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異世界美容整形クリニック  作者: ルーツ


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16/26

ope16 世界征服は二の次。

数日後。


オークの村は、妙な緊張に包まれていた。


空が暗い。


風も止まっている。


オークたちがざわめく。


「……なんだ?」


「嫌な感じがする」


その時──村の入口に、黒い影が現れた。


長い黒いローブ。


赤い瞳。


圧倒的な威圧感。


オークたちは一瞬で理解した。


「……まさか」


「魔族……」


その影は、ゆっくりとクリニックの前まで歩いてきた。


そして扉をノックする。


コンコン。


中から野高が顔を出す。


「はい?」


影は静かに言った。


「医者はいるか」


須高が奥から出てくる。


腕を組んで相手を見る。


そして一言。


「……患者か?」


影はフードを外した。


そこに現れたのは──魔王だった。


オークたちが悲鳴を上げる。


「魔王!!」


「終わった!!」


「村が滅ぶ!!」


しかし魔王は、少し困った顔をしていた。


須高はまったく動じない。


「……どうした」


魔王は少しだけ恥ずかしそうに言った。


「実は……」


言いにくそうに続ける。


「幹部のドラキュラが、ここを勧めてきた」


須高は頷いた。


「……あいつか」


魔王はため息をついた。


「最近、鏡を見て思った。俺の顔は……」


少し間を置く。


「丸い」


クリニックが静まり返る。


野高が聞き返す。


「丸い……?」


魔王は頬を触った。


「魔王として威厳が必要だ。だがこの顔では少し……」


言いづらそうに言う。


「可愛いと言われる」


オークたちが小声でざわめく。


「魔王かわいいのか……」


須高は腕を組んだ。


そして魔王の顔をじっと観察する。


顎のライン。


頬。


骨格。


しばらくして言った。


「……原因は脂肪だ」


魔王が目を見開く。


「脂肪!?」


須高は頷いた。


「頬の脂肪が多い」


「それで顔が丸く見える」


野高が言う。


「小顔整形ですね」


魔王が聞く。


「治るのか?」


須高は即答した。


「治る」


そして続ける。


「頬の脂肪を取る。


 顎のラインを整える。


 威厳のある顔になる」


魔王は少し考えた。


そして真剣な顔で言った。


「頼む」


須高は椅子に座った。


「……だが」


魔王が聞く。


「なんだ?」


須高は言った。


「魔王だからといって特別扱いはしない。患者は患者だ」


魔王は少し驚いた。


そして──笑った。


「面白い人間だ!気に入った!」


須高は立ち上がる。


「……野高くん」


「はい」


「…….手術準備だ」


オークたちはまだ混乱していた。


「魔王が整形!?」


「この村すごすぎる!」


魔王は手術台に座る。


そして小さく呟いた。


「……もし成功したら」


須高を見る。


「魔王城に支店を作らないか?」


野高が驚く。


「魔王城にクリニック!?」


須高は鼻で笑った。


「……考えておこう」


こうして


異世界美容整形クリニックは、ついに魔王本人の患者を迎えることになった。


患者第十号。

魔王(小顔整形)

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