」


勇者が振り返る。


「お前は黙れ!」


須高は勇者の顔を観察した。


しばらく見てから言った。


「……確かに地味だ」


勇者が固まる。


「……普通だ」


戦士が笑いそうになる。


「ぷっ」


勇者は少しショックを受けていた。


「やっぱりか……」


須高は腕を組む。


「……だが」


勇者が顔を上げる。


「……治せる」


勇者が身を乗り出す。


「本当か!?」


須高は言った。


「顎を少し整える」


「目元を強くする」


「鼻筋を通す」


「フルコースすればお前は英雄の顔になる」


勇者の目が輝いた。


「頼む!」


野高が準備を始める。


その時だった。


後ろにいた魔法使いが言った。


「……ついでに私も」


全員が振り向く。


魔法使いは頬を触った。


「頬骨が少し気になってて……」


僧侶も言う。


「私は鼻を少し高く……」


戦士が言う。


「俺は腹筋をもっと割りたい」


野高が苦笑する。


「先生……」


須高はため息をついた。


「……全員患者か」


勇者が笑う。


「勇者パーティー、全員だ」


須高は立ち上がった。


「……順番だ」


そして言った。


「……最初の患者は」


勇者を見る。


「……勇者、お前だ」


こうして──異世界美容整形クリニックにはついに勇者パーティーまで訪れるようになったのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ