ope18 スライムは万能。
その日。
異世界美容整形クリニックの中で──須高は腕を組んでいた。
珍しく、真剣な顔だった。
野高が聞く。
「先生、どうしたんですか?」
須高は言った。
「……解決していない問題がある」
「問題?」
須高はゆっくり目を閉じた。
「……麻酔がない」
野高は苦笑した。
「そうなんですよね……」
今までの手術は
•オークは痛みに強い
•エルフは我慢強い
•ゴブリンは気にしない
という理由で、なんとか成立していた。
だが須高は言う。
「……医療としては不完全だ」
野高は頷いた。
「確かにそうですね」
その時だった。
入口から声がした。
「先生ぇ……」
入ってきたのは、ゴブリンだった。
口を押さえている。
「歯が痛い……」
須高は見た。
「……虫歯だな」
ゴブリンは震えている。
「削るのか……?」
須高は頷く。
「……削る」
ゴブリンは青ざめた。
「やっぱり帰る!」
逃げようとするゴブリンを野高が止めた。
「ま、待ってください!」
その光景を見て、須高は言った。
「……やはり必要だ。麻酔を作る」
野高が驚く。
「作る!?」
須高は頷いた。
「この世界に無いなら作ればいい」
その日から、須高と野高の研究が始まった。
薬草を調べる。
エルフに聞く。
ドワーフに聞く。
しかし──うまくいかない。
野高が言う。
「難しいですね……」
須高は腕を組む。
「……まだ何かある」
その時だった。
クリニックの裏庭。
オーク達が騒がしい。
「触るな!!触ると痺れるぞ!」
須高と野高はオーク達の場所へ足を運ぶ。
「先生、これ見てください!」
ある物体を見た野高が言う。
須高が来る。
そこには、青白い形をしたスライム、しびれクラゲがオーク達の漁をしていた網に引っかかっていた。
野高が言う。
「このスライム……触ると痺れます」
須高は触った。
ビリッ。
「……なるほど」
須高の目が鋭くなる。
「神経を鈍らせる性質」
野高が言う。
「これって……」
須高は言った。
「使える!」
その夜。
須高は試薬を作った。
──数時間後。
小さな瓶が完成する。
野高が聞く。
「先生……これは?」
須高は言った。
「……局所麻酔だ」
野高が驚く。
「本当に!?」
須高は頷いた。
「……試せば分かる」
更に次の日。
例のゴブリンが来ていた。
「歯……痛い……」
須高は言った。
「……今日は痛くない」
ゴブリンが疑う。
「本当?」
さっそく須高は注射をする。
「……少しチクリとする」
ゴブリンは顔をしかめる。
「いた……」
数秒後。
須高が言う。
「……どうだ?」
ゴブリンは頬を触る。
「……あれ?」
須高はドリルを持った。
「削る」
……ゴリゴリゴリ。
ゴブリンは固まる。
「……あれ?……痛くない」
野高が笑った。
「成功ですね」
数分後。
治療完了。
ゴブリンは感動していた。
「すげえ!!」
外で見ていたオークたちも騒ぐ。
「痛くない医療だ!」
「すげえ!」
須高は腕を組んだ。
「……これでいい」
野高が聞く。
「名前どうします?」
須高は言った。
「……スライム麻酔」
野高が笑った。
「そのままですね」
こうして
異世界美容整形クリニックは
ついに──異世界初の麻酔を完成させたのだった。




